遠方にある実家が空き家になり、自分で定期的に見に行くことが難しい場合、空き家管理サービスを利用する方法があります。
ただ、検索すると、不動産会社、空き家管理専門会社、警備会社、清掃会社、NPO、シルバー人材センターなど、さまざまなサービスが出てきます。
料金も月数千円から2万円近くまであり、単純に比べることはできません。
違いの大部分は、どこまで管理してもらうかです。
家の外から異常がないか確認してもらうだけなのか。
室内へ入り換気・通水までしてもらうのか。
掃除までしてほしいのか。
不審者が入った場合の警備まで必要なのか。
まず必要な管理内容を決め、その条件を満たすサービスを比較します。
空き家管理サービスは5タイプに分けて考える
空き家管理サービスは、会社名よりも提供内容で分けると選びやすくなります。
| タイプ | 主な内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 外観見守り型 | 外壁・庭・郵便・不法投棄・写真報告等 | 最低限の見回りを低コストで頼みたい |
| 室内管理型 | 外観+室内確認・換気・通水等 | 数か月以上空き家を保有する |
| 清掃・維持型 | 換気・通水+室内清掃・設備確認等 | 家をできるだけ現在の状態で保ちたい |
| 警備・防犯型 | 巡回+侵入監視・警備員駆けつけ等 | 防犯を特に重視したい |
| 地域型 | 外観見守り・写真報告・草刈り等 | 地域密着で必要な作業だけ頼みたい |
同じ月5,000円前後でも、外観を見るだけの会社もあれば、換気・通水まで行う会社もあります。
そのため料金ランキングより、必要な機能があるかを先に確認します。
1.外観見守り型|最低限の巡回を頼みたい場合
建物内部へ入らず、家や敷地の状態を外から確認するタイプです。
主な確認内容は、
- 外壁・屋根等の異常
- 窓の破損
- 雑草・庭木
- 不法投棄
- 郵便受け
- 写真付き報告
などです。
家の内部に入る必要はなく、まず「異常が起きていないことを定期的に確認してほしい」という場合に向いています。
NPO法人空家・空地管理センターでは、月1回の外観確認、草木確認、ポスト、写真付き報告等を含む戸建て向けプランを月2,750円で提供しています。
一方、室内へ入らないプランでは、換気や通水は行われません。
長期間保有する家では、それで十分なのかを確認します。
2.室内管理型|換気・通水まで任せたい場合
長期間空き家になるなら、室内まで入るタイプを検討します。
一般的には、
- 外観確認
- 室内確認
- 換気
- 通水
- 雨漏り・カビ確認
- 郵便物確認
- 写真報告
などが組み合わされます。
NPO法人空家・空地管理センターでは、月6,600円の上位プランに室内確認、換気、通水等が含まれています。
また、地域の管理会社には、月3,000〜8,000円台で室内換気・通水まで行う例もあります。
「室内管理」という名称だけでなく、全室へ入るのか、水回りは何か所確認するのかまで確認します。
3.清掃・維持型|室内をある程度きれいに保ちたい場合
単なる見回りより、掃除まで含めて家を維持したい場合には清掃系サービスがあります。
ダスキンの空家点検サービスでは、定期的な訪問で清掃、点検、通気・通水を行い、状態を報告します。
2026年9月時点では、一軒家で延床面積120㎡未満の場合、月1回15,400円です。
掃除機や水を使う作業があるため、水道・電気の契約状況によってできない作業が出る場合があります。
また、床面積が基準を超える場合や駐車場がない場合などは追加費用が発生する可能性があります。
4.警備・防犯型|不法侵入などが特に心配な場合
空き家の防犯を重視するなら、警備会社系のサービスがあります。
ALSOKの「るすたくサービス」は、日本全国での対応を掲げています。
2026年9月時点では、
- 見回り・投函物整理:月7,700円
- ホームセキュリティ付き:月11,000円
- ホームセキュリティ+換気・通水等:月18,700円
です。
セキュリティ契約を付けると、不審者の侵入等を検知した場合に警備員が現場へ駆けつける仕組みを利用できます。
空き家管理とホームセキュリティは同じものではありません。
月1回巡回だけで十分なのか、24時間の防犯まで必要なのかを分けて考えます。
5.地域型・シルバー人材センター|必要な見守りだけ頼みたい場合
自治体と連携したシルバー人材センターなどが、空き家見守りサービスを提供している地域もあります。
ただし、全国共通の商品ではありません。
各地域のセンターが独自に、サービス内容と料金を設定しています。
例えば、多治見市シルバー人材センターでは、
- 建物外観
- 雑草・庭木
- 郵便物
- 写真撮影
- 報告書
を含む見守りサービスが1回2,500円です。
池田市では、屋外確認2,500円、屋内確認3,800円、屋内+屋外5,000円という例があります。
地域によっては草刈り、剪定、簡単な修繕等を追加で依頼できます。
近くのシルバー人材センターが空き家管理を扱っているかは、地域ごとに確認してください。
東京ガスのように「家のお手入れ」まで行うサービスもある
東京ガスの「実家のお守り」は、月1回スタッフが訪問し、利用者との現地カウンセリングで決めた範囲の作業を行うサービスです。
作業例には、
- 換気
- 通水
- 草木確認
- 草むしり
- 簡易清掃
- 外観・内観確認
- 郵便物回収
- 写真報告
があります。
2026年9月時点では、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の対象地域で提供されています。
全国型のサービスではないため、「有名な会社だから利用できる」と考えず、実家の住所が対象か確認します。
空き家管理サービス選びで確認したい10項目
1.実家の住所が対応エリアか
全国展開を掲げるサービスもありますが、都道府県全域が対象とは限らない会社もあります。
市区町村、場合によっては町名まで確認します。
2.巡回は月に何回か
月1回が多いものの、年4回や単発で利用できる地域サービスもあります。
「管理サービスあり」だけではなく訪問回数を確認します。
3.室内へ入るか
外観確認だけなのか、鍵を預けて室内へ入ってもらうのかは大きな違いです。
長期保有なら換気・通水を含むサービスが必要か検討します。
4.換気・通水の範囲
「換気あり」と書かれていても、何分行うのか、全室か一部かはサービスによって違います。
通水も、キッチン・洗面所・浴室・トイレなど何か所行うか確認します。
5.郵便物をどう扱うか
ポストを確認するだけか、室内に置くのか、指定住所へ転送するのかで違います。
転送は送料や手数料が別にかかる場合があります。
6.写真付きの報告があるか
遠方から管理を委託する場合、報告内容は重要です。
「異常なし」という文章だけより、同じ場所を定期的に写真で確認できる方が状態の変化を把握しやすくなります。
国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでも、写真または写真付き書面等による報告が重視されています。
7.鍵をどう管理するか
室内管理を頼む場合は鍵を預けることになります。
確認するのは、
- どこで保管するか
- 誰が取り扱えるか
- 紛失時の対応
- 契約終了時の返却方法
です。
「鍵を預ければあとは任せられる」と考えず、管理方法を契約前に確認します。
8.異常を見つけたとき勝手に修理しないか
雨漏りや外壁破損が見つかった場合、管理会社から修理会社を紹介されることがあります。
その際、どの金額までなら連絡なしで作業するのか、必ず事前承認が必要なのかを決めておきます。
管理料金と修繕費は別です。
9.台風・地震後に確認してくれるか
通常巡回とは別に、災害後の確認へ対応する会社があります。
ただし、
- 基本料金に含む
- 回数制限がある
- 追加料金
- サービス対象外
など条件が違います。
台風の多い地域や遠方の家では確認しておきたい項目です。
10.草刈り・剪定は「確認」だけではないか
「庭の確認」と「草を実際に刈る」は別作業です。
基本料金では雑草の状態を写真で報告するだけで、草刈りは別料金という会社も多くあります。
庭が広い実家では、管理月額より草刈り・剪定料金の方が大きくなることがあります。
サービスのタイプ別に向いている人
| 重視すること | 候補にしやすいタイプ |
|---|---|
| できるだけ安く異常だけ把握したい | 外観見守り型・地域型 |
| 家を数年保有したい | 室内管理型 |
| 室内をきれいな状態に保ちたい | 清掃・維持型 |
| 不法侵入が特に心配 | 警備・防犯型 |
| 地元で草刈り等も相談したい | 地域業者・シルバー人材センター |
| 将来売却・賃貸も相談したい | 不動産会社系 |
「一番良いサービス」があるのではなく、実家に必要な管理内容によって選択肢が変わります。
売却も考えているなら不動産会社系も候補になる
空き家を何年も保有するつもりがなく、近いうちに売却・賃貸・活用を検討するなら、不動産会社が提供する管理サービスも候補になります。
管理中に建物状態を確認しつつ、
- 売却
- 買取
- 賃貸
- リフォーム
- 解体
まで相談できる会社があります。
一方、「管理契約をすると将来その会社へ売却を依頼しなければならない」という条件がないかは確認します。
管理と不動産売却は別契約として比較できる状態にしておく方が選択肢を残しやすくなります。
契約前には作業内容と追加費用を書面で確認する
国土交通省は、不動産業者が空き家管理を受託する際のガイドラインを公表しています。
契約前に確認したいのは、
- 具体的な管理業務
- 報酬
- 追加費用
- 鍵の取扱い
- 家財の盗難・紛失等のリスク
- 異常を発見した場合の対応
- 修繕費用の負担
- 管理報告の方法
- 災害発生時の対応
です。
「月額料金だけ聞いて契約する」のではなく、その金額で具体的に何を行うのかを確認します。
2〜3候補を同じ条件で比較する
サービスを比較するときは、会社ごとに別の希望を伝えないようにします。
例えば、
- 月1回
- 外観確認
- 室内確認
- 全室換気
- キッチン・洗面・浴室・トイレの通水
- 郵便確認
- 写真報告
- 台風後の臨時確認の条件
という同じ条件で比較します。
そのうえで、
- 基本料金
- 追加料金
- 対応地域
- 報告内容
- 鍵の管理
- 担当者との連絡方法
を見ます。
よくある質問
空き家管理サービスでは何をしてもらえますか?
外観確認、郵便物確認、写真報告などが基本です。室内管理プランでは換気・通水、雨漏り・カビ確認等が追加されることがあります。清掃や草刈り、防犯はサービスによって基本料金またはオプションになります。
空き家管理サービスはどこがおすすめですか?
一律の1社をおすすめすることはできません。費用を抑えて外観確認をしたいのか、室内換気まで必要なのか、防犯を重視するのかで適するサービスが変わります。必要な作業を決めてから対応会社を比較してください。
シルバー人材センターでも空き家を管理してくれますか?
空き家見守りサービスを実施している地域があります。ただし全国共通のサービスではなく、料金・作業内容は各センターによって異なります。外観確認・写真報告が中心で、草刈り等を別途依頼できる例があります。
空き家管理サービスへ鍵を預けても大丈夫ですか?
室内管理では鍵を預ける必要がある場合があります。鍵の保管場所、取扱者、紛失時の責任、契約終了時の返却方法を契約前に確認してください。
写真付きの報告は必要ですか?
遠方から管理するなら有用です。前回と同じ場所の写真があれば、外壁・庭・室内などの変化を確認しやすくなります。国土交通省のガイドラインでも写真等を用いた管理報告が重視されています。
台風や地震後にも確認してもらえますか?
対応するサービスがありますが、基本料金内か追加料金かは会社によって異なります。通常の月1回巡回とは別に、災害時の臨時巡回条件を確認してください。
全国どこでも利用できるサービスはありますか?
ALSOKは全国対応を掲げています。一方、東京ガスの「実家のお守り」のように提供地域が限定されるサービスもあります。また、同じ全国系サービスでも住所や建物条件によって利用できない場合があるため、実家の住所で最終確認してください。
月額料金が安い会社を選べばよいですか?
料金だけでは判断できません。外観だけなのか、室内換気・通水・写真報告まで含むのかによって内容が異なります。必要な作業が含まれた状態の総額で比較してください。
空き家管理サービスは「会社名」より「必要な管理」で選ぶ
空き家管理サービスを探すと、有名企業から地域の事業者まで多くの選択肢があります。
しかし、最初から会社を決める必要はありません。
外観だけ見てもらえればよいのか。
換気・通水まで必要なのか。
掃除もしてほしいのか。
防犯まで必要なのか。
売却相談までしたいのか。
この条件を決めれば、比較するサービスの種類を絞れます。
そのうえで対応地域、報告方法、鍵の管理、災害時の対応、追加料金を確認し、2〜3候補を同じ条件で比較します。
空き家の具体的な管理内容については空き家の管理方法、費用については空き家の管理費用、実家を今後どうするかについては実家が空き家になったときの総合ガイドを参照してください。