実家を片付けようと思っても、家の中に長年の物が残っていると、どこから手をつければよいのか分からなくなることがあります。
衣類や食器だけでなく、家具、家電、写真、重要書類、親の思い出の品まで混ざっているため、自宅の片付けと同じ感覚では進まないこともあります。
実家の片付けで最初に確認したいのは、物の量ではありません。
親が現在も暮らしている家なのか、親が施設などへ移った後なのか、亡くなった後の家なのかです。
この違いによって、誰が判断するのか、急いでよい物は何か、先に確認すべき書類は何かが変わります。
家の中をいきなり空にしようとせず、今の状況に合った順番から始めます。
実家の片付けは、親が存命か亡くなった後かで最初の行動が変わる
「実家の片付け」といっても、大きく分けて状況は二つあります。
- 親が存命で、現在も家や家財について自分で判断できる
- 親が亡くなり、家族が残された家財を整理する
前者では、基本的に本人の希望を確認しながら進めます。
後者では、遺品整理に加えて相続や重要書類の確認が関係します。
この二つを混ぜると、「親がまだ使う物を子どもが捨ててしまう」「相続関係を確認する前に価値のある物を処分してしまう」といった問題が起きやすくなります。
親が元気なら、本人の意思を確認してから始める
親が現在も実家で暮らしている場合、子ども側から見ると不要に見える物でも、本人には必要なことがあります。
例えば、
- 何年も使っていない食器
- 古い衣類
- 昔の写真
- 趣味の道具
- 古い家具
などです。
「使っていないから捨てよう」と家族だけで決めるより、まず本人に確認します。
片付けの目的も、
- 現在の生活を安全にする
- 使いやすくする
- 施設入居に備える
- 将来家族が困らないようにする
- いずれ実家じまいを進める
など家庭によって違います。
親が存命中の整理については、生前整理の総合ガイドも参照してください。
親が亡くなった後は、すぐに大量処分しない
親が亡くなった後の実家では、家財整理を急ぐ前に確認しておきたいことがあります。
特に、
- 遺言書
- 通帳
- 印鑑
- 保険関係の書類
- 不動産関係の書類
- 借入や債務が分かる資料
- 契約関係の書類
などです。
また、相続放棄を検討する可能性がある場合は、故人の財産を売却・処分する行為が相続上の判断に影響することがあります。
裁判所も、遺産の一部を処分した場合に相続放棄が認められないことがある一方、処分内容や理由等によって扱いが異なることを案内しています。
そのため、「相続放棄するかもしれない」という段階なら、価値のある遺品を売却したり大量処分したりする前に、家庭裁判所や弁護士等へ確認する方が安全です。
亡くなった後の家財整理については、遺品整理の総合ガイドも確認してください。
片付けを始める前に決める3つ
1.何のために片付けるか
実家の片付けは、目的によって優先順位が変わります。
例えば、
- 親が安全に暮らせるようにする
- 施設へ持っていく物を決める
- 空き家になるため管理しやすくする
- 売却する
- 賃貸住宅を退去する
- 相続後に家を空にする
などです。
「実家をきれいにする」という曖昧な目標より、「施設へ持っていく物を決める」「売却前に不要品を減らす」のように目的を決めると、残す物を判断しやすくなります。
2.いつまでに必要か
期限がない実家と、賃貸住宅の退去や施設入居が迫っている家では進め方が変わります。
期限がなければ、小さな範囲から何回かに分けて整理できます。
一方、退去日などが決まっている場合は、自分たちだけで処理できる物量かを早めに判断します。
3.誰が判断するか
親が存命なら、本人の物については本人の意思を中心にします。
親が亡くなった後なら、相続人や家族の間で、誰が何を判断するかを決めます。
兄弟姉妹がいる場合は、一人だけで思い出の品などを大量に処分する前に共有しておく方が後の行き違いを減らせます。
物を捨てる前に、重要書類・貴重品を確保する
実家片付けで最初からごみ袋を広げる必要はありません。
先に探したいのは、処分すると困る物です。
- 現金
- 通帳
- 印鑑
- 権利関係の書類
- 保険証券
- 契約書
- 年金・税金関係の書類
- 貴金属
- 鍵
- 本人が残すと決めている物
こうした物は、片付け作業をする場所から一度分けます。
大量の紙類を処分するときも、一枚ずつ精査する必要はありませんが、重要書類が混ざっていないかを確認してから処分します。
最初から家全体を片付けない
一軒家全体を見て「全部終わらせなければ」と考えると、作業量が大きすぎて止まりやすくなります。
最初は一つの場所に限定します。
例えば、
- 玄関
- 洗面所
- 冷蔵庫
- 食器棚の一段
- 衣装ケース一箱
などです。
写真、手紙、アルバムなど思い出が強い物から始めると、一つずつ判断する時間が長くなることがあります。
最初は比較的判断しやすい日用品から進め、片付けのルールができてから思い出の品へ移る方法があります。
家財は5つに分ける
物を一つずつ「捨てる・捨てない」だけで判断すると迷いやすくなります。
次のように分けると進めやすくなります。
- 残す
- 家族へ譲る
- 売却・買取を検討する
- 処分する
- 保留する
特に「保留」を作っておくことが重要です。
その場ですべてを決めようとすると、判断疲れで作業が止まりやすくなります。
保留箱を一つ作り、次回の帰省時に改めて確認しても構いません。
不用品の処分方法を決める
処分することが決まった物も、すべて同じ方法で手放すわけではありません。
主に、
- 自治体の家庭ごみ
- 自治体の粗大ごみ
- 自治体の処理施設への持ち込み
- 家電リサイクル法等に沿った処分
- リユース・買取
- 適切な許可・処理体制を持つ事業者への依頼
を使い分けます。
自治体ごとに家庭ごみ・粗大ごみ・一時的な大量ごみの扱いは違います。
まず実家所在地の市区町村の案内を確認します。
自分で片付けるか、業者へ頼むか
実家の片付けは、すべてを自分で行う方法と、すべて業者へ任せる方法の二択ではありません。
家族が判断すべき物だけ自分たちで整理し、物理的に大変な作業だけ業者へ任せることもできます。
自分たちで進めやすいケース
- 物量がそれほど多くない
- 実家が近い
- 期限がない
- 家族で作業時間を確保できる
- 大型家具が少ない
業者利用を考えやすいケース
- 一軒家に大量の家財がある
- 遠方で何度も帰省できない
- 大型家具・家電が多い
- 施設入居や売却など期限がある
- 高齢の家族だけでは搬出できない
- 物置・庭・倉庫まで大量の物がある
業者へ頼む場合でも、本人や家族しか判断できない写真・書類・思い出の品を先に確認しておくと、作業範囲を明確にできます。
遠方の実家を片付ける場合
実家が遠方にある場合、片付けそのものより移動が負担になることがあります。
この場合は「次の帰省ですべて終える」と考えず、一回ごとの目的を決めます。
例えば、
- 1回目:重要書類と貴重品を確認
- 2回目:残す物を家族で判断
- 3回目:大型家具・処分品を対応
という分け方ができます。
業者へ依頼する場合も、写真・動画で概算相談できる事業者や、鍵を預けて対応する事業者があります。
ただし、立ち会いなしの場合は、残す物を写真や一覧で明確にしておく必要があります。
一軒家は室内以外も確認する
一軒家では、部屋数だけを見て作業量を判断できません。
確認する場所には、
- 押し入れ
- 納戸
- 屋根裏
- 物置
- 車庫
- 庭
- ベランダ
- 床下収納
などがあります。
長年住んだ実家では、室内より物置や倉庫に大量の家財が残っていることもあります。
業者へ見積もりを依頼する場合には、こうした場所も対象なのかを伝えます。
実家を売る予定なら、片付けと売却準備を並行して考える
実家を売却する予定がある場合でも、最初からすべての家財を処分しなければならないとは限りません。
不動産会社へ査定を依頼する段階では、家財が残っていても査定を受けられるケースがあります。
また、買主や売却方法によっては、残置物の扱いを相談できる場合もあります。
そのため、売却予定なら、
「全部片付けてから不動産会社へ相談する」
と決めつけず、家財整理と家の処分方針を並行して確認します。
家そのものを今後どうするかについては、実家・家財整理のガイドから確認してください。
不用品回収業者へ依頼するときの注意
実家片付けでは、大量の不要品が出るため不用品回収サービスを利用したくなることがあります。
家庭から出る廃棄物を収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可または市区町村からの委託が必要です。
環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商許可だけでは家庭の廃棄物を回収できないと注意喚起しています。
環境省|廃棄物の処分に無許可の回収業者を利用しないでください
国民生活センターにも、安価な定額パック等を表示していた不用品回収業者から、後に追加料金を請求された相談が寄せられています。
市区町村以外へ依頼する場合には、
- 実際に廃棄物を収集・運搬する事業者
- 一般廃棄物の許可・委託等の処理体制
- 作業内容
- 総額
- 追加料金
- キャンセル料
を確認します。
よくある質問
実家の片付けは何から始めればよいですか?
親が存命か亡くなった後かを最初に確認します。そのうえで、重要書類・貴重品を先に分け、片付けの目的と期限を決めます。いきなり家全体へ手をつけず、小さな範囲から始める方法があります。
親が元気なうちに実家を片付けた方がよいですか?
本人に残す物や今後の希望を確認できる点では、元気なうちに少しずつ整理する意味があります。ただし、家を空にすることが目的ではありません。現在も親が暮らしているなら、本人の生活や意思を優先します。
親の物を子どもが勝手に捨ててもよいですか?
親が存命で自分で判断できる状態なら、本人の所有物については本人と相談しながら進める方が適切です。子どもから見て不要な物でも、本人には必要な物・大切な物である可能性があります。
親が亡くなった後は何を最初に確認しますか?
遺言書、通帳、印鑑、不動産関係、保険、債務関係などの重要書類や貴重品を確認します。相続放棄を検討する可能性がある場合は、価値のある遺産を売却・処分する前に家庭裁判所や専門家へ確認してください。
自分で片付けるのと業者へ頼むのはどちらがよいですか?
物量、距離、期限、家族が使える時間で判断します。近距離で物量が少なく期限がなければ自力でも進めやすい一方、一軒家全体、大量家財、遠方、退去期限がある場合などは業者利用を検討しやすくなります。
実家を売るなら先に全部片付ける必要がありますか?
必ずしも査定前にすべて処分する必要はありません。家財が残った状態でも不動産会社へ相談できる場合があります。片付けに大きな費用をかける前に、家の売却方針も並行して確認すると無駄な作業を減らせる可能性があります。
無料の不用品回収業者なら頼んでも大丈夫ですか?
無料・格安という表示だけでは判断できません。家庭から出る廃棄物については一般廃棄物の適切な処理体制が必要です。実際に誰が収集・運搬するのか、料金、追加費用を確認してください。
実家の片付けは「捨て始める前」に順番を決める
実家の片付けでは、物を減らす速度だけを優先する必要はありません。
親が存命なら、本人が何を残したいのか。
亡くなった後なら、重要書類や相続関係に問題がないか。
そのうえで、何のために、いつまでに、誰が片付けるのかを決めます。
重要な物を分け、小さな範囲から仕分け、自分で処理できる物と業者へ頼む物を分ける。
この順番なら、家全体を見て動けなくなるより、一つずつ進めやすくなります。
親が存命中の整理については生前整理の総合ガイド、亡くなった後の整理については遺品整理の総合ガイドも参照してください。