空き家の管理は何をする?換気・通水・庭・郵便のチェックリスト

親が施設へ入り実家が空き家になった、相続した家をまだ売るか決めていない――こうした場合でも、家を使わない期間の管理は必要です。

空き家管理というと「たまに窓を開ければよい」と思われがちですが、実際には、

  • 施錠
  • 換気
  • 通水
  • 雨漏り・カビ
  • 郵便物
  • 庭木・雑草
  • 屋根・外壁
  • 門・塀・擁壁
  • 災害後の確認

などを継続的に見ていく必要があります。

国土交通省も、当面活用や除却ができない空き家については適切な管理が不可欠として、空き家管理チェックリストを公開しています。

この記事では、自分で実家を管理するときに何を確認すればよいのかを、実際の巡回順に整理します。

目次

空き家管理で確認する項目一覧

場所 主な管理内容
玄関・窓 施錠、破損、不審な侵入跡
室内 換気、清掃、カビ、雨漏り、床・壁の異常
水回り 通水、排水口、漏水、水道メーター
郵便受け 郵便物・チラシの整理
屋根・外壁 剥がれ、ひび、傾き、落下しそうな部材
雨どい・バルコニー 落ち葉・ごみ・排水口の詰まり
庭 雑草、庭木、越境、落ち葉、ごみ
門・塀・擁壁 傾き、ひび、ぐらつき、水抜き穴
ライフライン 電気・水道・ガスを維持するか確認
災害後 台風、大雨、地震、大雪後の臨時点検

空き家はどのくらいの頻度で管理する?

空き家について「全国どこでも月1回巡回しなければならない」という法定ルールがあるわけではありません。

国土交通省は「一定の頻度」での点検や定期的な換気等を求めていますが、住宅の状態や地域条件によって必要な頻度は変わります。

一方、自治体の管理チェックシートでは、月1回程度を一つの管理目安としている例があります。

例えば渋川市では、

  • 通気・換気:月1回程度
  • 通水:月1回程度

を管理チェック項目として示しています。

そのため、自主管理ではまず月1回程度を目安として考え、建物・季節・距離に応じて回数を調整すると分かりやすいでしょう。

回数を増やした方がよいケース

  • 雨漏り等の不具合歴がある
  • 湿気が多い
  • 庭木・雑草の成長が早い季節
  • 老朽化が進んでいる
  • 過去に侵入・いたずら等があった
  • 台風・大雨・大雪・地震があった

逆に、近いうちに売却・解体が決まっている家でも、引渡しや工事開始まで完全に放置するのではなく、状態確認は続けます。

巡回前に準備しておきたいこと

鍵を管理する人を決める

家族の誰が鍵を持つのか整理します。

玄関だけでなく、勝手口、物置、車庫、門などの鍵も確認しておきます。

複数の親族が鍵を持っている場合は、誰が出入りしたか分からなくならないよう共有しておくと管理しやすくなります。

貴重品を空き家から移す

現金、通帳、印鑑、貴金属など財産的価値のある物は、可能であれば管理開始前に安全な場所へ移します。

国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでも、管理開始前に貴重品・財産的価値のある物を移動しておくことが望ましいとしています。

近隣へ連絡先を伝える

可能であれば近隣へ、

  • 家が空き家になったこと
  • 管理している家族の連絡先

を伝えておきます。

庭木の越境、破損、不審者などがあった場合、早く連絡をもらえることがあります。

最初に建物の外から異常がないか確認する

久しぶりに空き家へ行った場合は、すぐ中へ入らず、まず外から建物を確認します。

見る場所は、

  • 屋根
  • 軒
  • 外壁
  • 窓
  • 雨どい
  • 門
  • 塀
  • 庭

です。

瓦や外壁材が落下しそう、建物が明らかに傾いているなど危険がある場合は、無理に近づいたり屋根へ上ったりせず、専門業者へ相談します。

玄関・窓の施錠を確認する

空き家へ入ったら、玄関・窓の状態を確認します。

  • 鍵に異物が入っていないか
  • 窓が割れていないか
  • 施錠が壊れていないか
  • 不審な侵入跡がないか

などを見ます。

管理作業が終わったときにも、玄関・窓・勝手口等をもう一度確認します。

換気は空き家管理の基本

閉め切った家は湿気がこもりやすくなります。

巡回時には窓を開け、室内に風を通します。

東京都の空き家管理例では、

  • すべての窓を開ける
  • 押入れ・クローゼット等の収納扉も開ける
  • 換気扇を60分程度運転する

方法を紹介しています。

これは東京都が示している具体例であり、全国一律に「必ず60分」という決まりではありません。

家の広さ、窓の配置、湿度、天候などに合わせて行います。

雨の日でも換気する?

激しい雨や湿度が極端に高い日は、窓を長時間開けることで室内へ湿気を入れる場合があります。

天候を見ながら、換気扇や短時間の換気へ切り替えるなど調整します。

押入れ・クローゼットも開ける

部屋の窓だけ開けても、収納内部には湿気が残ることがあります。

押入れ、クローゼット、下駄箱などの扉も開け、内部に異常がないか確認します。

特に、

  • カビ
  • 湿った臭い
  • 壁の変色
  • 虫

などがないか見ます。

水道が使えるなら通水する

長期間水を使わないと、排水トラップの封水が減り、臭いや虫が上がってくることがあります。

東京都は管理例として、水道が使用できる場合、

  • 1分間ほど水を出す
  • 各排水口にも水を流す

方法を案内しています。

キッチン、洗面台、浴室などを順番に確認します。

これも全国共通で「1分」が義務という意味ではなく、具体的な管理例です。

水を流したら漏水も確認する

蛇口を開けるだけではなく、

  • 蛇口周辺
  • シンク下
  • 洗面台下
  • 床
  • 給排水管

に水漏れがないか確認します。

東京都は、水を使用していない状態で水道メーターが動いていないか確認する方法も示しています。

異常がある場合は、放置せず水道業者等へ相談します。

トイレも確認する

水道を維持している場合は、トイレも水を流し、

  • 正常に流れるか
  • 便器周辺に漏水がないか
  • 異臭がないか

を確認します。

長期間使わない家では、便器や排水口の水が減っていないかも見ます。

室内は雨漏り・カビ・床を確認する

空き家は普段人がいないため、小さな異常を発見しにくいことが問題です。

各部屋を回って、

  • 天井のシミ
  • 壁の変色
  • カビ
  • クロスの剥がれ
  • 床の浮き・腐食
  • 窓周辺の水跡
  • 異臭

を確認します。

雨漏りは放置すると被害が広がる可能性があるため、疑わしい跡があれば写真を残し、必要に応じて専門業者へ確認してもらいます。

郵便物・チラシをためない

ポストに郵便物やチラシが大量にたまると、長期間人がいないことが外から分かりやすくなります。

巡回時には郵便受けを確認し、不要なチラシを処分します。

親が施設へ移った場合などで今後長期間住まないのであれば、郵便物の転送等も検討します。

ただし、郵便物の中には固定資産税・保険・金融機関等の重要書類が含まれることがあるため、内容を確認せず一括廃棄しないようにします。

庭木・雑草を放置しない

庭は空き家で特に変化が大きい場所です。

確認するのは、

  • 雑草
  • 樹木の伸び
  • 隣地への越境
  • 道路へのはみ出し
  • 落ち葉
  • ごみ
  • 害虫・動物の痕跡

です。

庭木が電線や隣家へ近づいている場合、無理に高所作業をせず造園業者等へ依頼します。

屋根・外壁は「地上から見える範囲」で確認する

屋根や外壁では、

  • 瓦・屋根材のずれ
  • 軒の傾き
  • 外壁材の剥がれ
  • ひび
  • 錆
  • 窓ガラスの破損

などを確認します。

空き家管理のために、慣れていない人がはしごで屋根へ上る必要はありません。

高所や崩落の危険がある場所は、地上から写真を撮る程度にとどめ、異常があれば専門業者へ依頼します。

雨どい・バルコニーの排水口を見る

落ち葉やごみで排水口が詰まると、大雨時に水があふれる可能性があります。

安全に作業できる範囲で、

  • バルコニー
  • 玄関周辺
  • 地上から確認できる雨どい

に落ち葉やごみがたまっていないか確認します。

高所の雨どい掃除は無理に自分で行わないようにします。

門・塀・擁壁も確認する

門扉やブロック塀では、

  • ぐらつき
  • 傾き
  • 大きなひび
  • 破損

がないか確認します。

擁壁がある場合、国土交通省の管理チェックリストでは水抜き穴の清掃も管理項目に挙げています。

大きな亀裂や変形がある場合は、自分で補修せず専門家へ相談します。

大雨・台風・地震の後は予定外でも確認する

通常の定期巡回とは別に、大雨、台風、地震などの後には臨時確認を考えます。

東京都も、こうした災害の後は必ず点検を行うよう案内しています。

確認したいのは、

  • 屋根材・外壁材の落下
  • 窓ガラス
  • 雨漏り
  • 浸水
  • 塀・門
  • 庭木
  • 飛来物

などです。

ただし災害直後に危険な場所へ入る必要はありません。

安全を確認できない場合は、専門業者等へ確認を依頼します。

冬は凍結・積雪への対応も必要

寒冷地では、通常の管理に加えて冬季対策が必要です。

国土交通省の管理チェックリストでは、冬期の管理として、

  • 給水管の元栓の閉栓
  • 積雪状況に応じた雪下ろし

などを挙げています。

水道管が凍結する地域では、地域の水道事業者等の案内に従って水抜きを検討します。

屋根の雪下ろしは転落事故の危険があるため、自分で安全に行えない場合は業者へ依頼してください。

電気は止める?残す?

空き家になったら電気を必ず解約する、または必ず残すという全国共通の答えはありません。

国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでは、電気・水道の維持または使用中止は物件の状況によって判断するとしています。

例えば、

  • 換気設備
  • 防犯設備
  • ポンプ
  • その他、電気を必要とする設備

を利用するなら通電を維持する意味があります。

一方、通電を続ければ基本料金等がかかり、漏電等のリスクもあります。

何のために電気を残すのかを明確にして判断します。

水道は止める?残す?

管理時に通水・清掃へ水を使用するなら、水道を維持する方法があります。

一方、国土交通省の管理受託ガイドラインでは、排水トラップへの補水程度であれば、管理時に水を持参する方法も考えられるとしています。

水道を維持する場合は、

  • 基本料金
  • 漏水リスク
  • 寒冷地の凍結リスク

も考慮します。

寒冷地では冬だけ閉栓・水抜きを行うなど、地域条件に応じて判断します。

ガスはどうする?

国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでは、空き家の通常管理でガス供給が必要になるケースは少ないと考えられるため、一般的にはガスを閉栓し、LPガスの場合はボンベを取り外す方法を示しています。

ただし、建物の設備や今後の利用予定によって異なります。

契約中のガス会社へ確認したうえで対応してください。

毎回同じ位置から写真を撮る

空き家管理では、「前回と違うか」を判断できるようにすることが重要です。

巡回ごとに、

  • 建物正面
  • 外壁
  • 庭
  • 各部屋
  • 天井
  • 水回り
  • 気になっている箇所

をできるだけ同じ位置から撮影します。

写真を日付ごとのフォルダへ保存しておけば、ひび、雨漏り跡、庭木などの変化を比較しやすくなります。

巡回記録を残す

写真だけでなく、簡単な記録を残します。

項目 記録例
訪問日 2026年○月○日
天候 晴れ・雨など
換気 実施
通水 実施・漏水なし
郵便物 整理済み
室内 雨漏り・カビなし
外壁・屋根 前回から変化なし
庭 雑草増加、次回除草予定
対応事項 雨どい修理見積もり予定

兄弟姉妹で管理している場合は、記録を共有フォルダ等へ保存すると情報の食い違いを減らせます。

自分で管理し続けられるか判断する

自主管理が適しているのは、例えば、

  • 実家が近い
  • 定期的に訪問できる
  • 庭が大きくない
  • 建物の劣化が少ない
  • 家族で分担できる

場合です。

一方、

  • 片道数時間かかる
  • 飛行機・新幹線が必要
  • 高齢で作業が難しい
  • 庭や敷地が広い
  • 定期巡回できない
  • 災害後すぐ確認できない

場合は、管理サービスの利用を検討できます。

管理サービスへ任せる場合も「何をやるか」を確認する

空き家管理サービスは、会社によって内容が大きく異なります。

外観を見るだけのプランもあれば、

  • 室内点検
  • 換気
  • 通水
  • 郵便確認
  • 庭確認
  • 清掃
  • 写真報告
  • 警備・駆けつけ

まで含むサービスもあります。

国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでは、管理を依頼する際、作業内容だけでなく、実施回数・頻度、報酬、責任範囲、ライフラインなどを契約で明確にする考え方を示しています。

「月額○円」だけで決めず、何をどの頻度でしてくれるのか確認します。

こんな異常は早めに専門業者へ相談する

  • 雨漏り
  • 大きな外壁の剥離
  • 屋根材の落下
  • 床が大きく沈む
  • 建物・塀の傾き
  • 大きなひび割れ
  • 漏水
  • 害獣の侵入
  • 不法侵入の跡

空き家管理は「自分で全部修理すること」ではありません。

異常を早く見つけ、必要な専門家につなぐことも管理です。

空き家管理の巡回チェックリスト

チェック 確認内容
□ 玄関・窓・勝手口を施錠した
□ 郵便物・チラシを整理した
□ 窓・収納扉を開けて換気した
□ 水道・排水口へ通水した
□ 水漏れを確認した
□ 雨漏り・カビ・床の異常を確認した
□ 窓ガラス・外壁を確認した
□ 屋根・軒を地上から確認した
□ 排水口・雨どい周辺を確認した
□ 雑草・庭木・越境を確認した
□ 門・塀・擁壁を確認した
□ ごみ・動物・害虫の痕跡を確認した
□ 同じ位置から写真を撮った
□ 異常と対応予定を記録した
□ 退出時にもう一度施錠した

よくある質問

空き家管理は月に何回必要ですか?

全国共通の法定回数はありません。自治体のチェックシートでは月1回程度の換気・通水を管理例としているものがあり、自主管理の一つの目安にできます。ただし、建物状態・季節・立地に応じて調整し、災害後は臨時確認を考えます。

空き家の換気は何分すればよいですか?

全国共通の決まりはありません。東京都は具体例として、すべての窓・収納扉を開け、換気扇を60分程度運転する方法を案内しています。天候や家の構造に合わせて調整してください。

通水はどれくらい必要ですか?

東京都では、水道が使える場合に1分程度水を出し、各排水口にも水を流す方法を管理例として紹介しています。漏水がないかも一緒に確認します。

空き家の電気は解約した方がよいですか?

物件によります。防犯・換気設備等で電気が必要なら維持する場合があります。維持すれば基本料金や漏電リスクもあるため、使用目的を確認して決めます。

水道は止めても大丈夫ですか?

管理で水を使うか、寒冷地かなどによって判断します。水道を止めても管理時に排水トラップへ水を補給する方法がありますが、地域や設備に合わせて判断してください。

ガスは止めた方がよいですか?

国土交通省の空き家管理受託ガイドラインでは、通常の空き家管理ではガスが必要となる場面は少ないとして、閉栓する方法を一般的な考え方として示しています。実際の設備・利用予定を確認してガス会社へ相談してください。

台風のたびに見に行く必要がありますか?

東京都は、大雨・台風・地震後は点検するよう案内しています。ただし災害直後に危険な場所へ無理に入らず、遠方の場合は近隣の人や管理サービス、専門業者へ確認を依頼する方法もあります。

遠方の実家を自分だけで管理できますか?

距離、交通費、体力、家の状態によります。定期巡回や災害後の確認を継続できない場合は、管理サービスとの併用を検討します。

草刈りは毎月必要ですか?

全国一律の頻度はありません。季節や植物の種類、周辺環境によって成長速度が異なります。隣地や道路へ越境する前に対応できる頻度で確認します。

空き家管理サービスを頼むべきタイミングは?

遠方、年齢・身体的負担、定期巡回できない、災害後の確認が難しいなど、自主管理を継続できないと感じた段階で比較するとよいでしょう。

管理の目的は「きれいにすること」ではなく異常を早く見つけること

空き家管理で毎回大掃除をする必要はありません。

重要なのは、

  • 水漏れはないか
  • 雨漏りはないか
  • カビや腐食が進んでいないか
  • 屋根や外壁に異常がないか
  • 庭木が周囲へ迷惑をかけていないか
  • 侵入や破損がないか

を早い段階で見つけることです。

毎回同じチェック項目・同じ写真位置で記録すると、小さな変化を発見しやすくなります。

そして、自分で続けるのが難しくなったら管理サービスへ切り替えます。

そもそも今後も実家を保有するか、売却・活用・解体へ進むか決まっていない場合は、実家じまいの全体像も確認しながら、方針が決まるまで必要な管理を続けてください。

参考にした公的情報

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