実家を売却するには?相続・査定・家財整理から売却までの流れ

実家を売却しようと思ったとき、最初に不動産会社へ査定を申し込む人もいます。

しかし、実家の売却では、その前に確認しておいた方がよいことがあります。

誰が現在の所有者なのか。

親は存命なのか、すでに相続が発生しているのか。

家の中に重要書類や家財が残っているのか。

こうした状況によって、売却までの手順が変わります。

実家を売るときは、名義と売却権限を確認し、必要な家財を確保してから査定を取り、仲介・買取を比較すると進めやすくなります。

目次

実家売却の流れ

一般的には、次の順番で進めます。

  1. 現在の所有者・名義を確認する
  2. 相続後なら相続人と相続登記を確認する
  3. 重要書類・貴重品・家財を確認する
  4. 実家の査定を複数社へ依頼する
  5. 仲介と買取を比較する
  6. 売却を依頼する不動産会社を選ぶ
  7. 媒介契約を結び販売活動を始める
  8. 購入希望者と条件を調整し売買契約を結ぶ
  9. 残代金の受領・引渡し・登記を行う
  10. 譲渡所得と確定申告を確認する

すべての実家で同じ作業が必要になるわけではありません。

例えば、不動産会社による買取なら、一般の買主を探す販売期間がありません。

最初に「誰の家なのか」を確認する

売却するには、現在誰が不動産の所有者なのかを確認します。

確認には、登記事項証明書、固定資産税の納税通知書などを使えます。

親が所有者として存命なら、基本的には親本人が売主になります。

子どもが「将来相続する家だから」と、自分だけの判断で売却することはできません。

親本人が売却を希望している場合には、本人の意思を確認しながら進めます。

高齢や病気等で本人の判断能力に問題がある場合には、通常の代理だけでは進められず、成年後見制度等が関係することがあります。

この場合は不動産会社だけで判断せず、司法書士・弁護士等へ確認してください。

親が亡くなっている場合は、相続関係を確認する

親名義の家を、亡くなった親の名義のまま通常の売買で第三者へ引き渡すことはできません。

まず、誰がその不動産を相続するのかを確認します。

遺言書がある場合と、遺産分割協議を行う場合では手続きも変わります。

相続人が複数いるなら、誰が実家を取得するのか、共有にするのかなどを整理します。

相続登記は売却予定がなくても確認する

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。

相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内に相続登記を申請します。

また、2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。

それ以前から取得を知っている未登記不動産については、原則2027年3月31日までに対応する必要があります。

「売るときにまとめて名義変更すればよい」と考えず、現在の登記状態を確認してください。

家財を全部捨ててから査定する必要はない

実家の中に家具や家電、衣類などが残っていると、「全部片付けないと査定してもらえない」と考えることがあります。

しかし、不動産会社による査定は家財が残っていても相談できる場合があります。

むしろ、高額な片付けを先に契約する前に、売却方法を確認した方がよいケースがあります。

まず確保したいのは、

  • 通帳
  • 印鑑
  • 権利関係の書類
  • 契約書
  • 現金・貴金属
  • 写真・形見
  • 家族が残す物

などです。

その後、不動産会社へ、

  • 家財を残したまま査定できるか
  • 仲介の場合どこまで撤去が必要か
  • 買取の場合、残置物を残した状態でも対応できるか

を確認します。

実家の査定は複数社を比較する

査定額は、国や自治体が決める売却価格ではありません。

不動産会社が、周辺の取引事例、土地・建物の状態、需要などを基に「この程度で売却できそう」と判断した金額です。

会社ごとに査定額や売却戦略が異なることがあります。

そのため、1社だけで決めず、複数の不動産会社へ査定を依頼して比較する方法があります。

比較するときは、査定額の高さだけでなく、

  • 査定額の根拠
  • 近隣での売却実績
  • 想定する買主
  • 販売方法
  • 売却までの見通し
  • 家財・残置物への対応
  • 担当者の説明

を確認します。

一番高い査定額を出した会社が、一番高く売れる会社とは限りません。

実家の売却方法は「仲介」と「買取」が中心

不動産の売却方法は、大きく仲介と買取に分けられます。

比較 仲介 買取
買主 一般の個人・法人等 不動産会社
販売活動 行う 原則不要
売却期間 買主が見つかるまで必要 条件が合えば比較的短い
内覧 行うことが多い 一般の購入希望者向け内覧は不要
価格 市場で買主を探す 買取条件を不動産会社が提示
仲介手数料 媒介で成約した場合に発生 不動産会社が直接買主なら通常は仲介ではない

できるだけ市場で買主を探したい場合は仲介。

売却までの手間や期間を短くしたい、建物状態や残置物の問題がある場合などは買取も候補になります。

どちらが常に有利というものではありません。

「買取は相場の何割」と一律には決めない

不動産情報サイトでは、買取価格について「市場価格より低くなる傾向」や、一定の割合を目安として紹介する記事があります。

ただし、物件の立地、再販費用、建物状態、需要などによって条件は大きく変わります。

そのため、本記事では「買取なら必ず市場価格の○%」という固定値では判断しません。

仲介査定と買取査定を両方取ると、価格差と売却条件を比較しやすくなります。

仲介する場合は媒介契約を結ぶ

不動産会社へ仲介を依頼する場合は、媒介契約を結びます。

主な種類は3つです。

種類 複数社への依頼 自分で見つけた買主との契約
一般媒介 可能 可能
専任媒介 不可 可能
専属専任媒介 不可 原則不可

専任・専属専任では、指定流通機構への登録や業務報告についてルールがあります。

どれが最適かは、物件と売却方針によります。

契約種類の違いを説明してもらい、自分で選びます。

売り出し価格は査定額そのものではない

査定額は売却価格の参考です。

実際の売り出し価格は、

  • 査定額
  • 周辺の売出物件
  • 売却期限
  • 値下げ余地
  • 物件の状態

などを踏まえて決めます。

高く売り出し過ぎると売却期間が長くなる場合があります。

反対に、急いでいるからと最初から必要以上に安くする必要もありません。

不動産会社へ、査定額と推奨売出価格の理由を分けて説明してもらいます。

買主が見つかったら価格以外の条件も確認する

購入希望者から申込みが入ったら、売買価格だけでなく、

  • 引渡し日
  • 手付金
  • 住宅ローン利用の有無
  • 残置物の扱い
  • 土地境界
  • 建物の不具合
  • 設備の扱い
  • 契約不適合責任に関する条件

などを調整します。

「一番高い申込だから即決」とせず、実際に契約・引渡しまで進められる条件か確認します。

売買契約後、決済・引渡しへ進む

売買契約を締結した後は、契約条件に沿って引渡し準備を進めます。

必要に応じて、

  • 残置物の撤去
  • 境界確認
  • 抵当権抹消の準備
  • 必要書類の準備

などを行います。

決済日には、買主から残代金を受け取り、所有権移転登記等を進め、鍵を引き渡します。

実家を売ると税金がかかる場合がある

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得に対して所得税・住民税等がかかる場合があります。

基本的な考え方は、

売却による収入 − 取得費 − 譲渡費用 − 適用できる特別控除等

です。

親が何十年も前に購入した実家では、取得時の売買契約書や領収書が見つからないこともあります。

税額へ影響するため、家財整理の段階で古い売買契約書などを見つけたら捨てずに保管します。

相続した空き家には3,000万円特別控除が使える場合がある

相続または遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

2026年4月1日現在の制度では、2027年12月31日までに行われる一定の譲渡が対象です。

また、2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋・敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、1人当たりの控除上限が2,000万円になります。

適用には、建物の建築時期、被相続人の居住状況、相続後の利用状況、売却時期など複数の条件があります。

「相続した実家なら必ず3,000万円控除」とは考えず、条件を確認します。

親が老人ホーム等へ入っていた実家でも対象になる場合がある

親が亡くなる直前まで実家で生活していなかった場合でも、要介護認定等を受けて老人ホーム等へ入所していたなど、一定の要件を満たせば、相続空き家の3,000万円特別控除の対象となる場合があります。

施設へ入っていたという理由だけで、最初から対象外と決める必要はありません。

親が存命で施設へ入った家は相続空き家特例とは別

親が存命で、施設入居によって元の自宅が空き家になったケースでは、相続した空き家ではありません。

親本人の居住用財産として、別の3,000万円特別控除が利用できる場合があります。

以前住んでいた家については、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件があります。

相続空き家の特例とは別制度なので混同しないようにします。

実家を解体してから売るかは査定後に考える

古い家を見ると、「更地にした方が売れるのでは」と考えることがあります。

しかし、解体前に売却方法を確認した方がよい場合があります。

古家付き土地として買いたい人がいる可能性もあり、買取会社なら建物付きの状態で査定することもあります。

解体すると費用が発生し、税制上の扱いに影響する場合もあります。

そのため、

  1. 現況のまま査定
  2. 古家付きでの売却可能性を確認
  3. 解体した場合の査定・費用を確認
  4. 比較して決定

という順番が考えられます。

実家を売却するときに集めておきたいもの

  • 登記関係の情報
  • 固定資産税の納税通知書
  • 購入時の売買契約書
  • 建築確認関係書類
  • 測量図・境界関係資料
  • 住宅ローン・抵当権関係資料
  • 相続関係書類
  • リフォーム・修繕履歴
  • 設備資料

すべて揃っていなくても査定相談はできます。

ただし、古い取得時資料は税金計算に関係するため、家財整理時に見つけたら残しておきます。

実家売却で失敗しにくくするための確認項目

  • 現在の所有者を確認した
  • 相続後なら相続人・登記を確認した
  • 重要書類を家財から分けた
  • 家財を全部捨てる前に査定した
  • 複数の不動産会社を比較した
  • 査定額の根拠を聞いた
  • 仲介と買取の両方を検討した
  • 媒介契約の種類を理解した
  • 税金・特例を確認した
  • 解体を先行する必要があるか確認した

よくある質問

実家売却は何から始めればよいですか?

まず、現在の所有者・登記名義を確認します。相続が発生している場合は相続人と相続登記を確認し、重要書類・家財を整理してから査定へ進みます。

相続した実家は、そのまま売却できますか?

売却前に誰が不動産を取得するのかを整理し、相続登記等の手続きが必要になります。相続人が複数いる場合は遺産分割等も確認してください。

実家を売る前に家財を全部片付ける必要がありますか?

必ずしも査定前に全部撤去する必要はありません。重要品を先に確保し、仲介・買取のどちらを利用するか、不動産会社が残置物へどう対応するかを確認してから処分範囲を決める方法があります。

実家の査定は何社に頼めばよいですか?

1社だけでなく複数社を比較する方法があります。査定額だけでなく、その金額の根拠、販売方法、実績、残置物対応などを比較してください。

実家は仲介と買取のどちらがよいですか?

できるだけ市場で買主を探したいなら仲介、売却期間や内覧等の負担を減らしたい、建物状態や残置物に事情がある場合は買取も候補になります。両方の査定条件を比較して決めます。

実家を売却すると税金はかかりますか?

売却によって譲渡所得が生じれば、所得税・住民税等が発生する場合があります。取得費、譲渡費用、所有期間、利用できる特例によって変わります。

相続した実家なら3,000万円控除を使えますか?

一定の要件を満たした場合に利用できます。相続した実家すべてが自動的に対象になるわけではありません。建築時期、被相続人の居住状況、相続後の利用、売却期限等を確認してください。

親が老人ホームに入っていた実家でも3,000万円控除を使えますか?

一定の要件を満たす場合は対象となることがあります。施設入居を理由に一律に対象外になるわけではありません。

古い実家は解体してから売った方がよいですか?

一律には決められません。古家付き土地として売れる場合や、買取会社がそのまま買い取る場合もあります。解体費を支払う前に、現況・解体後の両方の条件を確認してください。

実家売却は「片付けてから不動産会社」ではなく、売却条件を見てから片付ける

実家を売ろうと思うと、家財を全部処分し、修繕や解体をしてから不動産会社へ相談したくなることがあります。

しかし、売却方法が決まる前に費用をかけると、本来不要だった作業まで行う可能性があります。

まず所有者と名義を確認する。

相続後なら相続関係を整理する。

重要書類・貴重品を確保する。

その状態で複数社から査定を取り、仲介と買取を比較する。

そのうえで必要な家財撤去、修繕、解体を決めます。

実家全体を今後どうするかまだ決まっていない場合は実家・家財整理のガイドも参照してください。

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