空き家の解体業者はどう選ぶ?許可・見積もり・契約で確認する10項目

空き家となった実家を解体すると決めても、「どの会社へ頼めばよいのか」で迷うことがあります。

解体工事は、完成した家を買うのとは違い、工事が終われば建物そのものがなくなります。

そのため、単純に一番安い会社を選ぶのではなく、

  • 必要な許可・登録があるか
  • 現地を見て見積もっているか
  • どこまで壊すかが明確か
  • 追加料金の条件が書かれているか
  • アスベスト調査を適切に行うか
  • 廃棄物をどのように処理するか
  • 近隣への対応をどうするか
  • 事故が起きたときの対応はどうなるか

まで確認してから契約することが重要です。

国土交通省も、住宅の解体を事業者へ依頼するときは、建設業法の許可事業者または建設リサイクル法の登録事業者へ発注し、複数の事業者から見積もりを取り、書面で契約するよう案内しています。

この記事では、空き家の解体業者を選ぶときに確認したいポイントを、依頼前から契約・工事完了まで順番に整理します。

目次

空き家の解体はどこに頼む?

主な探し方には、次のようなものがあります。

探し方 特徴
地域の解体工事会社へ直接依頼 施工会社と直接やり取りしやすい
複数社見積もりサービスを利用 対応可能な複数社を探しやすい
不動産会社から紹介を受ける 売却と解体を一緒に相談しやすい
工務店・ハウスメーカー等へ相談 建替え等と一緒に進めやすい

どの経路が必ず安い、必ず優良ということはありません。

紹介を受けた会社でも、一括見積もりで紹介された会社でも、最終的には自分で契約内容を確認します。

解体業者選びで確認したい10項目

1.必要な許可・登録があるか

最初に確認したいのが、工事を請け負うために必要な許可・登録です。

国土交通省は、住宅の解体を依頼するときは、

  • 建設業法の許可事業者
  • または建設リサイクル法の登録事業者

へ発注するよう案内しています。

ただし、「建設業許可を持っていない会社はすべて違法」という意味ではありません。

建設業法では、一定の軽微な工事のみを請け負う場合、建設業許可が不要となる場合があります。

その一方、解体工事業を営む場合には、建設リサイクル法に基づく解体工事業者登録が必要となるケースがあります。

つまり確認するべきなのは、会社のホームページに「解体専門」と書かれているかではなく、その会社が実際に必要な許可・登録を受けているかです。

建設業許可は国の検索システムで確認できる

建設業許可を受けた事業者は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確認できます。

会社名を聞いたら、

  • 正式な法人名
  • 所在地
  • 許可番号
  • 許可を受けている業種

を確認してみましょう。

国土交通省によると、建設業許可の有効期間は5年間です。

ホームページに古い許可番号が載っているだけで判断せず、現在の情報を確認します。

解体工事業者登録は都道府県で確認する

建設リサイクル法に基づく解体工事業者登録は都道府県知事が行います。

実家所在地の都道府県で、

「○○県 解体工事業者 登録簿」

などと検索するか、担当部署へ確認します。

国土交通省も都道府県ごとの解体工事業者登録の問い合わせ窓口を公開しています。

2.現地調査をしてから正式見積もりを出すか

空き家解体は、延床面積だけでは正確な費用を出せません。

現地では、

  • 建物構造
  • 延床面積
  • 前面道路
  • 重機が入れるか
  • 隣家との距離
  • 塀・門・カーポート
  • 庭木・庭石
  • 物置
  • 残置物
  • 井戸・浄化槽

などを確認します。

写真だけで概算を取ること自体は候補選びに使えますが、契約前には現地調査後の正式見積もりを確認した方が安全です。

3.見積書の工事範囲が具体的か

見積書が、

「木造家屋解体工事 一式 150万円」

だけでは、どこまで含まれているか分かりません。

少なくとも、

  • 仮設・養生
  • 建物本体
  • 基礎
  • 廃材運搬・処分
  • 塀・門等の外構
  • 庭木
  • 物置
  • 整地
  • アスベスト事前調査
  • 残置物
  • 諸経費

などの扱いを確認します。

「一式」という表記があること自体が問題なのではなく、その中身を説明できるかが重要です。

4.追加料金になる条件が書かれているか

解体工事では、工事開始後に初めて分かるものがあります。

代表的なのが、

  • 地中に残された古い基礎
  • 浄化槽
  • 井戸
  • 地中のコンクリート
  • 過去の建築廃材

などです。

これらまで契約時に完全に予測することは難しいため、「追加料金が絶対に発生しない会社」を探すというより、追加が必要になったときの手順を確認します。

例えば、

  1. 追加対象を写真で報告する
  2. 追加見積もりを提示する
  3. 所有者が了承する
  4. その後に追加工事を行う

という流れです。

「現場で必要になったものはすべて追加請求」とだけ書かれている契約より、追加時の承認方法が明確な契約の方が比較しやすくなります。

5.アスベスト事前調査をどう行うか

建築物等を解体するときは、あらかじめ石綿(アスベスト)の使用の有無を調査する必要があります。

建築物については、一定の資格を持つ調査者による事前調査が必要です。

さらに、建築物の解体部分の床面積が80㎡以上の場合は、石綿の有無にかかわらず事前調査結果の行政への報告対象です。

ここで注意したいのは、80㎡未満だから事前調査自体が不要になるわけではないことです。

業者へ、

  • 誰が事前調査を行うか
  • 調査費は見積もりに含まれるか
  • 分析が必要になった場合はいくらか
  • 石綿が見つかった場合はどう再見積もりするか

を確認します。

6.解体廃棄物の処理方法を説明できるか

建物を解体すると、木くず、コンクリート、金属など大量の建設廃棄物が発生します。

環境省は、建設工事では原則として発注者から直接工事を請け負う元請業者を、建設廃棄物の排出事業者としています。

元請業者には、廃棄物を適正に処理し、外部へ委託する場合も許可を持つ処理業者へ適切に委託し、マニフェスト等で処理を管理する責任があります。

所有者が一枚一枚マニフェストを管理する制度ではありませんが、業者へ、

  • 解体廃材をどう処理するか
  • 誰が運搬するか
  • どのような処理会社へ委託するか

を質問できるようにしておくとよいでしょう。

「産廃収集運搬許可を自社で持っていない会社はダメ」ではない

ここは誤解しやすい点です。

解体会社自身がすべての産業廃棄物収集運搬・処分を自社で行う必要はありません。

元請業者が適正な許可を持つ収集運搬・処分業者へ委託する仕組みもあります。

したがって、自社の産廃収集運搬許可がないという一点だけで不適切な解体会社と判断するのではなく、誰がどの許可で廃棄物を処理するのかを確認します。

家庭の残置物と建物の解体廃材は別

さらに注意したいのが、実家の中に残った家具・家電・衣類などです。

家庭から出るこれらの残置物は、建物を壊して発生する建設廃棄物とは別に扱います。

家庭の不要品を「解体工事の産廃として全部一緒に処分する」前提にせず、自治体の家庭ごみ・粗大ごみ、家電リサイクル、適切な一般廃棄物処理ルートなどを確認します。

7.書面で契約するか

国土交通省も、解体工事では書面による契約書の取り交わしを勧めています。

契約書では、少なくとも、

  • 工事する建物
  • 解体範囲
  • 残す外構
  • 工事金額
  • 工期
  • 支払い方法・時期
  • 追加工事の条件
  • 地中埋設物
  • アスベストが見つかった場合
  • 近隣対応
  • 事故・損害発生時の対応
  • 契約変更・中止時の扱い

を確認します。

電話や口頭で説明を受けた重要事項は、できるだけ見積書・契約書・メールなど記録に残る形にします。

8.近隣対応をどこまで行うか

解体工事では、

  • 騒音
  • 振動
  • 粉じん
  • 工事車両

が発生します。

工事前の近隣挨拶を、

  • 業者が行うのか
  • 所有者も同行するのか
  • どの範囲へ挨拶するのか

確認します。

また、隣家との距離が近い場合は、工事前に隣地境界付近や外壁等の写真を記録するかも確認しておくと、工事後に問題が起きたときの確認材料になります。

9.事故・破損が起きた場合の対応を確認する

解体工事では、重機や大型車両を使用します。

隣家、塀、道路設備などを損傷した場合に、どのような手順で対応するか確認します。

損害賠償責任保険等へ加入している会社であれば、

  • 保険の有無
  • 対象となる事故
  • 補償額

を確認できます。

保険加入だけで優良会社と決まるわけではありませんが、事故時の対応体制を比較する材料になります。

10.工事完了後に何を受け取れるか

解体後は、土地がきれいになったかだけでなく、

  • 工事完了写真
  • 追加工事の記録
  • 最終請求書
  • 必要な証明書類

を確認します。

登記されている建物を解体した場合は、建物がなくなった日から1か月以内に建物滅失登記を行う必要があります。

申請に必要となる書類について、工事会社からどの書類を受け取れるかも工事前に聞いておくと、その後の手続きが進めやすくなります。

解体業者は何社くらい比較する?

国土交通省は「複数の者への見積り」を勧めています。

実務上は、同じ条件で2〜3社程度から現地見積もりを取ると比較しやすくなります。

ただし、数を増やせば増やすほどよいわけではありません。

5社・10社と現地対応すると、

  • 立会い
  • 電話
  • 見積条件の整理
  • 営業対応

の負担も増えます。

まず候補を絞り、その中から同条件で比較します。

相見積もりでは同じ条件を伝える

例えばA社には塀の撤去を頼み、B社には建物だけを頼めば、見積額は当然違います。

比較するときは、

  • 母屋を解体
  • 基礎を撤去
  • 道路側の塀は残す
  • 物置は撤去
  • 庭木2本を撤去
  • 残置物は自分で処分
  • 整地まで依頼

など、同じ条件を伝えます。

最安値の業者を選べばよい?

安い見積もりそのものが悪いわけではありません。

自社で効率よく施工できる、処分場が近い、重機や車両を自社保有しているなどの理由で、合理的に安い場合もあります。

ただし、1社だけ大幅に安い場合は、

  • 基礎撤去が入っているか
  • 廃材処分費を含むか
  • 養生費を含むか
  • 外構を含むか
  • 石綿調査費を含むか
  • 整地を含むか
  • 追加料金の条件が広すぎないか

を確認します。

比較するのは「見積総額」ではなく、同じ工事をしたときの最終的な金額と契約条件です。

自社施工の解体業者の方がよい?

「自社施工」と書かれている会社は、営業会社から別会社へ丸ごと依頼するケースに比べ、施工担当者との距離が近い場合があります。

ただし、自社施工であることだけで品質を保証できるわけではありません。

解体工事には、

  • 重機作業
  • 運搬
  • 廃棄物処理
  • 石綿除去

など複数の専門事業者が関わる場合があります。

重要なのは「全部自社か」ではなく、元請会社が工事全体を把握し、責任を持って管理しているかです。

解体会社自身に廃棄物処分場がなくても問題ない?

処分場を自社所有していない解体会社もあります。

建設廃棄物を、必要な許可を持つ収集運搬・処分会社へ適切に委託していれば、それだけで問題とは言えません。

逆に、「全部自社です」と説明されても、必要な許可・処理方法が確認できなければ判断材料としては不十分です。

一括見積もりサービスを使ってもよい?

解体会社を自分で探すのが難しい場合は、一括見積もり・マッチング型サービスを使う方法もあります。

特に遠方の実家では、対応エリアの会社を探す時間を減らせます。

利用する場合は、

  • 何社へ情報が送られるか
  • どのような基準で業者を登録しているか
  • 利用者側に費用がかかるか
  • 紹介後に直接契約するのか
  • 断った後の連絡方法

などを確認します。

一括見積もりサービスが業者の品質を完全に保証するものではないため、紹介された会社についても許可・登録、見積書、契約内容を確認します。

不動産会社から紹介された解体業者なら安心?

実家売却を相談している不動産会社から解体業者を紹介されることもあります。

売却スケジュールと解体工事を調整しやすいメリットがありますが、紹介された会社へ必ず頼まなければならないわけではありません。

解体費が大きい場合は、別の解体会社からも見積もりを取り、比較する方法があります。

解体前に不動産会社と解体業者の両方へ相談する場合

空き家を売却する予定なら、

不動産査定と解体見積もりを並行して取る

方法があります。

例えば、

  • 古家付きのまま売却
  • 買主決定後に解体
  • 先に解体して更地売却
  • 不動産会社へ現況買取

で最終的な手取りが変わるためです。

解体業者を決めることと、解体することを確定させることは別です。

補助金を使いたいなら契約前に自治体へ確認する

自治体によっては危険な空き家等の解体に補助制度があります。

制度によっては、交付決定前に契約・着工すると対象外になります。

補助金を使う可能性がある場合は、正式契約の前に実家所在地の自治体へ、

  • 対象物件か
  • 対象所有者か
  • 対象業者の条件
  • 必要な見積書
  • 申請時期

を確認します。

こんな説明をされたら内容をもう一度確認する

「今日契約すれば特別に安くする」

本当に期限のある割引なのか、それとも比較をさせないための営業なのか判断できません。

解体は高額な工事になるため、見積書と契約条件を確認してから決めます。

「追加費用は絶対にありません」

地中埋設物など契約前に見つからないものがあります。

「絶対に追加なし」という言葉より、何が見つかった場合に追加になるか、その際どう承認するかを確認します。

「許可関係は全部大丈夫です」

許可番号・登録番号を確認し、可能なら公的な情報で照合します。

「家具も全部産廃として処分できます」

家庭の残置物と建物解体で発生する産業廃棄物は同じ扱いではありません。

家庭の家具・家電等を実際に誰がどのルートで処理するのか確認します。

「アスベストは古い家だけなので調査不要です」

建築物等の解体では事前調査が必要です。

80㎡未満だから調査不要という説明も正確ではありません。

業者へ最初に聞く質問

問い合わせ時には、次のように聞くと必要情報を集めやすくなります。

確認項目 質問例
許可・登録 「解体工事に関する許可または登録番号を教えてください」
現地調査 「正式見積もり前に現地確認をしますか?」
石綿 「石綿事前調査は誰が行い、費用はいくらですか?」
廃棄物 「解体廃材はどのような体制で運搬・処分しますか?」
残置物 「家庭の家具・家電はどのように処理しますか?」
追加料金 「追加費用になる可能性がある項目を教えてください」
地中埋設物 「工事中に見つかった場合、承認前に作業しますか?」
近隣 「近隣挨拶や苦情対応はどこまで行いますか?」
事故 「隣家等を破損した場合の対応と保険を教えてください」
工事後 「完了後にどの書類を受け取れますか?」

解体業者を選ぶ流れ

  1. 本当に解体するかを確認する
  2. 売却予定なら建物付き査定も受ける
  3. 自治体の補助制度を確認する
  4. 実家所在地で対応できる業者を探す
  5. 許可・登録を確認する
  6. 2〜3社程度へ同条件で現地調査を依頼する
  7. 見積書の工事範囲を比較する
  8. 石綿・廃棄物・残置物の処理方法を確認する
  9. 追加費用・近隣・事故対応を確認する
  10. 書面で契約する
  11. 工事中の追加変更は書面等で確認する
  12. 完了状態と書類を確認する
  13. 必要な建物滅失登記を進める

よくある質問

空き家の解体はどこに頼めばよいですか?

建設業法の許可事業者または建設リサイクル法の登録事業者から候補を探します。地域の解体会社へ直接依頼するほか、不動産会社の紹介や一括見積もりサービスを利用する方法もあります。

建設業許可がない解体業者は違法ですか?

一律には言えません。建設業許可には軽微な工事の例外があり、解体工事業者については建設リサイクル法による都道府県知事登録の制度もあります。必要な許可または登録を確認してください。

解体工事業者の登録はどう確認できますか?

実家所在地の都道府県が管理します。都道府県の解体工事業者登録簿や担当窓口で確認できます。国土交通省も都道府県別の問い合わせ先を公開しています。

解体業者は何社から見積もりを取ればよいですか?

国土交通省は複数の事業者から見積もりを取ることを勧めています。実務上は2〜3社程度へ同じ条件で現地見積もりを依頼すると比較しやすくなります。

一番安い業者を選んでも大丈夫ですか?

安いこと自体は問題ではありません。ただし、基礎、廃材処分、養生、外構、石綿、整地など同じ範囲が含まれているかを確認します。追加料金の条件も比較してください。

自社施工の会社の方がよいですか?

必ずしも自社施工だけが正解ではありません。専門会社へ一部を委託する工事もあります。元請会社が施工体制・廃棄物処理・責任範囲を適切に管理しているかを確認することが重要です。

解体業者に産業廃棄物収集運搬の許可が必要ですか?

解体会社自身が必ずすべての廃棄物を運搬する必要はありません。必要な許可を持つ収集運搬・処分会社へ適正に委託する場合があります。誰がどのように処理するかを確認してください。

家具や家電も解体業者へ任せられますか?

対応する会社はありますが、家庭の家具・家電等は建物の解体廃材とは別の一般廃棄物です。実際に誰がどの制度・許可で収集運搬するのか確認します。

アスベスト調査をしない業者へ頼んでもよいですか?

建築物等の解体では石綿の事前調査が必要です。建築物では有資格者による調査が必要で、80㎡以上の解体は事前調査結果の報告対象です。

工事後は何をすればよいですか?

工事完了状態と最終請求内容を確認し、必要な書類を受け取ります。登記されていた建物は、解体後1か月以内に建物滅失登記を行います。

解体業者は「安い会社」ではなく「条件を確認できる会社」から選ぶ

空き家解体で重要なのは、有名な会社を選ぶことでも、最安値を選ぶことでもありません。

依頼先候補について、

  • 必要な許可・登録
  • 現地調査
  • 見積範囲
  • 追加料金
  • アスベスト
  • 廃棄物処理
  • 近隣対応
  • 事故対応
  • 契約内容
  • 工事後の書類

を同じ条件で比較します。

国土交通省も、許可・登録を受けた事業者へ依頼し、複数見積もりと書面契約を行うことを勧めています。

解体費が高額になりやすい実家では、まず2〜3社程度から同じ条件で現地見積もりを取り、「総額がいくらか」だけでなく「何が含まれているか」を確認してください。

まだ解体自体を決め切れていない場合は、先に空き家を解体するかどうかを整理し、売却予定なら建物付きでの不動産査定も並行して確認します。

実家全体の処分・売却・管理の順番から整理したい場合は、実家じまいの全体像から確認してください。

参考にした公的情報

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