空き家の解体費用はいくら?相場・見積もり内訳・追加費用を解説

空き家の解体を考え始めると、最初に気になるのが「結局いくら用意すればよいのか」です。

ネットで調べると「木造は1坪○万円」「30坪なら○万円」といった数字が出てきます。

ただし、空き家の解体費用には全国共通の公的な相場表があるわけではありません。

実際の費用は、

  • 木造・鉄骨造・RC造など建物の構造
  • 延べ床面積
  • 重機が入れる道路か
  • 隣家との距離
  • 塀・庭木・カーポート等を撤去するか
  • 家の中に残置物があるか
  • アスベストがあるか
  • 地中埋設物が見つかるか

などで大きく変わります。

そのため、坪単価は予算を考える入口として使い、最終的な金額は現地調査を受けた見積書で確認するのが基本です。

目次

空き家の解体費用はいくら?

2026年に公開されている民間の解体費用例を見ると、同じ木造住宅でも数字には幅があります。

公開元 木造の公開目安 30坪の場合
空き家のミカタ 3万〜5万円/坪 90万〜150万円
東京ガス「みらいほ」 3万1,000〜4万4,000円/坪 93万〜132万円
ノムコム 4万5,000〜6万円/坪 135万〜180万円

このように、木造30坪という同じ条件でも公開されている目安は一致しません。

地域、集計方法、料金に含める工事項目などが違うためです。

したがって「木造30坪なら必ず120万円」といった使い方はせず、木造30坪では100万円台の見積もりが出ることも多いが、現場条件によって大きく上下する程度の入口として考えます。

鉄骨造・RC造は木造より高くなりやすい

一般に、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造より解体費が高くなる傾向があります。

理由は、

  • 建物が頑丈で解体作業量が増える
  • 大型重機が必要になる
  • 鉄・コンクリート等の廃材量が多くなる
  • 基礎が大きい
  • 工期が長くなる場合がある

ためです。

ただし鉄骨造でも軽量鉄骨と重量鉄骨では違い、RC造でも建物規模、道路条件、基礎等によって変わります。

「鉄骨なら1坪○万円」と一つの数字だけで予算を決めないようにします。

国土交通省の「36,000円/㎡」は市場相場ではない

国土交通省の「令和8年度における住宅局所管事業に係る標準建設費等」では、不良住宅・空き家住宅等の除却工事について、

  • 木造:36,000円/㎡
  • 非木造:51,000円/㎡

という上限額が示されています。

ただし、これは国の住宅関連事業における補助金額算定の基準です。

一般の所有者が民間解体会社へ発注するときの「公的な解体相場」ではありません。

ネット上でこの数字を見つけても、「国が木造の解体費用を1㎡3万6,000円と決めている」とは考えないようにします。

解体費用は「坪単価×面積」だけでは決まらない

解体費用を大きく分けると、次のような項目があります。

費用項目 内容
仮設工事 足場、養生シート、仮囲い等
建物本体解体 屋根、壁、柱、床、基礎等の撤去
廃材処理 分別、積込み、収集運搬、処分
重機関連 重機回送、重機使用等
付帯工事 塀、門、カーポート、物置、庭木等
石綿関連 事前調査、分析、必要な除去作業
残置物 家具・家電・生活用品等
地中埋設物 古い基礎、浄化槽、井戸等
整地 解体後の土地を整える作業

見積もりを比較するときは、総額だけでなく、この内訳を見ることが重要です。

費用1|仮設・養生費

解体では、ほこりや廃材の飛散を抑えるため、足場や養生シートを設置します。

住宅密集地や隣家との距離が近い土地では、周囲への配慮がより必要になる場合があります。

見積書では、

  • 足場
  • 養生
  • 仮囲い

などが本体解体費に含まれているか、別項目になっているか確認します。

費用2|建物本体の解体

屋根、外壁、柱、床、基礎など建物本体を壊す費用です。

坪単価として表示される数字は、この部分を中心とすることが多いですが、会社によって含まれる範囲は同じではありません。

例えば、ある会社では基礎撤去・整地まで坪単価に含み、別の会社では付帯費用として分けることがあります。

坪単価を比較するときは、何を含んだ単価なのか確認します。

費用3|廃材の分別・運搬・処分

解体した建物は、壊して終わりではありません。

発生した、

  • 木材
  • コンクリート
  • 金属
  • 石膏ボード
  • その他の廃材

を分別し、処理施設へ運搬して適正に処理します。

処分場までの距離や地域の処理費用によって見積額が変わることがあります。

費用4|重機が入れない土地では高くなることがある

解体工事は、重機を使える方が効率的に進めやすくなります。

しかし、

  • 前面道路が狭い
  • 敷地まで車両が入れない
  • 細い路地の奥に家がある
  • 高低差が大きい
  • 周囲を建物に囲まれている

場合は、大型重機を使えなかったり、小型重機・手作業が増えたりします。

その結果、作業日数や人件費、廃材搬出の手間が増える場合があります。

空き家の住所と坪数だけでは正確な費用が分からない大きな理由の一つです。

費用5|塀・カーポート・物置・庭木は別料金になることがある

建物本体以外の物を撤去する場合は、付帯工事費として追加されることがあります。

例えば、

  • ブロック塀
  • 門扉
  • フェンス
  • カーポート
  • 物置
  • ウッドデッキ
  • 庭木
  • 庭石
  • コンクリート土間

などです。

全部撤去する必要があるとは限りません。

土地を売却する場合でも、境界部分の塀など、残した方がよい物がある可能性があります。

見積もり依頼時に「残す物」「撤去する物」を明確にします。

費用6|家具・家電などの残置物は建物解体と分けて考える

親が住んでいた空き家では、家の中に家具・家電・衣類等が大量に残っていることがあります。

家庭で使用していた物が不要物となった場合は、建物解体で発生する産業廃棄物とは別の一般廃棄物として扱われます。

そのため、

  • 自治体の家庭ごみ
  • 粗大ごみ
  • 一時多量ごみ
  • 家電リサイクル
  • 買取
  • 地域の適切な一般廃棄物処理ルート

へ分けて処理します。

「家財も建物も全部込み」という見積もりの場合は、家庭の残置物を実際に誰が収集・運搬し、どのように処理するのか確認します。

売れる物は処分前に確認する

家財の中には、

  • 貴金属
  • ブランド品
  • 比較的新しい家電
  • 家具
  • 工具
  • 骨董品

など、売却できる物が含まれている場合があります。

解体会社の工事範囲へすべて入れてしまう前に、残す物・売る物・処分する物を分けます。

費用7|アスベストで費用が増える場合がある

建物の解体・改修工事では、規模にかかわらず石綿(アスベスト)の事前調査が必要です。

建築物では、一定の資格を持つ調査者が事前調査を行います。

その結果、分析が必要になったり、石綿含有建材が見つかったりすると、通常の解体とは別の費用が発生する場合があります。

見積書では、

  • 石綿事前調査費
  • 分析費
  • 除去・処理費

のどこまでが含まれているか確認します。

80㎡未満でも事前調査は必要

「80㎡未満ならアスベスト調査は不要」という理解は誤りです。

事前調査そのものは工事規模にかかわらず必要です。

建築物の解体部分が80㎡以上の場合は、調査結果を行政へ報告する対象となります。

アスベスト費用は事前に確定しない場合もある

設計図書などで石綿含有の有無を確認できず、分析が必要になる場合があります。

さらに実際に含有建材が見つかれば、除去方法や量によって費用は変わります。

そのため、契約前に、

  • 調査料金はいくらか
  • 分析が必要な場合の単価
  • 石綿が見つかった場合は別見積もりか
  • 追加工事は所有者承認後に行うか

を確認します。

費用8|地中埋設物は工事後に初めて分かることがある

建物を解体して基礎を撤去した後に、地中から予想外の物が見つかる場合があります。

例えば、

  • 以前の建物の基礎
  • コンクリート
  • 浄化槽
  • 井戸
  • 古い配管
  • 廃材

などです。

地面の下は、現地調査でもすべて確認できるとは限りません。

このため、地中埋設物が見つかった場合の追加費用条件を契約前に確認します。

「追加工事一式」ではなく、発見後に見積もりを出してもらう

追加費用のトラブルを減らすために、

  1. 埋設物が見つかったら写真を送ってもらう
  2. 撤去が本当に必要か確認する
  3. 追加見積もりを出してもらう
  4. 金額に同意してから作業してもらう

という流れを契約前に確認しておくと安心です。

解体見積書では何を見る?

少なくとも次の項目を確認します。

確認項目 チェックすること
建物情報 構造・延床面積が合っているか
仮設工事 足場・養生等を含むか
本体解体 基礎まで含むか
廃材処理 運搬・処分費を含むか
重機 重機回送費等が別か
付帯物 塀・庭木・物置等の対象範囲
残置物 対象・処理方法・別料金
石綿 事前調査・分析・除去の扱い
地中埋設物 追加費用の決め方
整地 どの状態まで整えるか
諸経費 何が含まれるか
消費税 税込総額か

「解体工事一式」だけの見積書は内容を確認する

見積書に、

「木造住宅解体工事 一式 ○○万円」

とだけ書いてあると、何が含まれ、何が追加料金になるのか分かりません。

一式表記があること自体が直ちに問題というわけではありませんが、

  • 基礎
  • 処分費
  • 養生
  • 付帯物
  • 整地
  • 石綿

の扱いを聞いておきます。

見積もりは同じ条件で2〜3社を比較する

解体費用を比較する場合は、各社へ同じ工事範囲を伝えます。

例えば、

  • 母屋は全部解体
  • 物置は撤去
  • 道路側の塀は残す
  • 庭木3本は撤去
  • 家財は所有者側で処分
  • 整地まで依頼

という条件です。

条件が違うまま総額だけ比べると、「A社の方が30万円安い」と思っても、実は塀・庭木・整地が含まれていないだけということがあります。

現地を見ずに出た概算だけで契約しない

住所、写真、坪数だけでも概算を出せる会社はあります。

ただし、本契約前には現地調査を受けた方が、

  • 道路幅
  • 重機進入
  • 隣家
  • 外構
  • 庭木
  • 搬出経路

を反映した見積もりを取りやすくなります。

オンライン概算は候補を絞るために使い、最終価格と考えない方が安全です。

極端に安い見積もりも内訳を確認する

相見積もりで、1社だけ大幅に安い場合があります。

その場合は、

  • 廃材処分費まで含むか
  • 基礎撤去を含むか
  • 整地を含むか
  • 石綿調査を含むか
  • 重機回送費が別ではないか
  • 追加料金条件が広すぎないか

を確認します。

安いこと自体を問題視する必要はありませんが、同じ工事範囲なのかを確認することが重要です。

解体費用を抑える方法1|解体前に補助制度を確認する

自治体によっては、危険な空き家などの解体に補助制度があります。

ただし全国共通ではありません。

対象になる建物や補助額、申請時期も自治体ごとに異なります。

特に注意したいのが、契約・着工前の申請です。

例えば札幌市の2026年度危険空家等除却補助制度では、交付決定前に契約した工事は補助対象になりません。

そのため、補助金を使う可能性があるなら、

  1. 見積もりを取る
  2. 自治体へ制度を確認する
  3. 必要な申請をする
  4. 交付決定等を確認する
  5. その後契約する

という順番を確認します。

国の標準除却費と自治体の補助額は同じではない

国土交通省の令和8年度基準では、国の補助金額算定に使う除却工事費の上限として、

  • 木造36,000円/㎡
  • 非木造51,000円/㎡

が定められています。

しかし、所有者がこの金額を国から直接もらえるという意味ではありません。

実際の補助制度は自治体が設ける制度内容によって異なり、

  • 補助率
  • 上限
  • 建物要件
  • 所有者要件
  • 対象工事

も異なります。

実家所在地の自治体の2026年度募集要項で確認してください。

解体費用を抑える方法2|家財を先に分ける

家具・家電・生活用品が大量に残っていると、建物解体とは別に処理費用がかかります。

時間に余裕があるなら、

  • 残す物
  • 買取へ出す物
  • 自治体で処分できる物
  • 粗大ごみ
  • 家電4品目

を分けることで、民間へ依頼する物量を減らせる場合があります。

ただし、遠方から何度も通う交通費・時間まで含めて考えます。

解体費用を抑える方法3|付帯物を勝手に全部撤去しない

塀、庭木、カーポートなどは、撤去すれば費用がかかります。

売却予定なら、

  • 買主がそのまま使いたい
  • 隣地境界の塀なので残した方がよい

場合もあります。

不動産会社と相談し、不要な物だけ撤去します。

解体費用を抑える方法4|売却予定なら先に査定する

売却のために解体するのであれば、解体費だけを安くすることが目的ではありません。

最終的に残る手取りで比較します。

例えば、

  • 古家付きのまま売る
  • 残置物ありで売る
  • 解体して更地で売る

の各条件を不動産会社へ確認します。

100万円以上の解体費を先に払ったのに、売却価格がそれほど変わらなければ、解体しない方が手取りが大きかった可能性もあります。

固定資産税まで含めて解体時期を考える

住宅を解体し、翌年1月1日時点で住宅がなくなると、土地に適用されていた住宅用地特例が原則として使えなくなります。

そのため土地の固定資産税等が上がる場合があります。

一方で、解体した建物の固定資産税は翌年度から課税されなくなります。

解体費用の記事では詳細には立ち入りませんが、年末に工事する場合や、更地のまま長期間持つ予定の場合は、工事費だけでなく翌年度の税負担も確認します。

解体費用を準備するときは「見積総額+予備枠」で考える

解体工事では、契約前に確認できない地中埋設物などが見つかる可能性があります。

そのため、見積書の総額だけを銀行残高とぴったり合わせるのではなく、

  • 何が追加費用になる可能性があるか
  • 発生した場合にいくら程度かかるのか
  • 所有者の承認なしに追加工事をしないか

を確認します。

「予備費は必ず総額の○%必要」といった全国共通基準があるわけではありません。

自分の現場で追加リスクが何かを把握することが先です。

費用を比較する順番

  1. 建物の構造と延べ床面積を確認する
  2. 登記・固定資産税資料などから建物情報を確認する
  3. 残置物、外構、庭木などを確認する
  4. 売却予定なら先に不動産査定を取る
  5. 2〜3社へ同じ条件で現地調査を依頼する
  6. 見積書の工事項目を揃えて比較する
  7. 石綿調査・分析・除去の条件を確認する
  8. 地中埋設物等の追加料金条件を確認する
  9. 自治体の補助制度を契約前に確認する
  10. 工事後の土地利用・税負担も確認する

見積もり依頼前に準備しておく情報

  • 実家の住所
  • 建物の構造
  • 延べ床面積
  • 築年
  • 建物図面があれば図面
  • 前面道路の状況
  • 家の中の残置物量
  • 塀・物置・庭木等
  • 残す物・撤去する物
  • 売却予定の有無

図面がなくても見積もりは相談できますが、情報が揃っているほど各社へ同じ条件を伝えやすくなります。

よくある質問

空き家の解体費用はいくらですか?

全国共通の公的な相場はありません。2026年の民間公開例では、木造30坪について約90万〜180万円程度の目安が見られますが、道路、付帯物、石綿、残置物等で大きく変わります。現地見積もりで確認してください。

木造30坪なら100万円くらいで解体できますか?

100万円前後の公開例はありますが、必ずその金額でできるとは限りません。狭小道路、庭・塀、アスベスト、残置物、地中埋設物などで総額が増える場合があります。

坪単価には何が含まれますか?

会社によって異なります。建物解体だけの場合もあれば、基礎、廃材処分、整地等を含む場合もあります。見積書で内訳を確認してください。

鉄骨造は木造より高いですか?

一般に高くなる傾向がありますが、軽量鉄骨・重量鉄骨、延べ床面積、道路条件などで変わります。坪単価だけでなく現地見積もりで比較します。

RC造はどのくらいかかりますか?

木造より高い公開目安が多く見られますが、建物規模や基礎、重機、道路条件で幅が大きいため、全国一律の価格としては示せません。

アスベストがあると解体費用は上がりますか?

石綿含有建材が確認されれば、通常の解体とは別に適切な除去・処理が必要となり、費用が増える場合があります。事前調査・分析費がどこまで見積もりに含まれるか確認してください。

80㎡未満ならアスベスト調査費はかかりませんか?

80㎡未満でも事前調査は必要です。80㎡は調査結果報告の対象基準の一つで、調査自体が不要になる基準ではありません。

家具を残しておくと解体費用は高くなりますか?

家具・家電等の残置物を処分する作業が必要なら、建物解体とは別の費用が発生する場合があります。家庭の残置物は一般廃棄物として適切なルートで処理します。

解体費用の補助金はいくらですか?

全国共通額はありません。自治体ごとに対象建物、補助率、上限額、申請時期などが異なります。工事契約前の申請が必要な制度もあるため、先に自治体へ確認してください。

国土交通省の36,000円/㎡で解体できますか?

この金額は令和8年度の国の補助金算定に用いる標準除却工事費の上限であり、民間の市場価格ではありません。実際の解体費用は現地見積もりで確認します。

解体費用を安くするなら何をすればよいですか?

補助制度を契約前に確認する、同条件で複数見積もりを取る、家財を適切に整理する、不要な付帯物だけ撤去するなどがあります。売却予定なら、解体前に建物付き査定も受けて最終手取りを比較します。

空き家解体の費用は「坪単価」より見積総額の中身を見る

空き家解体の費用を調べるとき、坪単価は便利な入口です。

しかし実際に支払うのは、

  • 建物本体
  • 養生
  • 廃材処理
  • 重機
  • 外構
  • 庭
  • 残置物
  • アスベスト
  • 地中埋設物
  • 整地

などを含めた総額です。

まず構造・坪数で概算を知り、その後、同じ条件で2〜3社の現地見積もりを取ります。

さらに補助制度を契約前に確認し、追加料金が出る条件まで把握してから契約します。

まだ「本当に解体するべきか」が決まっていない場合は、解体費用だけで判断せず、建物を残したまま売却できる可能性も含めて比較してください。

参考にした情報

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