空き家の防犯対策は何をする?侵入・放火・不法投棄を防ぐ管理方法

親が施設へ入居したり亡くなったりして実家が空き家になると、建物の劣化だけでなく防犯面も考える必要があります。

空き家の防犯というと、防犯カメラを付ければよいと考えがちですが、それだけでは十分とは限りません。

現金や貴重品を残さない、窓や扉を確実に施錠する、郵便物をためない、庭を荒れた状態にしない、定期的に人が訪れている状態をつくる。そのうえで必要に応じて補助錠、防犯フィルム、センサーライト、防犯カメラなどを追加するという順番で考えると整理しやすくなります。

警察庁の「令和7年の犯罪情勢」によると、2025年に発生場所が「空き家」とされた窃盗犯の認知件数は13,971件で、うち侵入窃盗は11,958件でした。

空き家を長期間保有するなら、「誰も住んでいない家」ではなく、「定期的に管理されている家」にしておくことが防犯の基本になります。

目次

空き家の防犯で最初にすること

高価な防犯機器を買う前に、まず家の中と外を一度整理します。

  1. 現金・貴金属・通帳などの貴重品を持ち出す
  2. 玄関・勝手口・すべての窓の施錠を確認する
  3. 割れた窓や壊れた扉を放置しない
  4. 郵便物・チラシをためない
  5. 庭木・雑草を整える
  6. 外から見える不要品を片付ける
  7. 定期的に見回る人を決める
  8. 必要なら防犯機器を追加する

防犯カメラを設置していても、窓が壊れたまま、郵便物が何か月もたまっている、庭が荒れ放題という状態では、長期間人がいないことが外から分かりやすくなります。

空き家を狙った窃盗は増えている

警察庁が公表した2025年の犯罪情勢では、発生場所が空き家となる窃盗犯の認知件数は13,971件でした。

年空き家での窃盗犯認知件数うち侵入窃盗
2020年3,425件3,180件
2023年8,996件8,189件
2024年10,814件9,314件
2025年13,971件11,958件

被害品では貴金属・宝石、家電製品、金属類などの増加も報告されており、建物内の現金だけをなくしておけばよいわけではありません。

エアコンの室外機など、建物の外にある設備が盗難対象になることもあるため、長期空き家では建物内部と敷地の両方を確認します。

1.現金・貴重品・重要書類を空き家に残さない

空き家になった直後は、家財整理が終わっておらず、親の現金、通帳、印鑑、貴金属、時計、ブランド品などが残っていることがあります。

まず防犯機器を設置するより、盗まれて困る物を家から出す方が優先です。

  • 現金
  • 預金通帳
  • 印鑑
  • 貴金属・宝石
  • 高価な時計
  • ブランド品
  • パスポートなどの本人確認書類
  • 権利関係の重要書類

大型家電や金属類など簡単に持ち出せない物についても、長期間保有する予定なら残す必要があるかを整理しておきます。

ただし、相続放棄を検討している場合などは、相続財産を自己判断で売却・処分することに法的な論点があります。防犯目的で移動・保管する場合も含め、相続手続きとの関係が不明なら専門家へ確認してください。

2.窓・玄関・勝手口を一つずつ確認する

空き家では玄関だけでなく、窓や勝手口などすべての侵入口を確認します。

警察庁の住宅防犯情報では、一戸建て住宅の侵入口では窓が多く、侵入手口ではガラス破りが主要な手口の一つとなっています。

  • 玄関の鍵が正常に掛かるか
  • 勝手口の鍵が壊れていないか
  • 窓のクレセント錠が閉まるか
  • 窓ガラスが割れたりひび割れたりしていないか
  • 物置・倉庫も施錠できるか
  • 古い錠前に不具合がないか

必要に応じて補助錠、防犯フィルム、防犯性能の高い建物部品などを検討します。

茨城県警は2026年8月時点の県内情報として、空き家対象侵入窃盗の8割以上がガラス破りだったと案内しています。地域データではありますが、窓対策を軽視しない理由の一つになります。

3.合鍵を玄関周辺に隠さない

遠方の空き家では、家族や業者が入れるよう、合鍵を現地へ隠しておきたくなることがあります。

しかし、郵便受け、植木鉢の下、玄関周辺、メーターボックスなど、第三者が見つけられる場所へ鍵を置くことは避けます。

警察庁も、玄関先の植木鉢や郵便受けなどへ鍵を置くことは危険と案内しています。

複数人が出入りする場合は、「誰が何本持っているか」を記録し、不要になった鍵は回収します。

4.郵便物をためない

郵便受けに郵便物やチラシが大量にたまっていると、長期間人が来ていないことが外から分かりやすくなります。

千葉県警も空き家の防犯対策として、郵便受けの片付けと定期的な訪問を案内しています。

  • 定期巡回時に郵便受けを空にする
  • 必要な郵便物の送付先を変更する
  • 不要な広告・チラシをためない
  • 遠方なら家族や管理サービスへ回収を依頼する

日本郵便の空き家見守りサービスでも、郵便受けの確認や投函物の送付が防犯対策の一部として提供されています。

5.庭木・雑草を放置しない

庭木や雑草の手入れは、景観だけでなく防犯にも関係します。

草木が生い茂ると、建物が長期間管理されていない印象を与えるだけでなく、窓や建物周辺に死角が増えることがあります。

警察も、庭木の手入れを行い「放置されていない状態」にすることを空き家防犯の一つとして案内しています。

  • 道路・隣地側の雑草を確認する
  • 玄関・窓の周辺に死角をつくらない
  • 庭木の越境を防ぐ
  • 敷地内のごみ・段ボール等を片付ける
  • 脚立や工具など侵入に利用されそうな物を外へ放置しない

草刈りの頻度は全国一律ではありません。季節・地域・敷地によって異なるため、現地の状態に応じて管理します。

6.防犯カメラ・センサーライトを必要に応じて追加する

基礎的な管理を整えたうえで、防犯カメラやセンサーライトを追加する方法があります。

防犯設備主な役割確認したいこと
防犯カメラ映像記録・遠隔確認・けん制電源、通信、録画方法、死角、映像管理
センサーライト人の動きに反応して照明設置場所、電源、誤作動
補助錠窓・扉の侵入抵抗を増やす窓や扉との適合
防犯フィルムガラス破りへの対策製品性能、施工方法
ホームセキュリティ異常検知・通知・駆けつけ等月額費用、初期費用、対応範囲

千葉県警や茨城県警も、防犯カメラ・センサーライト、補助錠・防犯フィルムなどを空き家の防犯対策として案内しています。

ただし、一つの機器を付ければ侵入を防げると考えるのではなく、施錠、窓対策、郵便物、庭、巡回など複数の対策を組み合わせます。

防犯カメラを設置するときは撮影範囲にも注意する

防犯カメラは自宅敷地や玄関、侵入経路を確認できる位置に設置します。

その際、隣家の窓や庭など、第三者の私生活空間を必要以上に撮影する配置は避けた方がよいでしょう。

個人情報保護委員会は、特定の個人を識別できる防犯カメラ映像は個人情報に該当し得るとしています。また、事業者が防犯カメラを利用する場合には、利用目的や撮影していることを認識できるようにする措置などについて考え方を示しています。

空き家管理会社や警備会社へ映像管理まで任せる場合は、誰が映像を閲覧できるか、保存期間、クラウドへの保存方法なども契約前に確認します。

7.定期的に人が来ている状態をつくる

警察が空き家防犯で繰り返し案内しているのが、定期的な見回りです。

見回りでは、家の中だけでなく外から分かる変化を確認します。

  • 玄関・窓に破損がないか
  • 施錠されているか
  • 郵便物がたまっていないか
  • 庭木・雑草が伸びすぎていないか
  • 見覚えのない物が置かれていないか
  • ごみが捨てられていないか
  • 室外機や設備がなくなっていないか
  • 不審な足跡・破損などがないか

全国一律に「何日に1回見回れば安全」という基準があるわけではありません。

建物の状態、地域、周囲の環境、自宅からの距離などに応じて管理体制を決めます。

8.近隣との連絡手段を作っておく

隣家や近隣住民と関係がある場合は、空き家になったことと所有者・管理者の連絡先を伝えておく方法があります。

千葉県警も、定期的な訪問とあわせて、近隣住民と連携し、不審な動きがあった場合に連絡してもらえる体制づくりを案内しています。

ただし、防犯を近隣へ任せるという意味ではありません。あくまで異常に気付いた際の連絡経路を作っておくという位置付けです。

不法投棄を防ぐには敷地を「捨てやすい状態」にしない

管理されていない空き家では、ごみや不要品を不法投棄される問題もあります。

敷地にすでに不要品やごみが放置されていると、さらにごみを置かれやすい状態になることがあります。

  • 敷地内の不要品を片付ける
  • 門扉を閉める
  • 壊れたフェンス等を補修する
  • 庭を定期的に管理する
  • 見回り時に新しいごみがないか確認する
  • 必要に応じてカメラ・照明を検討する

不法投棄を発見した場合は、誰が捨てたか分からない物を自己判断で危険物まで処理せず、物の内容や状況に応じて自治体・警察等へ相談してください。

放火対策は可燃物を外へためないことから

空き家では、侵入だけでなく放火などの火災リスクにも注意が必要です。

敷地内や建物周囲に、段ボール、古紙、枯れ草、家具など燃えやすい物を放置しないようにします。

  • 枯れ草・落ち葉をためない
  • 段ボール・古紙を屋外へ放置しない
  • 家財をごみのように庭へ積まない
  • 門扉・窓・扉を施錠する
  • 不審者が入り込みやすい破損箇所を直す

火災保険に入っていても、空き家を適切に管理しなくてよいわけではありません。空き家化後も現在の火災保険を継続できるかは商品・使用状況によって異なるため、契約先への確認も必要です。

侵入された形跡があった場合はどうする?

窓ガラスが割れている、鍵が壊されている、家の中に誰かが入った形跡がある場合は、安全確認を優先します。

  1. 不審者が現在もいる可能性があるなら無理に入らない
  2. 犯罪が進行中・人がいる場合は110番する
  3. 物を動かしたり片付けたりする前に警察へ相談する
  4. 必要に応じて保険会社へ連絡する
  5. 警察確認後に窓・鍵などを修理する
  6. 今後の管理方法を見直す

遠方から現地へ到着して異変に気付いた場合も、自分一人で建物内へ入って確認しようとしない方が安全です。

遠方の空き家は見回りを外注する方法もある

実家が遠方にあり、自分で定期的に訪問できない場合は、空き家管理・見守りサービスを利用する方法があります。

サービスによって異なりますが、次のような確認を依頼できる場合があります。

  • 建物外観
  • 玄関の施錠
  • 郵便受け
  • 不法投棄
  • 庭木・雑草
  • 隣地への越境
  • 不法侵入の形跡
  • 写真付き報告

日本郵便の空き家みまもりでも、外観、庭木・雑草、郵便受け、不法投棄、玄関施錠などの確認がサービス内容に含まれています。

管理サービスを比較するときは、単に訪問回数だけでなく、「異常を発見したとき何をしてくれるのか」まで確認してください。

防犯対策にいくらかけるべき?

空き家防犯に全国共通の適正金額はありません。

補助錠やセンサーライト程度で対応する家もあれば、防犯カメラ、通信回線、ホームセキュリティ、管理サービスまで必要な家もあります。

最初から高額な設備をすべて導入するより、次の順番で考えると過剰な支出を避けやすくなります。

  1. 貴重品をなくす
  2. 鍵・窓・破損箇所を直す
  3. 郵便物・庭・ごみを管理する
  4. 定期巡回を決める
  5. 建物の立地や被害リスクに応じて防犯機器を追加する
  6. 自主管理できなければ管理・警備サービスを比較する

長期間誰も使わない家に毎年管理費・防犯費・固定資産税・保険料を払い続けるのであれば、保有を続けること自体も一度見直す必要があります。

空き家の防犯チェックリスト

  • 現金・貴重品を撤去した
  • 重要書類を安全な場所へ移した
  • 玄関を施錠した
  • 勝手口を施錠した
  • すべての窓を確認した
  • 割れた窓・壊れた扉を修理した
  • 合鍵を玄関周辺に隠していない
  • 郵便物をためていない
  • 庭木・雑草を管理している
  • 不要品・可燃物を屋外へ放置していない
  • 定期巡回する人を決めた
  • 近隣との連絡手段がある
  • 必要な場所に補助錠等を設置した
  • 必要に応じて照明・カメラ等を検討した
  • 異常発見時の連絡先を決めた

よくある質問

空き家は本当に泥棒に狙われていますか?

警察庁の2025年統計では、発生場所が空き家となる窃盗犯の認知件数は13,971件、うち侵入窃盗は11,958件でした。2020年以降、認知件数は増加しています。

空き家には防犯カメラを付けた方がいいですか?

有効な選択肢の一つですが、すべての空き家に必須というわけではありません。まず貴重品、窓・鍵、郵便物、庭、定期巡回を整え、立地や管理頻度に応じて防犯カメラやセンサーライトを追加します。

郵便物をためると防犯上よくないですか?

警察も、郵便物をためず定期的に回収することを空き家の防犯対策として案内しています。長期間不在であることが外から分かりにくい状態を保つことが重要です。

空き家に現金を残しても、鍵を掛けていれば大丈夫ですか?

おすすめできません。警察も空き家対策として現金・貴重品の回収を案内しています。盗難だけでなく、侵入時に家財を荒らされる可能性もあるため、盗まれて困る物はできるだけ残さない方がよいでしょう。

空き家は何日ごとに見回ればいいですか?

全国共通の法定巡回回数はありません。建物の状態、周囲の環境、季節、庭木、遠方かどうかなどを基に決めます。自分で継続できない場合は管理サービスを利用する方法があります。

近所の人に見てもらえば管理サービスは不要ですか?

近隣との連携は有効ですが、空き家管理そのものを近所へ任せるという意味ではありません。施錠、郵便物、庭、建物の状態などは所有者側で確認できる体制を作る必要があります。

防犯カメラは隣の家まで映しても問題ありませんか?

自宅防犯に必要な範囲を基本とし、隣家の窓や庭など私生活空間を必要以上に撮影しない配置にした方が、近隣トラブルを避けやすくなります。管理会社や警備会社のサービスを利用する場合は、映像の保存・閲覧・管理方法も確認してください。

防犯機器だけでなく「管理されている状態」を維持する

空き家の防犯は、防犯カメラを付けて終わりではありません。

貴重品を残さず、窓・扉を施錠し、郵便物をためず、庭を管理し、定期的に人が訪れる。この基本を整えたうえで、必要に応じて補助錠、防犯フィルム、センサーライト、防犯カメラ、ホームセキュリティを追加します。

遠方で継続的な見回りができない場合は、家族だけで抱えず管理サービスを利用する方法もあります。

一方、今後誰も住む予定がなく、防犯・草刈り・火災保険・固定資産税などの維持費だけが積み上がっているなら、空き家を保有し続けることが最適かも見直してみてください。

実家を残す・管理する・売る・解体するという全体の進め方から整理したい場合は、実家じまいの進め方もあわせて確認してください。

参考資料

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