実家じまいには、いくらかかるのでしょうか。
調べると「数十万円」「100万円以上」「300万円かかった」など、かなり違う金額が出てきます。
これは、実家じまいという一つの作業に決まった料金があるわけではないためです。
実際には、
- 遺品整理・家財処分
- 空き家の管理
- 相続登記
- 建物の解体
- 不動産の売却
といった別々の費用を、必要な場合だけ支払います。
実家じまいの費用は「総額○万円」と考えるより、自分に必要な工程だけを足して考える方が分かりやすくなります。
実家じまいで発生する主な費用
| 費用 | 発生する主なケース |
|---|---|
| 遺品整理・家財処分 | 家の中を空にする |
| 空き家管理 | 売却等まで時間がかかる |
| 相続登記 | 亡くなった親名義の不動産を相続する |
| 解体費 | 建物を取り壊す |
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介で売却する |
| 印紙税 | 課税対象となる紙の売買契約書を作成する |
| 測量等 | 境界確認等が必要になる |
すべての家庭で、この費用が全部発生するわけではありません。
例えば、建物付きのまま買主が見つかれば、売主側で解体する必要がないことがあります。
自分たちで家財整理できれば、遺品整理業者へ支払う費用を大きく減らせます。
実家じまいの総額は「家をどうするか」で大きく変わる
実家じまいの費用を考える前に、最終的な方向を大きく3つに分けます。
実家を残す
主に必要になるのは、家財整理、相続登記、固定資産税、保険、空き家管理などです。
解体・売却費用は発生しませんが、保有している間の維持費が続きます。
建物付きで売る
遺品整理、相続登記、仲介手数料などが中心です。
売り方によっては、家財が多少残っている状態で査定を受けることもできます。
解体して土地として売る
上記に加えて、建物解体費が必要になります。
木造住宅でも100万円を超えるケースは珍しくないため、実家じまい総額を大きく左右します。
遺品整理・家財処分はいくら?
家の中を業者へまとめて片付けてもらう場合、費用は間取りだけでは決まりません。
2026年時点で公開されている一般社団法人の料金例では、
| 間取り | 料金例 |
|---|---|
| 1K | 38,500円〜 |
| 1DK・1LDK | 66,000円〜 |
| 2DK | 132,000円〜 |
| 2LDK | 154,000円〜 |
| 3DK | 187,000円〜 |
| 3LDK | 209,000円〜 |
この料金例には、梱包・搬出・清掃・車両・処分料金が含まれています。
一方で、家電リサイクル料金やオプション作業は別です。
これは全国平均ではなく、一つの提供者が示している料金目安です。
一軒家なら20万円で終わるとは限らない
同じ3LDKでも、実際の料金は荷物の量によって大きく変わります。
2026年に複数業者の公開料金を集計した別の調査では、3LDKで8万〜44万円、4LDK以上で10万〜49.5万円という幅があります。
つまり「3LDKだから約20万円」と固定して予算を決めるのは難しいということです。
遺品整理費が高くなる条件
- 物が非常に多い
- 大型家具が多い
- 家電が多い
- エレベーターがない
- トラックを家の近くに停められない
- 2階から大型家具を下ろす必要がある
- 特殊清掃が必要
- 庭・物置・倉庫にも大量の荷物がある
戸建てでは、室内だけではなく物置・庭・ガレージも見積もりに含めるか確認します。
家財の買取で費用を減らせる場合もある
処分前に、売却できる物がないか確認する方法があります。
例えば、
- 比較的新しい家電
- ブランド家具
- 貴金属
- 時計
- 骨董品
- 趣味用品
などです。
買取額を処分料金から差し引く会社もあります。
ただし「何でも高く売れる」ことを前提にしない方がよいでしょう。
空き家の管理にも費用がかかる
実家じまいは、親が亡くなった翌月に完了するとは限りません。
相続、遺品整理、家族の話し合い、売却活動などで半年・1年と時間がかかることがあります。
その間、実家が空き家なら管理費用も考えます。
空き家管理サービスは月数千円からの例がある
2026年9月現在の空き家管理サービスの実例では、月1回の外観確認・ポスト確認・写真報告などを行うプランが月額2,750円、室内確認・換気・通水などまで行うプランが月額6,600円となっています。
年間にすると、
- 月2,750円なら33,000円
- 月6,600円なら79,200円
です。
ただし、これは一つのサービス例であり、全国共通の料金ではありません。
空き家の維持費は管理サービスだけではない
実家を保有している間は、ほかにも、
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険等
- 水道・電気の基本料金
- 草刈り・剪定
- 建物の修繕
- 現地へ行く交通費
などが発生します。
管理サービスの月額だけを「空き家の維持費」と考えないようにします。
自分で空き家管理すれば無料?
業者への管理料は不要になります。
一方、実家が遠方なら交通費と時間がかかります。
例えば月1回往復する場合は、年間12回分の交通費も含めて、委託した場合と比較すると判断しやすくなります。
相続登記には登録免許税がかかる
亡くなった親名義の実家を相続する場合、相続登記が必要になります。
相続による所有権移転登記の登録免許税(とうろくめんきょぜい)は、原則として、
不動産の価額 × 0.4%
です。
ここで使う不動産の価額は、売却価格ではなく、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です。
固定資産評価額2,000万円なら登録免許税は8万円
単純な例では、
2,000万円 × 0.4% = 8万円
です。
司法書士へ依頼する場合は、これとは別に司法書士報酬等がかかります。
司法書士費用には全国共通の定価がない
司法書士へ相続登記を依頼した場合の報酬には、全国一律の法定料金がありません。
相続人の人数、不動産の数、戸籍収集を任せるか、数世代前の相続が残っているかなどによって変わります。
比較するときは、
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 戸籍等の取得費
- 郵送・実費
を分けて確認します。
一定の土地には登録免許税の免税措置もある
2026年9月現在、一定の相続登記には登録免許税の免税措置があります。
例えば一定の要件を満たす不動産価額100万円以下の土地については、2027年3月31日まで免税となる制度があります。
すべての実家に使えるわけではないため、対象になるか確認します。
解体すると実家じまいの費用は大きく上がる
実家じまい費用の中で大きな金額になりやすいのが建物解体です。
解体費について国が公表する一つの全国平均価格があるわけではありません。
2026年の複数の民間データを見ると、木造住宅はおおむね1坪3万〜6万円台で紹介されることが多く、30坪なら90万〜180万円程度になる例があります。
ただし、地域差も大きいため、この金額だけで予算を確定することはできません。
解体費が高くなる主な条件
- アスベストを含む建材がある
- 重機が入れない
- 前面道路が狭い
- 隣家との距離が近い
- 地中埋設物が見つかる
- ブロック塀・庭石・樹木が多い
- 物置・カーポート等も撤去する
- 家財が残っている
「木造30坪だから120万円」といった計算だけでは追加費用を判断できません。
売る予定なら、解体する前に査定する
古い実家を見ると、「更地にしないと売れない」と考えることがあります。
しかし、実際には、
- 中古住宅として売る
- 古家付き土地として売る
- 買主が購入後に解体する
- 売主が解体して更地にする
という複数の方法があります。
100万円以上かけて解体した後で、建物付きでも同じように売れたと分かっても元には戻せません。
売却を考えているなら、建物がある状態で先に査定を取る方が費用判断をしやすくなります。
不動産売却では仲介手数料がかかることがある
不動産会社へ仲介を依頼し、売買契約が成立した場合には仲介手数料が発生します。
仲介手数料は自由にいくらでも請求できるものではなく、国が上限を定めています。
例えば国土交通省が示している売買価格1,000万円の例では、売主・買主の一方から受け取れる仲介手数料の上限は税込39.6万円です。
これは上限額であり、必ずこの金額を支払うという意味ではありません。
800万円以下の実家では仲介手数料の特例に注意
価格800万円以下の宅地・建物については、「低廉な空家等」に関する仲介手数料の特例があります。
条件を満たす取引では、依頼者一方から受領できる仲介手数料の上限が税込33万円となる場合があります。
通常の速算式だけで計算すると金額が合わないことがあるため、売却価格が低い実家では媒介契約時に確認します。
売買契約書には印紙税がかかる場合がある
紙で不動産売買契約書を作成する場合、契約金額に応じて印紙税が必要になります。
2026年9月現在、不動産譲渡に関する一定の契約書については、2027年3月31日まで軽減措置が設けられています。
実際の金額は売買契約書に記載する金額によって違います。
売却利益が出れば税金も確認する
実家を売却して利益が出た場合は、譲渡所得(じょうとしょとく)に対する税金が発生することがあります。
ただし、
- 親が取得したときの価格
- 所有期間
- 売却費用
- 相続した空き家に関する特例
- 取得費加算の特例等
によって税額が大きく違います。
そのため「実家売却なら税金○万円」と固定額では計算できません。
相続した空き家の3,000万円控除も確認する
一定の要件を満たす相続空き家については、売却時の譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、建物の建築時期、親の居住状況、相続後の利用、売却期限など複数の条件があります。
税特例を利用できる可能性があるなら、家を貸す・解体するなどの行動をする前に確認します。
測量費は全員に必要?
必要とは限りません。
土地を売却するときに境界が明確で、買主との契約上も問題がなければ、新しく境界確定測量を行わないケースもあります。
一方、
- 古い土地で境界標がない
- 隣地との境界が不明
- 登記面積と現況が大きく異なる
- 買主が確定測量を条件にする
場合などには費用が発生する可能性があります。
売却前に「測量必須」と決めず、不動産会社・土地家屋調査士等へ確認します。
ほかにも必要になることがある費用
実家の状態によっては、次の費用も考えます。
- 家電リサイクル料金
- 庭木・庭石の撤去
- 物置・カーポート撤去
- 仏壇じまい
- 特殊清掃
- ハウスクリーニング
- 残置物撤去
- 建物滅失登記
- 境界確定測量
- 修繕
これらは「実家じまいだから必ず必要」ではありません。
実家じまいの総額はこう考える
基本式は、
片付け費 + 保有中の費用 + 相続手続費 + 最終的な処分費
です。
建物付きで売る場合
例えば、
- 遺品整理・家財処分
- 空き家期間の管理費
- 相続登記
- 仲介手数料
- 印紙税等
を考えます。
解体費は発生しない可能性があります。
解体して売る場合
上記に加えて、100万円単位になることもある解体費を考えます。
そのため、実家じまい総額は大きく上がります。
実家を残す場合
解体・売却費はありません。
一方、固定資産税、保険、管理、修繕などの維持費が毎年続きます。
最初からすべての費用を足さない
実家じまい費用の記事を見ると、
遺品整理50万円。
解体150万円。
登記10万円。
売却費50万円。
とすべてを合計し、「実家じまいには250万円必要」と計算したくなります。
しかし、解体をしないなら150万円は発生しません。
自分で片付ければ遺品整理費は小さくできます。
売却せず残すなら仲介手数料は発生しません。
「全部やった場合の総額」ではなく、自分が選ぶ出口に必要な費用だけを合計します。
実家じまいの費用を抑える順番
1.先に家をどうするか考える
残す・貸す・売る・解体するの候補を整理します。
2.売る可能性があるなら現況で査定する
家財を全部処分したり建物を解体したりする前に査定します。
3.価値のある家財を先に分ける
買取できる物と処分する物を分けます。
4.片付け業者は同じ条件で比較する
「家の中全部」「庭・物置を含む」など範囲をそろえて比較します。
5.空き家の期間を必要以上に長くしない
固定資産税・保険・管理費などが続きます。
6.解体は査定後に判断する
先に100万円以上を支払ってから売却価格を確認する順序を避けます。
見積もりは何社取ればよい?
金額の大きな作業では、2〜3社程度を同条件で比較すると違いを確認しやすくなります。
重要なのは会社数より、作業範囲をそろえることです。
例えば、A社は庭まで込み、B社は室内だけという見積もりでは単純比較できません。
見積書で確認したいこと
- 作業範囲
- 作業員数
- 車両費
- 処分費
- 家電リサイクル費
- 階段等の追加料金
- 買取額
- 庭・物置を含むか
- キャンセル料金
- 追加料金が発生する条件
よくある質問
実家じまいの費用はいくらですか?
一律の総額はありません。遺品整理だけなら数万円〜数十万円の例がありますが、解体を行えば100万円単位の費用が加わることがあります。家を残す・売る・解体するのどれを選ぶかで総額は大きく変わります。
一軒家の遺品整理はいくらですか?
荷物量・間取り・搬出環境によって変わります。2026年の公開料金例では3LDK20万円台からという例がある一方、複数業者の公開料金集計では3LDKで8万〜44万円程度と幅があります。
空き家管理は月いくらですか?
サービス内容によります。2026年9月現在の実例では、外観確認等で月2,750円、室内確認・換気・通水まで含めて月6,600円というサービスがあります。固定資産税・保険・修繕等は別です。
相続登記はいくらですか?
登録免許税は原則、不動産の価額の0.4%です。司法書士へ依頼する場合は別途報酬等がかかります。
木造30坪の解体はいくらですか?
全国一律の公的平均はありません。2026年の複数の民間データでは、木造住宅は坪3万〜6万円台、30坪で90万〜180万円程度になる例があります。地域、アスベスト、道路条件、付帯物等で変わります。
実家を売ると仲介手数料はいくらですか?
売買価格によって上限が決まります。国土交通省の例では売買価格1,000万円なら税込上限39.6万円です。価格800万円以下の低廉な空家等には別の特例上限が適用される場合があります。
売却前に解体した方がよいですか?
一律には言えません。建物付きのまま売れる場合もあるため、解体前に現況査定を受けて比較する方がよいでしょう。
司法書士へ依頼しないと相続登記できませんか?
本人申請も可能です。相続関係が複雑、古い相続が残っている、不動産が多数あるなどの場合は司法書士へ依頼する方法があります。
測量は必ず必要ですか?
必ずではありません。土地の境界や契約条件によって必要性が変わります。売却前に不動産会社等へ確認してください。
実家じまい費用を最も抑える方法は?
不要な工程を先に実行しないことです。特に、売却予定なら家財の全処分や解体前に現況査定を取り、必要な作業だけを選ぶことで大きな先払いを避けられる場合があります。
実家じまいの費用は「いくら」より「何に払うか」を整理する
実家じまいには、全国共通の総額相場はありません。
家財だけ片付ける人。
半年間空き家として管理する人。
古家付きのまま売却する人。
解体して土地を売る人。
それぞれ必要な費用が違います。
そのため、先に200万円・300万円という予算を作るのではなく、
片付け。
管理。
登記。
解体。
売却。
という工程に分け、自分に必要なものだけを積み上げます。
特に金額の大きい解体や家財の全処分は、売却方法を確認する前に実行しないことが重要です。
実家じまいでは「お金をかけてから家の出口を決める」のではなく、「出口を比較してから必要なところへお金をかける」方が、無駄な費用を抑えやすくなります。
実家じまい全体については実家じまいのガイドも参照してください。