親が亡くなった後、自宅から複数枚のクレジットカードが見つかることがあります。
カード本体をハサミで切って捨てれば終わりではありません。
カード会社への死亡連絡・退会手続きに加えて、未払残高、公共料金や携帯電話などの継続課金、家族カード、ETCカード、ポイント、電子マネーなどを確認する必要があります。
特に注意したいのが、クレジットカードの退会と、カードで支払っていたサービスの解約は別という点です。
また、カードの未払残高は相続上の債務にも関係します。相続放棄を検討している場合は、家族の判断だけで支払いを進める前に、相続財産と債務の全体を確認することが大切です。
親が亡くなった後のクレジットカードは何から始める?
次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 亡くなった人が持っていたカードを集める
- カード会社と発行会社を確認する
- 利用明細・未払残高を確認する
- カード会社へ死亡を連絡する
- 公共料金・携帯・サブスク等の支払先を変更する
- 家族カード・ETCカード・モバイル決済等を確認する
- ポイント・電子マネー残高を確認する
- カード会社の案内に従って未払残高を処理する
- 手続き完了後にカード本体を処分する
カードを見つけたからといって、すぐ破棄するとカード番号や発行会社を確認できなくなるため、手続きが終わるまでは保管しておきます。
亡くなった人のクレジットカードは使わない
カード名義人が亡くなった後、そのカードを家族が買い物や支払いに利用するのは避けてください。
クレジットカードは原則としてカード名義人本人へ貸与されているものです。
暗証番号が分かる、スマートフォンへ登録されている、家族だからという理由で、本人名義のカードをそのまま使い続けないようにします。
日常生活に必要な支払いについては、家族自身のカードや銀行口座へ変更します。
死亡するとクレジットカードは自動解約される?
カード会社が死亡を把握して利用資格を停止する規約を設けている例がありますが、家族側からカード会社へ連絡し、正式な手続きを進める必要があります。
役所へ死亡届を出しただけで、家にあるすべてのクレジットカード会社へ自動的に死亡情報が伝わり、必要な手続きがすべて完了すると考えない方がよいでしょう。
カードごとに発行会社を確認して連絡します。
カード表面のブランドだけで発行会社を判断しない
Visa、Mastercard、JCB、American Expressなどは、カードの国際ブランドである場合があります。
実際の退会手続きをする相手は、銀行、カード会社、小売店系カード会社など、そのカードを発行している会社です。
カード表面・裏面や利用明細を確認し、問い合わせ先を特定してください。
死亡連絡で必要になる書類
必要書類はカード会社によって異なります。
カード会社から、死亡したことや届出人との関係を確認するため、次のような公的書類の写しを求められることがあります。
- 戸籍謄本
- 住民票の除票
- 死亡診断書
- 届出人の本人確認書類
最初から大量に書類を取得するのではなく、カード会社へ連絡して必要書類を確認してから準備すると無駄を減らせます。
クレジットカードの未払残高はどうなる?
死亡したからといって、カードの利用残高が自動的になくなるとは限りません。
亡くなる前に利用していた、
- 一括払い
- 分割払い
- リボ払い
- キャッシング
などに未払額がある場合は、カード会社へ残高と今後の支払方法を確認します。
相続では、亡くなった人の財産だけでなく債務も問題になります。
カード会社から請求が来たらすぐ払うべき?
相続することが確定しており、相続人間でも問題がなければ、カード会社の案内に従って支払いを進めることになります。
一方、
- 借金の総額が分からない
- 複数のカードローン・キャッシングがある
- 相続財産より債務が多そう
- 相続放棄を検討している
場合は注意が必要です。
カード会社から請求が来たという理由だけで一つの債務だけを先に処理せず、相続財産と債務の全体を確認します。
相続放棄を考えている場合
相続放棄をすると、原則として亡くなった人の財産だけでなく債務も引き継がないことになります。
相続放棄の申述は、原則として自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内です。
カード利用残高以外にも、
- 住宅ローン
- カードローン
- 消費者金融
- 未払税金
- 医療費
- 保証債務
などが残っていないか確認します。
相続放棄を検討している段階で相続財産を処分したり債務を支払ったりした場合の法的評価は、行為や状況によって異なります。
多額の債務がある、判断が難しいという場合は、支払い前に弁護士等へ確認してください。
引き落とし口座が凍結している場合
クレジットカードの利用残高が残っていても、引落口座が死亡後の銀行手続きによって利用できなくなっている場合があります。
その場合、通常の口座振替では支払えません。
カード会社へ死亡を連絡し、今後の支払方法を確認してください。
銀行口座については、死亡後の銀行口座はどうなる?凍結・払戻し・相続手続きでも詳しく解説しています。
カードを解約すれば公共料金も自動で解約される?
ここは特に注意が必要です。
クレジットカードを退会しても、電気・ガス・携帯電話・サブスクリプションなどの契約そのものが自動的に解約されるとは限りません。
カード会社とは別に、それぞれの契約先へ連絡します。
継続して利用するサービスなら支払方法を変更し、不要なサービスなら解約します。
カード明細から継続課金を探す
亡くなった人がどのサービスを契約していたか家族が把握していない場合があります。
クレジットカードの過去の利用明細から、毎月または毎年定期的に請求されているものを確認します。
たとえば、
- 携帯電話
- 固定電話
- インターネット回線
- 電気
- ガス
- 水道
- 動画配信サービス
- 音楽配信サービス
- クラウドストレージ
- 新聞・雑誌
- オンラインサービス
- 保険料
- 寄付・会費
などです。
サービス側へ連絡してもすぐ請求が止まるとは限らない
契約先へ解約・支払方法変更を連絡しても、請求処理の時期によっては、その後しばらく旧カードへ請求が上がることがあります。
そのため、カードを退会した後もしばらくは利用明細や郵送される請求内容を確認します。
不明な請求があれば、カード会社と契約先の双方へ確認してください。
家族カードはどうなる?
家族カードは、本会員の契約に付随して発行されるものが一般的です。
本会員の死亡・退会によって家族カードも使えなくなるカード会社があります。
その場合、配偶者などが家族カードだけをそのまま引き継ぐことはできず、自分名義で新たにカードへ申し込む必要があります。
現在生活費を家族カードで支払っている場合は、早めに新しい支払手段を準備してください。
家族カード利用分の未払額も確認する
亡くなる前に家族カードで利用した代金も、本会員のカード利用代金として請求される契約があります。
家族カードを持っている家族は、自分の最近の利用内容も確認しておくと残高を把握しやすくなります。
ETCカードはどうなる?
ETCカードもクレジットカードに付帯している場合、本会員の退会に伴って利用できなくなるカード会社があります。
車を家族が今後も使う場合は、自分名義のETCカードを準備します。
死亡後の名義整理が終わる前に、故人名義のETCカードを使い続けることは避けます。
Apple Pay・Google Payなども確認する
故人のスマートフォンには、クレジットカードがApple PayやGoogle Payなどへ登録されている場合があります。
カードの退会に加えて、カード情報を端末から削除するようカード会社が案内している例があります。
スマートフォンを初期化・処分する前に、カードや電子マネー、サブスク等の情報を確認します。
カード自体を先に切って捨てない
カード会社への連絡前にカードを細かく切ってしまうと、
- カード番号
- 発行会社
- 提携サービス
- ETC・電子マネー機能
を確認しにくくなることがあります。
会社によって返却方法などの案内が異なることもあるため、退会手続きが終わるまで保管します。
ポイントはどうなる?
ポイントの扱いはカード会社・ポイント制度によって異なります。
退会すると残っていたポイントが失効するカード会社があります。
一方、カードとは別の会員IDへ付与されるポイントなど、仕組みが異なるサービスもあります。
そのため、
「ポイントは必ず相続できる」「死亡したらすべて消える」のどちらとも一律には言えません。
死亡・退会手続きをするとポイントがどうなるか、カード会社またはポイント運営会社へ確認します。
故人のID・パスワードで勝手にポイント交換しない
ログイン情報が分かっていても、死亡後に故人になり代わってポイントを商品へ交換したり、別人のアカウントへ移したりすることは避けます。
死亡時のポイントの扱いについて、運営会社の規約・正式な手続きを確認してください。
電子マネー残高も忘れず確認する
クレジットカードには、
- 交通系IC
- 楽天Edy
- WAON
- PiTaPa
などの電子マネー機能が付いていることがあります。
電子マネー残高については、返金できるもの、所定の手続きが必要なもの、返金できないものなど条件が異なります。
そのため、残高確認前にカードを廃棄しないようにします。
定期券付きカードは先に確認する
交通系IC一体型カードでは、定期券情報が入っている場合があります。
カード退会前に駅や鉄道会社で手続きが必要になるケースがあります。
カード表面や利用状況を確認し、交通系機能が付いている場合はカード会社・鉄道会社へ確認してください。
付帯保険はどうなる?
旅行保険や各種補償などがカードへ付帯している場合があります。
死亡前に発生した事故等について保険金請求の対象になる可能性があるケースでは、カードを解約する前後にカード会社や保険会社へ確認します。
カードを持っていたという理由だけで必ず保険金が出るわけではなく、利用条件や保険期間があります。
カードローン・キャッシング枠も確認する
クレジットカードにキャッシング残高がある場合や、同じ会社のカードローンを利用している場合があります。
ショッピング利用残高だけを確認して「借金はこれだけ」と判断しないよう注意してください。
利用明細、郵便物、信用情報等も含めて債務全体を調査する必要があるケースがあります。
複数枚のカードがある場合の整理方法
親世代でも複数のクレジットカードを持っていることがあります。
表を一つ作り、次の項目を整理すると漏れを減らせます。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| カード会社 | 正式な発行会社名 |
| カード名 | 提携カード名等 |
| カード番号 | 下4桁程度を管理用に記録 |
| 引落銀行 | 支払口座 |
| 未払残高 | 一括・分割・リボ・キャッシング |
| 継続課金 | 携帯・公共料金・サブスク等 |
| 付帯カード | 家族カード・ETC等 |
| ポイント等 | ポイント・電子マネー |
| 手続状況 | 未連絡・連絡済・完了 |
クレジットカード番号をオンラインの共有文書などへ全部記録する必要はありません。
家族内で安全に管理してください。
カードが見つからなくても明細が届く場合がある
現物のカードが見つからなくても、
- 郵便の利用明細
- 銀行口座のカード引落し
- メール
- 契約サービスの支払情報
からカードの存在が分かることがあります。
銀行通帳の引落し欄も確認してください。
WEB明細しかない場合
近年は紙の利用明細を発行しないカードが増えています。
一方で、家族が故人のID・パスワードを使って本人としてログインすることが適切とは限りません。
利用残高や明細を確認したい場合は、カード会社へ死亡を伝え、相続人・親族として確認する方法を問い合わせます。
カード会社へ連絡するときに準備するもの
- □ カード現物
- □ カード名・発行会社
- □ カード番号
- □ 亡くなった人の氏名
- □ 生年月日
- □ 登録住所
- □ 死亡日
- □ 届出人の氏名・続柄
- □ 必要に応じて死亡を確認できる公的書類
実際に何が必要かはカード会社へ確認してください。
解約前のチェックリスト
- □ 未払残高を確認した
- □ 分割・リボ残高を確認した
- □ キャッシング残高を確認した
- □ 引落口座を確認した
- □ 携帯電話料金を確認した
- □ 電気・ガス・水道等を確認した
- □ サブスクリプションを確認した
- □ 家族カードを確認した
- □ ETCカードを確認した
- □ スマホ決済への登録を確認した
- □ ポイントを確認した
- □ 電子マネー残高を確認した
- □ 定期券機能の有無を確認した
- □ 相続放棄を検討する可能性を確認した
退会後も請求書は保管する
カードを退会した後でも、未払いの利用分について明細や請求書が届くことがあります。
それらは、
- 相続債務の確認
- 遺産分割
- 相続放棄の検討
- 相続税の資料整理
で必要になる可能性があります。
すぐ捨てず、相続関係の書類とまとめて保管します。
よくある質問
亡くなった人のクレジットカードはどう解約しますか?
カードの発行会社へ死亡を連絡し、会社所定の退会手続きを行います。死亡を確認する公的書類等を求められる場合があります。
カードを解約すれば未払残高もなくなりますか?
なくなるとは限りません。死亡前のカード利用残高は債務として残るため、カード会社へ残高と支払方法を確認してください。相続放棄を検討している場合は、債務全体を確認してから対応します。
家族カードはそのまま使えますか?
本会員の死亡・退会で家族カードも利用できなくなるカード会社があります。家族がカードを必要とする場合は、自分名義で新たに申し込む必要があります。
ETCカードも使えなくなりますか?
本会員のカードに付帯しているETCカードは、本会員の退会に伴い利用できなくなる場合があります。発行会社へ確認してください。
カードを解約すればNetflixなどのサブスクも解約されますか?
カードの退会とサービス契約の解約は別です。契約しているサービス側へ解約または支払方法変更の手続きをしてください。
公共料金はどうしますか?
今後も契約を継続するなら、契約者名義や支払方法を変更します。実家を空き家として維持する場合は、電気・水道等をすぐ解約すべきかも含めて判断してください。
亡くなった人のカードを家族が使ってもいいですか?
使用は避けてください。亡くなった人名義のカードではなく、家族自身の支払手段へ変更します。
ポイントは家族が使えますか?
ポイント制度によって異なります。退会すると失効する制度もあるため、死亡・退会時の取扱いをカード会社やポイント運営会社へ確認してください。
電子マネー残高は返金されますか?
電子マネーの種類によって異なります。返金手続きがあるもの、条件付きのもの、返金できないものがあります。カードを処分する前に確認してください。
借金がありそうな場合は先にカードを解約してもいいですか?
カード会社への死亡連絡・利用停止と、債務を支払うことは分けて考えます。相続放棄の可能性がある場合は、残高を含む債務全体を確認し、支払行為について専門家へ確認してください。
死亡後のクレジットカードは「解約」だけで終わらない
親のクレジットカードを整理するときは、カード会社へ連絡して退会するだけでは不十分です。
同時に、
- 未払残高
- 携帯・公共料金
- サブスクリプション
- 家族カード
- ETCカード
- スマホ決済
- ポイント
- 電子マネー
を確認します。
特に未払残高は相続債務に関係するため、借金が多い可能性がある場合は、相続放棄を含む判断より先に安易な支払いをしないことが重要です。
「カードを止める」「カードで払っている契約を整理する」「未払債務を相続上どう扱うか」を3つの別作業として進めると、漏れを防ぎやすくなります。
死亡後の手続き全体については、親が亡くなった後の手続きもあわせて確認してください。