実家を片付けようと思って家の中を見渡すと、物が多すぎて「何から手をつければよいのか分からない」となることがあります。
そんなとき、最初から大きなごみ袋を広げる必要はありません。
実家の片付けで最初にすることは、できるだけ多くの物を捨てることではなく、捨ててはいけない物を守り、誰が何を判断するのかを決め、実際に作業できる状態を作ることです。
特に、親が現在も暮らしている実家と、親が亡くなった後の実家では、最初に確認することが違います。
この記事では、「今日、実家へ行ったら何をすればよいか」というところまで具体的に順番を整理します。
実家の片付けで最初にするのは「捨てること」ではない
大量の物を見ると、目についた物から捨てたくなります。
しかし、実家には次のような物が混ざっています。
- 現在も親が使っている物
- 重要書類
- 現金・通帳・印鑑
- 売却できる物
- 家族が残したい物
- 本人しか価値を判断できない物
- 本当に処分してよい物
これらを区別する前に捨て始めると、後から取り戻せない物まで処分する可能性があります。
最初の目標は「ごみ袋を何袋作るか」ではありません。
次回以降も迷わず片付けられる状態を作ることを目標にします。
最初に、親が存命か亡くなった後かを確認する
実家の片付け方は、親の状況によって最初から分けます。
親が元気で、自分で判断できる場合
親本人の物については、本人の意思を確認しながら進めます。
子どもから見れば使っていない物でも、本人には必要な場合があります。
そのため初日は、家全体を片付けようとせず、
「今日はこの棚だけ」「今日は玄関だけ」
のように一か所を決める方法があります。
親が存命中の整理については、生前整理の総合ガイドも参照してください。
親が亡くなった後の場合
親が亡くなった後は、処分作業より先に重要書類や財産関係を確認します。
特に、
- 遺言書
- 通帳
- 印鑑
- 不動産関係の書類
- 保険関係の書類
- 借入・債務が分かる書類
- 証券関係の資料
- 契約書
などを探します。
相続放棄を検討している場合には、故人の財産を売却・処分する前に、家庭裁判所や弁護士等へ確認する方が安全です。
亡くなった後の家財整理については、遺品整理の総合ガイドで別に整理しています。
最初の1日でやる5ステップ
初日に家全体を終わらせる必要はありません。
次の5つまでできれば、その後の片付けがかなり進めやすくなります。
1.片付けの目的・期限・担当を確認する
最初に、なぜ実家を片付けるのか確認します。
例えば、
- 親が安全に暮らせるようにしたい
- 施設へ入居する予定がある
- 家が空き家になる
- 売却したい
- 解体したい
- 賃貸住宅なので退去期限がある
などです。
目的が違えば、急ぐ場所も変わります。
次に、
- 期限はあるか
- 誰が片付けるか
- 誰が物を残すか判断するか
を決めます。
兄弟姉妹がいるなら、家族の一人だけで重要な物を処分しないよう、連絡方法も決めておきます。
2.家全体を写真に残す
片付けを始める前に、各部屋をスマートフォンで撮影しておきます。
写真は、
- 元の状態を確認する
- 遠方の家族へ見せる
- 業者へ相談する
- 物量を後から確認する
- どこまで作業したか分かるようにする
ために使えます。
一軒家なら、室内だけでなく物置・庭・車庫も撮っておきます。
3.重要書類・貴重品を避難させる
次に、処分品へ混ざると困る物を一か所へ集めます。
例えば、
- 現金
- 通帳
- 印鑑
- 不動産関係の書類
- 保険証券
- 契約書
- 貴金属
- 鍵
- 本人確認書類
- 家族が必ず残したい物
などです。
「重要品」という箱や部屋を一つ決め、片付け中に見つけた物をそこへ移します。
重要品置き場だけは処分作業の対象にしません。
4.作業できる床と通路を作る
物が多い家では、まず作業場所を確保します。
玄関から室内へ入る通路、作業する部屋の床、仕分けした箱を置くスペースなどです。
高齢の親が暮らしている場合には、転倒につながる床置きの箱や物を減らすことを優先する方法もあります。
ただし、その場で捨てる必要はありません。
まず安全に作業できる場所へ移します。
5.判断しやすい物だけ仕分ける
スペースができたら、判断しやすい物から始めます。
例えば、
- 明らかに期限が切れた食品
- 空き箱
- 壊れて使えない日用品
- 使っていない消耗品
- 本人がその場で不要と判断できる物
などです。
最初からアルバムや手紙を開くより、判断に時間がかからない物を片付けた方が、作業場所を作りやすくなります。
最初に捨ててはいけない物
実家では、一見不要に見えても後で必要になる物があります。
少なくとも最初の段階では、次のような物は分けて保管します。
重要書類
- 遺言書
- 不動産関係書類
- 保険関係書類
- 年金・税金関係書類
- 契約書
- 借入関係書類
財産に関係する物
- 通帳
- 印鑑
- 現金
- 証券関係資料
- 貴金属
- 価値が分からない骨董品・収集品
家族に確認してから判断したい物
- 写真
- アルバム
- 手紙
- 形見
- 趣味のコレクション
- 家系や親族関係が分かる資料
「価値があるか分からない」という物も、すぐ処分せず保留へ入れます。
最初に手をつけない方がよい物
片付けを進めるためには、最初に何をやらないかも重要です。
初日から次のような物へ手をつけると、一つずつ思い出を確認して作業が止まることがあります。
- アルバム
- 昔の手紙
- 写真
- 趣味のコレクション
- 仏壇・神棚の周辺
- 本人にしか価値が分からない思い出の品
これらを捨てるという意味ではありません。
むしろ最後まで残しておき、作業スペースと判断ルールができてから時間を取って確認します。
どの部屋から片付ける?
「絶対に玄関から」「絶対に台所から」という一つの正解はありません。
親が暮らしているか、空き家か、期限があるかによって変わります。
ただし、迷う場合は次のような順番が進めやすい一例です。
- 玄関・廊下など安全に関わる場所
- 洗面所・冷蔵庫など判断しやすい場所
- 衣類・日用品
- 食器・本など量の多い物
- 大型家具・家電
- 物置・庭・車庫
- アルバム・手紙など思い出の品
これは固定ルールではありません。
玄関が十分片付いているなら、別の場所から始めて構いません。
判断基準は、
「今すぐ決められる物が多く、作業スペースを作りやすい場所か」
です。
「残す・譲る/売る・処分・保留」で分ける
仕分けを「捨てる」「捨てない」の二択にすると、迷う物が多くなります。
次の4つに分けます。
| 分類 | 考え方 |
|---|---|
| 残す | 本人が使う物、家族が保管する物 |
| 譲る・売る | 家族へ渡す物、買取・リユースを検討する物 |
| 処分 | 不要であることが明確な物 |
| 保留 | 今は判断できない物 |
「保留」を作ることがポイントです。
実家の物はその場で判断できない物が多くあります。
すべて即決しようとすると疲れて作業が止まるため、保留箱の大きさや数だけ決めて、判断を次回へ回します。
親が元気な実家なら、最初の一か所だけ決める
親が現在も暮らしている場合は、家全体を「片付け対象」にしない方が進めやすいことがあります。
例えば、
- 玄関の靴だけ
- 洗面所だけ
- 食器棚一段だけ
- 衣装ケース一箱だけ
と範囲を小さくします。
一か所終われば、「全部捨てられる」という警戒感を与えにくくなります。
また、本人がどのくらいのペースなら疲れずに判断できるのかも分かります。
実家の片付けは、物を減らすことだけでなく、本人が現在暮らしやすい状態を作るためにも行えます。
親が亡くなった後なら、相続関係も確認する
親が亡くなった後の実家では、片付けと相続手続きを完全に別々に考えない方がよい場合があります。
例えば、相続放棄を検討している段階で、故人の高価な物を売却するなどの行為は、相続上の判断に関係する可能性があります。
そのため、相続放棄の可能性がある場合は、価値のある財産を処分・売却する前に家庭裁判所や専門家へ確認します。
一方、腐敗する食品の対応や住宅の安全確保など、放置できない問題がある場合もあります。
個別事情によって扱いが異なるため、相続放棄を検討しているなら「とにかく何も触らない」「全部片付けてよい」のどちらかに自己判断で振り切らない方が安全です。
実家が遠方なら、一度の帰省で全部終わらせない
遠方の実家では、交通費や休みの都合から「今回の帰省で全部終わらせたい」と考えがちです。
しかし、物量が多い家では無理に短期間で終わらせようとすると、必要な物まで処分する可能性があります。
最初の帰省は、
- 家全体の写真を撮る
- 重要書類・貴重品を確認する
- 家族が残す物を決める
- 物量を把握する
- 自力で続けるか業者を使うか判断する
ところまででも構いません。
その結果、一軒家全体を家族だけで進めるのが難しいと分かれば、次回から業者利用へ切り替えられます。
実際に捨てる前に、自治体のルールを確認する
処分する物が決まったら、実家所在地の市区町村で処分方法を確認します。
家庭ごみ、粗大ごみ、一時的に大量に出るごみ、処理施設への持ち込みなどのルールは自治体によって異なります。
また、テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などは家電リサイクル法の対象です。
民間業者へ家庭から出る廃棄物の回収を頼む場合も、誰でも自由に収集・運搬できるわけではありません。
環境省は、家庭の廃棄物を回収するには一般廃棄物処理業の許可または市区町村からの委託が必要で、産業廃棄物処理業許可や古物商許可だけでは家庭ごみを回収できないと案内しています。
環境省|廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください
家族だけでは難しいと判断する目安
実家の片付けは、自分たちですべて行わなければならないわけではありません。
次のような場合は、業者へ任せる範囲を検討します。
- 一軒家全体に大量の家財がある
- 大型家具・家電が多い
- 実家が遠方にある
- 売却・解体・退去など期限がある
- 高齢の家族だけでは搬出できない
- 物置・庭・車庫まで大量の物がある
- 何度帰省しても終わる見通しが立たない
家族は重要品と残す物だけを確認し、搬出や大量家財の処理を業者へ任せる方法もあります。
業者利用を検討する段階になったら、実家の片付け業者の選び方を参照してください。
よくある質問
実家の片付けは本当に何から始めればよいですか?
最初に親が存命か亡くなった後かを確認し、片付けの目的・期限・担当を決めます。その後、家全体を写真に残し、重要書類・貴重品を処分品から分けてから実際の仕分けへ進みます。
実家はどの部屋から片付けるとよいですか?
固定の正解はありません。迷う場合は、安全な通路を確保し、洗面所や日用品など比較的判断しやすい場所から始め、アルバムや手紙など判断に時間がかかる物は後に回す方法があります。
アルバムから片付けてもよいですか?
問題はありませんが、最初の場所としては作業が止まりやすいことがあります。一枚ずつ見始めると判断に時間がかかるため、最初は箱ごと「残す・後で確認」へ移し、他の片付けが進んでから確認する方法があります。
実家で最初に捨ててはいけない物は何ですか?
遺言書、通帳、印鑑、不動産・保険・契約関係の書類、現金、貴金属、家族が残したい写真や手紙などは、処分前に別に保管します。価値が分からない物も一度保留へ入れます。
親が元気な場合は何から始めますか?
本人と相談して、今回整理する一か所だけを決める方法があります。本人の所有物を家族だけの判断で大量に処分せず、現在の暮らしを安全・便利にする場所から始めます。
親が亡くなった後は何から始めますか?
遺言書、通帳、印鑑、不動産関係、保険、債務が分かる資料などを先に確認します。相続放棄を検討する可能性がある場合は、価値のある財産を処分・売却する前に家庭裁判所や専門家へ確認してください。
最初の1日で家全体を片付ける必要がありますか?
ありません。目的と期限の確認、写真記録、重要品の確保、作業スペース作り、判断しやすい物の仕分けまでできれば、その後の片付けを進める土台になります。
片付けても全然進んだ感じがしません
ごみ袋の数だけで進捗を判断しない方がよいでしょう。重要書類の場所が分かった、残す物の基準が決まった、一部屋の床が見えたなども進捗です。次回作業の範囲を一つ決めて終えると再開しやすくなります。
最初の1日は「大量に捨てる日」にしなくてよい
実家の片付けで最も難しいのは、最初に動き出すことです。
だからこそ、初日に家全体をきれいにしようとする必要はありません。
親の状況を確認する。
片付ける目的を決める。
家の写真を撮る。
重要な物を分ける。
作業できる場所を作る。
そして、判断しやすい物を少し仕分ける。
ここまでできれば、次に何をすればよいかが見える状態になります。
実家全体の進め方は実家の片付けガイド、一軒家全体については一軒家の実家片付け、費用については実家の片付け費用を参照してください。