空き家管理サービスはどう選ぶ?5タイプの違いと比較ポイント

実家が空き家になったものの、遠方で毎月通えない。売却するかまだ決めていないので、当面は状態を悪化させずに維持したい。

こうしたときに利用できるのが、所有者に代わって空き家を定期的に確認する「空き家管理サービス」です。

ただし、空き家管理サービスはどこへ頼んでも同じではありません。

建物の外から確認するだけのサービスもあれば、鍵を預けて室内へ入り、換気・通水・清掃まで行うサービス、防犯センサーと警備員の駆けつけまで組み合わせられるサービスもあります。

そのため、会社名や月額料金から選ぶより、

  • 何を管理してほしいのか
  • 室内へ入ってもらう必要があるか
  • 防犯まで必要か
  • 毎月どのような報告を受けたいか
  • 将来、売却・賃貸・解体を考えているか

を先に決め、その条件に合うサービスを比較する方が選びやすくなります。

目次

空き家管理サービスは何をしてくれる?

代表的な管理内容は次のとおりです。

  • 建物外観の確認
  • 玄関・窓などの施錠確認
  • 庭木・雑草の確認
  • 不法投棄の確認
  • 郵便物・チラシの確認
  • 室内の換気
  • 水道・排水口への通水
  • 雨漏り・カビ・破損の確認
  • 簡易清掃
  • 写真付き報告
  • 台風・地震等の後の臨時確認
  • 防犯センサー・警備員の駆けつけ

ただし、これらがすべて基本料金に含まれるわけではありません。

「空き家管理」という同じ名称でも、実際の作業範囲は会社・プランごとにかなり違います。

空き家管理サービスは5タイプに分けて考える

タイプ 主な内容 向いているケース
外観見守り型 外観、施錠、庭、郵便受け、不法投棄等 自分でも時々室内管理できる
室内維持型 外観+室内確認、換気、通水 遠方で室内へ入れない
清掃・手入れ型 換気、通水、室内清掃、草むしり等 家の状態を比較的きれいに維持したい
防犯・駆けつけ型 巡回+侵入・火災監視、警備員対応 防犯を重視する
不動産連携型 管理+売却・賃貸・活用等の相談 数年管理し続ける予定がない

一つの事業者が複数タイプのサービスを提供していることもあります。

タイプ1|外観見守り型

最もシンプルなのは、家の中へ入らず、外から状態を確認するタイプです。

代表的な確認項目は、

  • 外壁・玄関等の異常
  • 施錠
  • 庭木・雑草
  • 郵便受け
  • 不法投棄
  • 隣家への越境

です。

郵便局の空き家みまもり

日本郵便の「郵便局の空き家みまもり」は、月1回、空き家近くの郵便局が物件を訪問します。

2026年9月時点では、

  • 住宅外観
  • 庭木・雑草
  • 郵便受箱
  • 不法投棄
  • 玄関の施錠
  • 玄関周辺
  • 隣家への越境物

の7項目を確認し、最大5枚の写真を含む報告書をメールで受け取れます。

月額は4,280円(税込)、月1回、全国対応です。

室内へ毎月入ってもらう必要はなく、まず家の外の異常を把握したい人が比較しやすいサービスです。

NPO法人の外観管理

NPO法人 空家・空地管理センターの「空き家あんしん管理」は、2026年9月時点で月2,750円(税込)です。

建物外観、草木、ポスト、近隣からの連絡などを確認し、写真付きで報告します。

室内の換気・通水は基本プランには含まれません。

タイプ2|室内の換気・通水まで行うタイプ

家まで何時間もかかり、自分ではほとんど行けない場合は、室内へ入って管理してもらうタイプを検討します。

特に確認したいのは、

  • 全室または一部の換気
  • 水道の通水
  • 排水口への通水
  • 雨漏り
  • カビ
  • 床・壁の異常
  • 窓・室内扉

などです。

NPO法人 空家・空地管理センターでは、月6,600円(税込)の「空き家あんしん管理プラス」で、外観確認に加えて室内確認・換気・通水などを行っています。

外観だけで十分なのか、室内まで毎月見てほしいのかで必要なプランは大きく変わります。

タイプ3|清掃や庭の手入れまで重視するタイプ

「家の異常がないか確認する」だけでなく、室内や庭をある程度きれいな状態に維持したい場合は、清掃型のサービスが向いています。

ダスキンの空家点検サービス

ダスキンは空き家を定期訪問し、

  • 清掃
  • 建物点検
  • 通気
  • 通水

を行うサービスを提供しています。

清掃では、床の掃除機がけ・モップがけ、ベランダ・玄関、トイレなども対象になります。

2026年9月時点の戸建て標準料金は、延べ床面積120㎡未満で月1回15,400円(税込)です。

外から家を見るだけではなく、「人が住んでいる家に近い状態で手入れしたい」場合に比較しやすいタイプです。

東京ガス「実家のお守り」

東京ガスの「実家のお守り」は、首都圏の対象地域で月1回訪問し、現地カウンセリングで必要な作業を決めます。

作業例として、

  • 換気
  • 草木確認
  • 草むしり
  • 簡易清掃
  • 外観・内観確認
  • 通水
  • 郵便物回収
  • 写真報告

などが案内されています。

固定された作業内容ではなく、現地の状態や希望に合わせて内容を決めたい場合に比較しやすいサービスです。

タイプ4|防犯・警備まで任せるタイプ

空き家の管理で、建物劣化よりも不法侵入や火災などの防犯面が気になる場合は、警備会社系のサービスがあります。

ALSOK「るすたくサービス」

ALSOKの基本サービスでは、月1回の見回りと投函物整理を行います。

さらに、プランによって、

  • 侵入監視
  • 火災検知
  • 警備員の駆けつけ
  • 換気
  • 通水
  • 建物内外の確認

を追加できます。

2026年9月時点の公式料金は、

  • 見回り・投函物整理:月7,700円
  • ホームセキュリティ付き:月11,000円
  • ホームセキュリティ+換気等:月18,700円

です。

防犯まで必要な家と、月1回の状態確認だけでよい家では、選ぶサービスが変わります。

タイプ5|不動産会社等へ管理から出口まで相談する

空き家を何十年も保有する予定ではなく、

  • 売却するかもしれない
  • 賃貸できるか知りたい
  • 解体するか迷っている
  • 管理を続ける費用が負担になっている

場合は、不動産会社等が提供する管理サービスも候補になります。

国土交通省も、不動産会社が空き家管理の段階から関わることで、管理だけでなく売却・賃貸・活用等へつなげる役割を期待しています。

空き家を維持すること自体が目的ではなく、数か月・数年後に手放す予定なら、管理契約と同時に出口も相談しておく方法があります。

どの空き家管理サービスを選べばよい?

会社を探す前に、次の5問へ答えてみます。

1.室内へ入ってもらう必要がある?

自分や家族が定期的に帰れるなら、外観見守りだけを委託する方法があります。

年に数回しか帰れないなら、換気・通水まで任せる方が管理しやすくなります。

2.清掃まで必要?

換気と通水だけでよいのか、室内清掃・庭の草むしりまでしてほしいのかを分けます。

作業量が増えれば料金も変わります。

3.防犯はどこまで必要?

月1回、人が見に行くことで十分なのか、侵入・火災監視や警備員の駆けつけまで必要なのかを決めます。

4.いつまで管理する予定?

3か月だけ管理するのと、5年間管理するのでは総費用が大きく違います。

売却予定があるなら、管理サービスを探すのと並行して査定を受ける方法もあります。

5.何を一番不安に感じている?

  • 庭木・近隣迷惑 → 外観・庭中心
  • 湿気・カビ → 室内換気・通水中心
  • 汚れ → 清掃中心
  • 不審者 → 防犯中心
  • 長期保有負担 → 不動産相談も含める

というように、不安の種類から必要なサービスを決めます。

料金ではなく「基本料金に何が含まれるか」で比較する

例えば、月2,750円と月15,400円のサービスを料金だけで比較しても意味がありません。

一方は外観中心、もう一方は室内へ入り清掃・通水等まで行うサービスだからです。

比較表を作るなら、少なくとも次の項目を揃えます。

比較項目 候補A 候補B 候補C
月額
訪問回数
外観確認
施錠確認
室内立入り
換気
通水
清掃
庭・草木
写真報告
災害後確認
防犯・駆けつけ
追加料金

写真付きの報告を受けられるか確認する

遠方の空き家では、管理作業が実際に行われたか、自分では確認できません。

国土交通省の「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」では、管理作業の完了後に報告を行い、写真・動画・テキスト等によって作業内容を確認できるようにすることが望ましいとしています。

契約前に、

  • 毎回写真が届くか
  • 何枚程度か
  • 異常箇所を撮ってくれるか
  • 過去の報告を見返せるか
  • 異常時は次回報告を待たず連絡してくれるか

を確認します。

毎月同じ場所を撮影してもらえると、庭木、ひび、雨漏り跡等の変化を比較しやすくなります。

鍵をどう保管するか確認する

室内管理では、サービス提供会社へ鍵を預けることがあります。

その場合は、

  • 鍵をどこで保管するか
  • 住所と鍵を分けて管理するか
  • 鍵を利用できるスタッフの範囲
  • 紛失時の対応
  • 契約終了時の返却方法

を確認します。

国土交通省も、鍵の取扱いは契約前に説明し、管理委託契約で明確にしておくべき重要項目としています。

貴重品は管理開始前に移す

空き家の中に、

  • 現金
  • 通帳
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 高価な時計
  • 美術品

などを残したまま第三者へ鍵を渡すのは避けた方がよいでしょう。

国土交通省のガイドラインでも、空き家管理を開始する前に、所有者側の責任で貴重品を搬出しておくことが望ましいとしています。

大型家具など動かせない物がある場合は、破損時の責任範囲を契約で確認します。

追加料金が発生する作業を確認する

基本料金には含まれないことが多い作業があります。

  • 草刈り
  • 庭木剪定
  • 大量の落ち葉処理
  • 郵便物転送
  • 臨時巡回
  • 台風・地震後の確認
  • 害虫・害獣対応
  • 修繕
  • 大型ごみ処分
  • 雪下ろし

特に庭が広い実家では、基本料金より草刈り・剪定費用が大きくなることがあります。

修理を勝手に発注されないか確認する

巡回中に雨漏りや破損が見つかる場合があります。

そのとき、

  • まず所有者へ報告する
  • 一定額以下なら会社判断で修理する
  • 必ず見積もりを取って承認を得る

など、契約によって対応が異なります。

追加費用が必要になる場合の負担や承認方法は、契約前に決めます。

台風・地震後にどう対応するか

月1回の通常巡回だけでは、台風の翌日に屋根が壊れていても、次の巡回まで気づかない可能性があります。

遠方の実家なら、

  • 災害後に自動で巡回するか
  • 依頼すれば臨時巡回できるか
  • 追加料金はいくらか
  • 危険な場合はどこまで対応するか

を確認します。

警備型サービスでは異常検知後の駆けつけに対応できる場合がありますが、通常の管理会社は報告のみの場合もあります。

対応エリアは必ず住所で確認する

「全国対応」と書かれていても、離島や山間部など物件所在地によって利用できない場合があります。

地域限定型のサービスもあります。

東京ガスの「実家のお守り」のように、東京・神奈川・千葉・埼玉の対象地域で提供するサービスもあります。

会社を比較する前に、実家の郵便番号・住所を伝え、実際に訪問可能か確認します。

契約期間と解約条件も見る

実家を売却する予定なら、長期契約が負担になる場合があります。

確認したいのは、

  • 最低契約期間
  • 自動更新の有無
  • 解約申出期限
  • 解約手数料
  • 売却が決まった場合の解約方法

です。

例えばALSOKの「るすたくサービス」は1年契約で、その後1年単位の自動更新と案内されています。

東京ガスのサービスでは、提供3回未満で契約を終了する場合に解約手数料が設定されています。

短期間だけ管理したい場合は特に確認してください。

空き家管理サービスに統一的な許認可制度があるわけではない

国土交通省は、さまざまな主体が空き家管理サービスを提供している一方、業務の適正化を図る統一的な制度が存在しないことを背景に、不動産業者向けの空き家管理受託ガイドラインを策定しています。

そのため、単に「空き家管理のプロ」と表示されていることだけで判断せず、実際の契約内容を確認することが重要です。

契約前に確認したい12項目

  • □ 実家の住所が対応エリア内か
  • □ 月何回訪問するか
  • □ 外観だけか、室内へ入るか
  • □ 換気・通水を行うか
  • □ 清掃・庭管理をどこまで行うか
  • □ 写真付き報告があるか
  • □ 異常発見時にいつ連絡するか
  • □ 鍵をどう管理するか
  • □ 貴重品・家財の責任範囲
  • □ 追加料金が必要になる作業
  • □ 災害時の臨時対応
  • □ 契約期間・解約条件

管理会社へ任せても所有者の判断が不要になるわけではない

空き家管理サービスは、所有者の代わりに売却や大規模修繕を自動的に判断してくれるサービスではありません。

管理会社が雨漏りや建物破損を見つけた場合、最終的に、

  • 修理する
  • 最低限の応急対応だけする
  • 売却する
  • 解体する

などを決めるのは所有者側です。

管理を外注しても、報告内容を毎月確認します。

こんな場合は管理サービスだけで解決しようとしない

すでに、

  • 建物が大きく傾いている
  • 屋根・外壁が落下しそう
  • 大規模な雨漏りがある
  • 近隣へ危険を及ぼしている
  • 自治体から指導を受けている

場合は、通常の月1回巡回だけでは問題を解決できません。

国土交通省のガイドラインも、すでに管理不全状態が深刻な住宅については、まず悪影響の原因を解消する必要があるとしています。

この場合は、修繕、除却、売却等を含めて対応します。

数年間使う予定がないなら、売却等も同時に比較する

空き家管理サービスは、家を保有し続けるための手段です。

月額がそれほど高くなくても、3年・5年と利用すれば管理費は積み上がります。

さらに、

  • 固定資産税
  • 保険
  • 庭管理
  • 修繕
  • 光熱費

なども発生します。

家族が使う予定がなく、保有する理由も明確でない場合は、管理会社選びと同時に売却・賃貸・活用・解体も比較します。

空き家管理サービスを選ぶ手順

  1. 空き家で困っていることを書き出す
  2. 自分でできる管理を分ける
  3. 外観だけか、室内管理まで必要か決める
  4. 清掃・庭・防犯の必要性を決める
  5. 実家住所に対応するサービスを探す
  6. 2〜3候補へ同じ条件で問い合わせる
  7. 基本料金に含まれる作業を比較する
  8. 写真報告・鍵管理を確認する
  9. 追加料金・災害対応を確認する
  10. 契約期間・解約条件を確認する
  11. 必要なら売却・活用も並行して検討する

よくある質問

空き家管理サービスでは何をしてくれますか?

建物外観、施錠、郵便物、庭木等の確認から、室内の換気・通水・清掃、防犯まで、サービスによって異なります。会社名より先に必要な管理内容を決めて比較してください。

空き家管理サービスは月に何回来ますか?

月1回のサービスが多く見られますが、全国共通の決まりではありません。契約する会社・プランの訪問頻度を確認してください。

郵便局でも空き家管理を頼めますか?

日本郵便は「郵便局の空き家みまもり」を全国で提供しており、月1回、外観・庭木・玄関施錠等7項目を確認し、写真付きで報告します。

家の中まで入って管理してもらえますか?

室内管理プランのあるサービスなら可能です。換気・通水・室内点検・清掃など対応範囲が異なるため、基本料金に何が含まれるか確認してください。

鍵を預けても大丈夫ですか?

室内管理では鍵を預ける場合があります。保管方法、利用できるスタッフ、紛失時の責任、契約終了時の返却方法を契約前に確認してください。また、現金や貴金属等は事前に搬出する方が安全です。

写真付き報告は必要ですか?

遠方では作業状況を直接確認できないため有用です。国土交通省のガイドラインでも、写真・動画等で管理作業の完了を確認できる形で報告することが望ましいとされています。

一番安い空き家管理サービスを選べばよいですか?

料金だけでは判断できません。外観確認だけのプランと、室内換気・通水・清掃・警備まで行うプランでは内容が異なります。必要な作業を揃えて比較してください。

台風や地震の後も見てもらえますか?

サービスによります。通常巡回とは別に臨時巡回を依頼できる会社もありますが、追加料金となる場合があります。

空き家管理サービスには資格や許可がありますか?

空き家管理サービス全体について、全国統一の業務適正化制度が設けられているわけではありません。国土交通省は不動産業者向けに管理受託ガイドラインを策定しています。会社名だけで判断せず、契約内容・報告・鍵・責任範囲を確認してください。

不動産会社へ管理を頼むメリットはありますか?

会社によりますが、売却・賃貸・活用まで相談できる場合があります。今後何年も空き家として保有する予定がないなら、管理と出口を同時に相談する方法があります。

「おすすめ会社」より先に、自分に必要な管理を決める

空き家管理サービスに、すべての人に共通する1位はありません。

外から月1回見てもらえれば十分な家もあれば、室内の換気・通水が必要な家、防犯設備まで必要な家もあります。

まず、

  • 外観
  • 室内
  • 清掃
  • 庭
  • 防犯
  • 災害対応
  • 写真報告

のどこまで必要かを決めます。

その条件を同じにして2〜3社を比較し、鍵、追加料金、報告、契約期間まで確認してから契約します。

そして、管理を何年続けるのかも同時に考えます。

実家を今後も保有するか、売却・活用・解体へ進むか決まっていない場合は、実家じまいの全体像から家の出口も整理しておくと、管理だけを何年も続ける状態を避けやすくなります。

参考にした公式情報

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