実家が売れないのはなぜ?原因別の見直し方と仲介・買取の切り替え方

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実家を売りに出したのに、問い合わせがない。内覧には来てもらえるのに申込みが入らない。不動産会社から「この物件は難しい」と言われた。

このような場合、すぐに大幅な値下げをする必要があるとは限りません。

実家が売れない原因は、売出価格だけでなく、広告の見せ方、不動産会社の販売活動、建物や土地の条件、相続・共有などの権利関係までさまざまです。

重要なのは、「売れない」という一言でまとめず、問い合わせ・内覧・購入申込みのどの段階で止まっているかを確認することです。

原因が分かれば、値下げではなく写真や販売方法を変えるだけで改善する場合もあれば、一般の仲介より直接買取を比較した方がよい場合もあります。

目次

実家が売れないときは「どこで止まっているか」を確認する

まず、現在の売却状況を次の4段階に分けます。

現在の状況最初に確認すること
問い合わせがほとんどない売出価格、掲載写真・情報、販売範囲、地域需要
問い合わせはあるが内覧されない価格、物件情報、内覧条件、比較物件
内覧はあるが申込みがない内覧者の反応、室内・建物状態、価格、引渡条件
申込み後に契約へ進まない融資、物件条件、権利関係、契約条件

問い合わせすらない状態と、10組内覧したのに売れない状態では、見直すべきポイントが違います。

まず不動産会社に、問い合わせ件数、内覧件数、内覧後の反応、購入を見送った理由を確認してください。

原因1.売出価格が現在の市場と合っていない

実家が売れないときに最初に確認したいのが価格です。

売主にとっては思い出のある実家でも、買主は同じ地域・価格帯で販売されているほかの住宅と比較します。

周辺の物件より条件が厳しいのに価格が高ければ、問い合わせの段階で候補から外れる可能性があります。

ただし、「売れないから100万円下げる」と感覚だけで決めるのではなく、次を確認します。

  • 不動産会社が査定時に使った成約事例
  • 現在販売中の競合物件
  • 土地面積・建物面積・築年数の違い
  • 接道・形状・駅距離などの違い
  • 売り出してからの問い合わせ数
  • 内覧者から価格が高いという反応があったか

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域ごとの不動産取引価格や一定の成約価格情報を確認できます。

ただし、不動産価格は面積、形状、前面道路、建物状態、取引事情などで変わるため、近所で同じ価格の取引があったから自分の実家も同額で売れるとは限りません。

査定価格と売出価格は同じではない

不動産会社が提示する査定価格は、売却価格を決めるための参考価格です。

実際の売出価格は、査定価格、売主の希望、売却期限、競合物件などを踏まえて決めます。

査定額を大きく上回る価格で売り出して反響がない場合は、査定根拠と現在の販売データを確認して価格を見直します。

原因2.広告写真・物件情報で候補から外れている

問い合わせが少ない場合、価格だけでなくインターネット上の掲載内容も確認します。

  • 外観写真が暗い
  • 室内写真が少ない
  • 荷物で部屋の広さが分からない
  • 間取り図が見づらい
  • 土地の特徴が説明されていない
  • リフォーム履歴が掲載されていない
  • 駐車場・日当たり・周辺環境等の情報が不足している

購入検討者は内覧前にネット上で物件を絞り込みます。

写真や説明で魅力が伝わっていなければ、実際には条件のよい実家でも内覧まで進みません。

売却中のページを自分でも確認し、「この写真と説明だけで現地を見たいと思えるか」を見直してください。

原因3.内覧はあるが室内・建物の印象で止まっている

問い合わせ・内覧はあるのに購入申込みがない場合は、広告より現地での印象に原因がある可能性があります。

  • 大量の家財で室内を確認しにくい
  • 水回りの汚れやにおいが強い
  • 庭木・雑草が伸びている
  • 雨漏り跡などがある
  • 設備の故障が多い
  • 暗く、換気されていない
  • 価格に対して必要な修繕が多い

ただし、売却前に数百万円かけて全面リフォームする必要があるとは限りません。

まず不動産会社から内覧者の反応を聞き、清掃・整理だけでよいのか、最低限の補修が必要なのか、現況のまま価格へ反映する方がよいのかを判断します。

家財は査定前に全部捨てなくてもよい

相続した実家では、家具・家電・衣類などが大量に残っていることがあります。

家財が多いと内覧時に部屋の状態が分かりにくくなることはありますが、査定を受ける前に家を完全に空にする必要はありません。

重要書類・貴重品・家族が残したい物を確保したら、まず現状で査定し、仲介ならどこまで撤去が必要か、直接買取なら残置物ありで対応できるかを確認します。

原因4.築古・建物状態が買主層と合っていない

築30年、40年、50年以上の実家でも売却はできますが、新築・築浅住宅と同じ売り方が適しているとは限りません。

建物を利用したい買主が少ない地域では、

  • 中古戸建として売る
  • 古家付き土地として売る
  • 買主がリノベーションする前提で売る
  • 不動産会社等へ直接買い取ってもらう

など、買主層そのものを変える必要があります。

築古だからといって、査定前に解体や大規模リフォームを行う必要はありません。

原因5.立地や地域需要が弱い

駅から遠い、人口が少ない、住宅需要が弱い地域などでは、都市部と同じ速度で買主が見つからないことがあります。

これは家そのものの欠陥とは限りません。

地域の需要が少ないのであれば、価格だけでなく販売対象を広げる必要があります。

  • 土地を探している人
  • リフォーム前提の買主
  • 投資・賃貸利用を検討する買主
  • 隣地所有者
  • 地域を限定せず購入する買取事業者

地域によっては自治体等の空き家バンクが利用できる場合もあります。

ただし、登録すれば売却できることを保証する制度ではありません。

原因6.接道・再建築・境界など土地条件に問題がある

建物ではなく土地の条件が原因で、通常の住宅より売りにくくなるケースもあります。

  • 再建築できない可能性がある
  • 前面道路の扱いが分かりにくい
  • 接道条件に問題がある
  • 境界が確定していない
  • 越境がある
  • 私道の権利関係が複雑
  • 土地の形が特殊

このような場合、「再建築不可だから売れない」と最初の説明だけで決めつけないことも重要です。

道路・接道・境界などは図面だけでは判断できないケースもあるため、自治体、不動産会社、土地家屋調査士など必要な専門家を通じて実際の条件を確認します。

再建築不可であっても売却自体が禁止されるわけではありませんが、買主・融資・利用方法が限られるため、一般の住宅とは売却方法を変える必要があります。

売れないからと先に解体しない

古い実家が売れないと、「更地にすれば売れるのでは」と考えることがあります。

しかし、解体費をかければ必ず売却価格がその分上がるわけではありません。

さらに、土地条件によっては建物を壊した後の再建築に制約があることもあります。

解体するなら、先に次を比較してください。

  1. 現在の建物を残した査定
  2. 古家付き土地としての査定
  3. 更地にした場合の想定査定
  4. 実際の解体見積もり
  5. 直接買取の査定

原因7.相続登記・共有など権利関係が整理されていない

購入希望者がいても、売主側の権利関係が整理できていなければ契約・決済まで進められないことがあります。

  • 亡くなった親名義のまま
  • 遺産分割が終わっていない
  • 兄弟共有で1人が売却に反対している
  • 登記簿上の住所・氏名が現在と違う
  • 過去の相続が未登記

相続した不動産を売却するには、買主へ所有権を移転できるよう必要な相続登記を行う必要があります。

相続人申告登記は相続登記の基本的な義務を簡易に履行するための制度であり、それだけで相続不動産を売却するための所有権登記になるわけではありません。

原因8.不動産会社の販売方法が物件に合っていない

価格・物件に大きな問題がなくても、不動産会社の販売活動が合っていなければ売却が進まないことがあります。

担当者へ次を確認してください。

  • どの媒体へ掲載しているか
  • 問い合わせ件数
  • 内覧件数
  • 他社から問い合わせがあるか
  • 購入希望者からどんな反応があるか
  • 価格を見直す根拠
  • 今後1〜2か月で何を変える予定か

「もう少し待ちましょう」だけでなく、現在の反応と今後の改善策を具体的に説明してもらいます。

専任系の媒介ならレインズの取引状況を確認する

専属専任媒介契約・専任媒介契約で売却を依頼している場合は、指定流通機構(レインズ)への登録対象になります。

売主は不動産会社から交付された登録証明書を利用して、売主専用画面から自分の物件の取引状況を確認できます。

取引状況は、

  • 公開中
  • 書面による購入申込みあり
  • 売主都合で一時紹介停止中

の区分で確認できます。

2025年1月からは、宅建業者に物件の取引状況の登録が義務付けられています。

自分が依頼していないのに「売主都合で一時紹介停止中」となっているなど、実際の認識と登録状態が違う場合は、すぐに依頼している不動産会社へ確認してください。

登録表示だけで不正を断定するのではなく、まず事実関係を確認します。

不動産会社を変えるべき?

売れないからといって、必ず不動産会社を変更すべきとは限りません。

価格設定が市場とかけ離れていれば、会社を変えても同じ価格では売れない可能性があります。

一方、次のような場合は他社へ相談する意味があります。

  • 査定価格の根拠を説明してくれない
  • 販売状況の報告がほとんどない
  • 問い合わせ・内覧の原因分析をしていない
  • 掲載写真・情報の改善提案がない
  • 物件の弱点に合った売り方を提案できない
  • 仲介以外の選択肢を検討したい

現在の媒介契約の種類・契約期間・解約条件を確認したうえで、契約満了時などに他社への変更や複数社への相談を検討します。

売れないときこそ別の会社から査定を取る

現在の会社だけから「価格を下げましょう」と言われている場合は、別の不動産会社にも現状を見てもらう方法があります。

比較したいのは単なる査定額ではありません。

  • 現在の売出価格は妥当か
  • なぜ売れていないと考えるか
  • どんな買主を想定するか
  • 価格を変えずに改善できる点はあるか
  • 仲介を続ける場合の販売方法
  • 直接買取ならいくらか

を同じ条件で聞きます。

高い査定額を提示した会社ではなく、売れない原因とその価格根拠を説明できる会社を比較してください。

値下げは「反応を確認してから」行う

値下げは有効な手段ですが、原因を確認せずに小刻みに下げ続ける方法はおすすめできません。

値下げ前に、

  • 問い合わせが何件あったか
  • 内覧が何件あったか
  • 価格を理由に断られたケースがあるか
  • 競合物件がいくらで売り出されているか
  • 最近の成約価格はどの程度か

を確認します。

価格が原因なら、買主が比較する価格帯を踏まえて意味のある改定幅を不動産会社と検討します。

仲介から直接買取へ切り替える方法もある

売却期限を優先する場合や、一般の個人買主が付きにくい実家では、不動産会社等による直接買取も比較できます。

直接買取では、不動産会社等が買主になるため、一般の購入希望者を探す仲介とは仕組みが違います。

次のようなケースでは比較する価値があります。

  • 早く売却時期を確定したい
  • 築古・劣化が進んでいる
  • 残置物が多い
  • 再建築等の条件で買主が限られる
  • 遠方で内覧対応が難しい
  • 長期間仲介で売れなかった

ただし、買取価格が仲介で成立する価格と同じとは限りません。

また、「買取価格は必ず市場価格の何割」と全国一律に決まっているわけでもありません。

仲介を続けた場合の想定成約価格・費用・期間と、正式な買取査定の手取りを比較してください。

売却価格800万円以下の実家も不動産会社へ相談する

地方の築古実家では、売却価格が数百万円になることがあります。

以前は、低価格物件は不動産会社にとって仲介手数料が小さく、取扱いの負担とのバランスが課題になることがありました。

2024年7月1日から、売買価格800万円以下の宅地・建物については「低廉な空家等」の仲介手数料特例があり、一定の場合に依頼者一方につき税込33万円まで設定できる仕組みになっています。

この制度によって必ず不動産会社が扱ってくれるわけではありませんが、「価格が安いからどこも扱わない」と最初から諦めず、地域での低価格物件・空き家売却実績を持つ会社も含めて相談します。

実家が売れないときの立て直し手順

  1. 問い合わせ・内覧・申込みのどこで止まっているか確認する
  2. 現在の売出価格と査定根拠を確認する
  3. 周辺の販売物件・取引価格を確認する
  4. 掲載写真・間取り・物件説明を見直す
  5. 内覧者が見送った理由を不動産会社へ聞く
  6. レインズ等の販売状況を確認する
  7. 築古・境界・接道・権利関係など物件固有の問題を確認する
  8. 別の不動産会社からセカンド査定を取る
  9. 必要な対策だけ行う
  10. 価格改定・不動産会社変更・直接買取を比較する
  11. 売却価格ではなく最終手取りと売却期限で判断する

売れない実家で避けたい対策

  • 原因を確認せず大幅に値下げする
  • 査定前に大規模リフォームする
  • 古いという理由だけで建物を解体する
  • 重要書類まで家財と一緒に処分する
  • 不動産会社から反響データを確認しない
  • 高い査定額を出した会社だけを選ぶ
  • 再建築不可などの判断を十分確認せず諦める
  • 「買取なら必ず高く・すぐ売れる」と考える

売れない期間が長いときは維持費も比較する

高く売れるまで待つことが必ずしも最終的な利益につながるとは限りません。

実家を所有している間は、状況に応じて次の負担が続きます。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険等
  • 草刈り・庭木管理
  • 空き家管理
  • 水道・電気等の基本料金
  • 遠方からの交通費
  • 建物の劣化による修繕負担

「あと200万円高く売りたい」という希望と、そのために半年・1年保有した場合の費用・手間を比較します。

よくある質問

実家が全然売れない場合、最初に何を確認しますか?

まず問い合わせ件数、内覧件数、購入を見送られた理由を確認します。問い合わせがないのか、内覧後に決まらないのかで原因が違うためです。そのうえで価格、掲載情報、販売活動、物件条件を順番に確認します。

売れなければすぐ値下げした方がいいですか?

必ずしもそうではありません。写真・広告・販売活動が原因なら、価格を下げなくても改善できる場合があります。反響データ、競合物件、成約事例を確認してから価格改定を検討します。

内覧には来るのに売れないのはなぜですか?

価格、室内の印象、建物状態、修繕負担、引渡条件などが考えられます。不動産会社を通じて内覧者が見送った理由を確認し、理由が集中している部分から改善してください。

不動産会社を変えると売れますか?

会社を変えれば必ず売れるわけではありません。ただし、販売状況の分析や改善提案がほとんどない場合、現在の媒介契約を確認したうえで別会社へ相談する価値があります。

不動産会社がちゃんと販売しているか確認できますか?

専属専任媒介・専任媒介でレインズへ登録された物件では、売主専用画面で取引状況を確認できます。登録証明書に記載された情報からアクセスし、自分の認識と登録状況が一致しているか確認してください。

築50年の実家は売れませんか?

築年数だけで売却できなくなるわけではありません。中古戸建、古家付き土地、リフォーム前提、直接買取など、建物状態と地域需要に合わせて売り方を変えます。

再建築不可と言われたら売却できませんか?

再建築不可でも売却自体が禁止されるわけではありません。ただし買主や利用方法が限られます。まず本当に再建築不可なのか道路・接道等を確認し、その条件を扱える不動産会社・買取会社を比較します。

売れない実家は解体した方がいいですか?

一律にはいえません。解体費以上に売却条件が良くなるとは限らず、土地条件によっては建物を残した方がよい場合もあります。現況査定、更地想定査定、解体見積もりを比較してから決めてください。

仲介で売れなければ買取へ切り替えるべきですか?

売却期限や物件条件によります。仲介を続けた場合の想定価格・期間・費用と、直接買取の正式な査定額・条件を比較し、最終手取りと確実性のどちらを重視するかで判断します。

実家が売れないときは「値下げ」より先に原因を特定する

実家が売れないからといって、すぐに価格を下げたり、家を壊したりする必要はありません。

まず、問い合わせ、内覧、購入申込みのどこで止まっているかを確認します。

次に、価格、掲載内容、販売活動、建物・土地条件、相続・共有関係を切り分けます。

原因が分からない場合は、現在の不動産会社だけの判断に頼らず、別会社から査定と売却方法の提案を受けることも有効です。

そのうえで、仲介を続ける、価格を見直す、不動産会社を変える、直接買取へ切り替えるという選択肢を、最終手取りと売却期限で比較してください。

実家を売る・残す・管理するところから整理したい場合は、実家じまいの進め方もあわせて確認してください。

参考にした公的・関連情報

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