墓じまいの墓石撤去は何をする?費用・工事範囲・見積もり・原状回復

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墓じまいでは、最後に墓石を解体・撤去して墓所を墓地管理者へ返還します。

ただし、「石塔を撤去すれば墓じまい完了」というわけではありません。

墓石を撤去する前に遺骨の行き先を決め、必要な場合は改葬許可を取得し、遺骨を取り出します。そのうえで墓石・外柵・基礎などを撤去し、墓地のルールに従って墓所を整地・原状回復して返還します。

また、撤去費は墓所の面積だけでは決まりません。

石材の量、基礎、納骨室、重機が入れるか、階段や斜面があるか、墓地内をどれだけ運搬するかなどによって大きく変わります。

見積もりを取るときは総額だけを見るのではなく、何を撤去し、何を残し、墓所をどの状態まで戻す金額なのかを確認することが重要です。

目次

墓石を撤去するだけでは墓じまいは終わらない

墓じまいは一般的に、現在のお墓を整理して墓所を管理者へ返還する一連の手続きを指します。

その中の工事部分が墓石撤去です。

通常は、次のような順番で進めます。

  1. 家族・親族と今後の供養方法を確認する
  2. 現在の墓地管理者へ墓じまいを相談する
  3. 遺骨の新しい行き先を決める
  4. 別の墓地・納骨堂へ移す場合は改葬許可を取得する
  5. 必要に応じ閉眼供養等を行う
  6. 遺骨を取り出す
  7. 墓石・外柵・基礎等を撤去する
  8. 墓所を整地・原状回復する
  9. 墓地管理者の確認を受け、墓所を返還する

墓石撤去業者だけを先に決めると、指定石材店があることが後から分かったり、遺骨の移転先が決まっていなかったりして工事を延期することがあります。

墓じまい全体の順番は、墓じまいの費用・手続き・流れから確認してください。

墓石撤去では何を撤去する?

墓地の形は一つではありません。

一般的な墓所には、石塔だけでなく複数の石材や構造物があります。

部分 主な内容
石塔 家名・戒名等が刻まれている中心となる墓石
台石 石塔の下にある複数段の石材
外柵 墓所の周囲を囲む石材
墓誌 戒名・俗名等を刻む石板
香炉・花立て等 墓前に設置された付属石材
カロート 遺骨を納める納骨室
基礎 墓石・外柵などを支えるコンクリート等
植木・砂利等 墓所内に設置・施工されたもの

墓じまいでどこまで撤去する必要があるかは、墓地の返還条件によります。

石塔だけ撤去して外柵や基礎を残せる墓地もある、と最初から考えない方が安全です。

墓地管理者へ「返還時にどの状態まで戻す必要がありますか」と確認してください。

原状回復とは何をする?

公営墓地の条例などでは、墓所を使用しなくなった場合に原状回復して返還することを定めている例があります。

例えば東京都霊園、横浜市営墓地、札幌市営墓地には、使用しなくなった墓所を原状に回復して返還する旨の規定があります。

ただし、実際の「原状」がどの状態なのかは墓地ごとに違います。

一般には、墓石等を撤去したうえで、

  • 外柵を撤去する
  • 基礎コンクリートを撤去する
  • カロートを撤去・処理する
  • 不要な残土・石材を搬出する
  • 地面を平らにする
  • 墓地管理者が指定する状態に戻す

といった作業が行われます。

一方、墓地によっては特殊な区画や独自の返還方法があります。

工事業者の判断だけで施工範囲を決めず、管理者側が求める返還状態を見積もり前に確認します。

墓石撤去費はいくら?

墓石撤去費について、全国の墓じまいを対象とした公的な平均価格は確認できません。

2026年時点の石材店・墓じまい事業者等の公開価格を見ると、墓石撤去全体で10〜40万円程度、または1㎡あたり8〜15万円程度を一つの参考値として示す例があります。

ただし、同じ2㎡の墓所でも同じ料金になるとは限りません。

墓所面積よりも、実際の作業量が価格へ強く影響するためです。

そのため「1㎡○万円×面積」で予算を確定せず、現地調査後の見積もりを確認してください。

撤去費用が変わる主な条件

墓所の広さ・石材の量

墓所が広く、外柵や大型の墓石が多ければ、解体・運搬・処理する石材量も増えます。

同じ墓所面積でも、芝生墓地のように石材が少ない区画と、石塔・外柵・墓誌等が多い墓所では作業量が違います。

基礎・カロートの構造

地上の墓石だけでなく、地下に大きなコンクリート基礎やカロートが施工されている場合があります。

これらを撤去する必要がある場合は、解体作業・搬出量が増えます。

見積もりに基礎撤去が含まれているかを必ず確認します。

重機が墓所まで入れるか

墓石は非常に重量があります。

トラックやクレーン、運搬機械などを墓所の近くまで入れられる場合と、人力で長距離運搬しなければならない場合では作業量が大きく変わります。

階段・斜面・狭い通路

山の斜面、長い階段、狭い参道などがある墓地では、石材を小さく解体して人力搬出する必要が出ることがあります。

墓石の大きさだけでなく、墓地入口から墓所までの搬出経路も見積もりの重要な条件です。

墓地内での工事条件

墓地によっては、

  • 作業できる曜日・時間
  • 使用できる重機
  • 工事車両の進入場所
  • 養生方法
  • 指定石材店

などが決められています。

こうした条件も作業費へ影響することがあります。

見積書で確認したい項目

墓石撤去の見積もりでは、「墓じまい工事一式 30万円」のような総額だけでは内容を判断しにくくなります。

できるだけ次の項目を確認してください。

見積項目 確認ポイント
石塔・墓石撤去 どの石材まで含むか
外柵撤去 外柵全体を撤去するか
基礎撤去 コンクリート等の基礎まで含むか
カロート 納骨室の撤去・埋戻し等をどうするか
遺骨取り出し 工事費に含まれるか、別料金か
重機 クレーン等が別料金か
運搬 墓地内の小運搬等が含まれるか
石材等の処理 撤去後の搬出・処理まで含むか
整地 工事後にどこまで原状回復するか
追加料金 工事開始後に追加費用となる条件
消費税 見積金額が税込か税別か

特に基礎・カロート・遺骨取り出しが「別途」になっていないかを確認します。

現地確認前の見積もりは概算と考える

写真、墓所面積、墓地名などから概算を出してもらえることがあります。

遠方のお墓などでは便利ですが、正式な工事条件は現地を見なければ分からないことがあります。

例えば写真からは、

  • 地下基礎の厚さ
  • カロートの構造
  • 墓地内の搬出経路
  • 重機をどこまで近づけられるか
  • 墓地独自の工事条件

までは判断できない場合があります。

そのため、契約する前に「この金額は概算ですか、現地確認後の確定見積もりですか」と確認してください。

遺骨を取り出す前に改葬先を確認する

墓石撤去を急ぐあまり、遺骨の行き先を後回しにしないようにします。

現在のお墓から別の墓地・納骨堂へ遺骨を移す場合は、改葬許可が必要です。

一般的には、改葬先を決め、現在のお墓がある自治体へ必要な申請を行い、改葬許可証の交付を受けてから遺骨を移します。

工事日だけ先に決めても、改葬許可が間に合わなければ遺骨を予定どおり移せません。

改葬許可については、改葬許可の申請先・必要書類・手続きで確認してください。

遺骨の取り出しは墓石撤去費に含まれる?

石材店によって異なります。

撤去工事に含めている場合もあれば、遺骨取り出しを別料金としている場合もあります。

複数の遺骨がある場合や、古い骨壺が多数ある場合、カロート内に水が入っている場合などは対応が変わることもあります。

見積もり時には、

  • 納められている遺骨のおおよその数
  • 骨壺の状態
  • 誰が遺骨を受け取るのか
  • 取り出した遺骨をその日に移すのか

も確認します。

閉眼供養は墓石撤去前に必ず必要?

墓石撤去前に閉眼供養、魂抜き、お性根抜きなどと呼ばれる宗教儀礼を行うことがあります。

一方、墓地、埋葬等に関する法律上の改葬許可について、閉眼供養を行った証明を全国一律に求める制度ではありません。

つまり行政上の改葬許可と、宗教上の儀礼は別です。

ただし、寺院墓地では寺院の方針や墓地運営上の手続きとして供養を行う場合があります。

墓石撤去の日程を決める前に墓地管理者へ確認してください。

指定石材店がある墓地では先に確認する

寺院墓地・民営霊園などでは、工事できる石材店が指定されている場合があります。

外部の業者へ安い見積もりを依頼した後で指定制度が分かると、その業者へ施工を頼めない可能性があります。

墓じまいを相談した時点で、

  • 指定石材店制度があるか
  • 墓石撤去まで指定の対象か
  • 指定業者は1社か複数か
  • 指定業者内で比較できるか

を確認します。

指定石材店については、墓じまいで指定石材店しか選べない場合の確認方法で詳しく解説しています。

墓石は自分で撤去できる?

法律上の問題だけを見て「自分で石を外せばよい」と考えるのは避けた方が安全です。

墓石は非常に重く、転倒・落下による重大な事故につながる可能性があります。

さらに、墓地内で工事できる人や使用できる機械が規則で定められている場合があります。

撤去した石材やコンクリート等をどのように搬出・処理するかも必要です。

自分での撤去を考えている場合は、少なくとも先に墓地管理者へ、

  • 本人施工が認められているか
  • 工事届が必要か
  • 原状回復の範囲
  • 搬出方法
  • 石材等の処理方法

を確認してください。

費用だけを理由に、重量物の解体・搬出を無理に自分で行わない方がよいでしょう。

墓石撤去工事は何日かかる?

全国一律の工事日数はありません。

小規模な墓所で作業条件がよければ比較的短期間で工事できることがありますが、大きな墓所、搬出経路が悪い墓地、基礎が大きい墓所などでは時間がかかります。

また、工事そのものの日数と墓じまい全体の期間は別です。

墓じまいでは工事前に、家族との話し合い、墓地管理者への相談、改葬先の決定、改葬許可などが必要になります。

完了までの期間は、墓じまいにはどれくらいかかる?期間の目安と長引く原因で確認できます。

工事後は墓地管理者にも確認してもらう

墓石撤去工事が終わったら、工事業者だけの判断で「完了」とせず、墓地管理者へ墓所返還の確認を取ります。

特に、

  • 基礎が残っている
  • 地面の高さが周囲と合っていない
  • 石材や残土が残っている
  • 墓地指定の状態まで戻っていない

といった問題があると、追加工事を求められる可能性があります。

見積もり段階から「墓地管理者の返還確認まで対応してもらえるか」を石材店へ確認しておく方法もあります。

相見積もりは同じ工事範囲で比較する

石材店を自由に選べる墓地なら、複数社から見積もりを取る方法があります。

ただし、A社は基礎撤去込み、B社は基礎別料金という状態では総額だけを比較できません。

各社に同じ条件を伝えます。

例えば、

  • 墓所の面積
  • 撤去する石材
  • 外柵
  • 基礎
  • カロート
  • 遺骨取り出し
  • 整地方法
  • 運搬・処理
  • 追加料金条件

をそろえて比較します。

最安値だけではなく、墓地の規則を理解しているか、見積もりが具体的か、追加条件が明確かも確認してください。

墓石撤去でよくある失敗

墓地へ確認する前に外部業者と契約する

指定石材店制度があると、その業者へ施工を頼めない可能性があります。

「一式」の見積もりだけで契約する

基礎・遺骨取り出し・重機などが追加料金になり、最終金額が増えることがあります。

遺骨の行き先を決めず工事日を決める

改葬先や改葬許可が間に合わず、工事を延期する原因になります。

墓石だけ撤去して返還できると思う

基礎・外柵等の撤去や整地を求める墓地があります。

工事完了後の墓地確認を取らない

後から原状回復の不足を指摘される可能性があります。

墓石撤去を依頼する前のチェックリスト

  • 墓地管理者へ墓じまいを相談した
  • 墓所返還時の原状回復範囲を確認した
  • 指定石材店制度を確認した
  • 遺骨の行き先を決めた
  • 必要な改葬許可を確認した
  • 撤去する墓石・外柵・基礎の範囲を確認した
  • 遺骨取り出しが見積もりに含まれるか確認した
  • 重機・搬出・処理費を確認した
  • 追加料金が発生する条件を確認した
  • 工事後の整地・管理者確認まで確認した

よくある質問

墓じまいの墓石撤去はいくらかかりますか?

全国を対象とした公的な平均価格は確認できません。

2026年時点の民間事業者の公開情報では、墓石撤去全体で10〜40万円程度、または1㎡あたり8〜15万円程度などを参考値として示す例があります。

ただし、墓所面積、石材量、基礎、重機の使用、搬出経路などで大きく変わるため、現地見積もりで確認してください。

墓石だけ撤去すれば墓じまいできますか?

通常は墓石を撤去するだけでは終わりません。

遺骨を取り出し、必要な手続きを行い、墓地側が指定する状態まで原状回復して墓所を返還します。

墓石の基礎も撤去しますか?

墓地の返還条件によります。

基礎まで撤去することを求められる墓地もあるため、管理者へ原状回復範囲を確認してください。

遺骨の取り出しは撤去費に含まれますか?

石材店によって異なります。

工事費に含む場合と別料金の場合があるため、見積書で確認してください。

墓石は自分で撤去できますか?

墓地の規則、安全性、重量物の搬出、撤去物の処理など複数の問題があります。

まず墓地管理者へ本人施工が認められているか確認し、無理な自己施工は避けてください。

石材店は自由に選べますか?

墓地によります。

寺院墓地や民営霊園では指定石材店制度がある場合があります。

工事業者を探す前に管理者へ確認してください。

工事後の墓石はどうなりますか?

通常は石材店等が撤去・搬出し、適切な処理ルートで処理します。

処理費が見積もりに含まれているか確認してください。

工事は何日で終わりますか?

墓所の規模、石材量、基礎、重機の使用可否、搬出経路などによって異なります。

墓じまい全体は行政手続きや改葬先の調整も含むため、工事日数だけでは完了時期を判断できません。

墓石撤去は「撤去費」より工事範囲を先に確認する

墓石撤去では、1㎡あたりいくらかという数字だけを見ても、自分のお墓の費用は正確には分かりません。

最初に確認したいのは、墓地管理者が求める返還状態です。

石塔、外柵、基礎、カロートをどこまで撤去するのか。

重機は入れるのか。

遺骨取り出しや整地は見積もりに含まれるのか。

これらを明確にして初めて、複数の見積もりを同じ条件で比較できます。

また、墓石撤去は墓じまいの最後に近い工程です。

その前に遺骨の行き先と必要な行政手続きを確認し、墓地管理者と返還条件を整理してから工事へ進みます。

墓じまい全体は墓じまいの進め方、指定石材店については指定石材店の確認方法、改葬手続きは改葬許可の申請方法から確認してください。

参考にした公的・公式情報

  • 東京都「東京都霊園条例」
  • 横浜市「横浜市墓地及び納骨堂に関する条例」
  • 札幌市「札幌市墓地条例」
  • 国民生活センター「指定石材店に関する墓じまい相談FAQ」
  • 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律・関係情報」
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