実家じまいはいつから始める?親が元気なうち・施設入居・相続後の判断基準

親が高齢になってくると、「実家のことも、そのうち考えなければ」と感じる場面が増えてきます。

ただ、親が今も元気に暮らしているなら、実家じまいの話をするのは早すぎるようにも感じます。反対に、施設への入居や相続が起きてからでは遅いのではないか、と心配になる人もいるでしょう。

実家じまいには、「何歳になったら始める」という決まった年齢はありません。

考えやすいのは、年齢ではなく親の暮らし方や家の状態が変わるタイミングです。

そしてもう一つ大切なのが、実家じまいについて考え始めることと、家財を処分したり家を売ったりすることを分けることです。

親が元気なうちは準備だけ進め、実際の売却や大規模な片付けは必要になってから行うこともできます。

目次

実家じまいは何歳からではなく「状況の変化」で考える

60代だから早い、80代だから遅い、と年齢だけで実家じまいの時期を決めることはできません。

70代でも自分で家を管理し、そこで暮らし続けたい人もいます。一方で、比較的若くても病気や住み替えなどによって、今後その家に住まなくなることもあります。

実家じまいを考え始める時期は、大きく次のように分けると整理しやすくなります。

  • 親が元気な時期:今後について話し、情報を整理しておく
  • 住み替え・施設入居・空き家化の時期:家を残すか、貸すか、売るかを具体的に検討する
  • 親が亡くなった後:相続手続きとあわせて家の処分や活用を判断する

つまり、「実家じまいを始める」の意味は、その時期によって違います。

親が元気な時点で家を売る必要はありません。ただ、将来について何も確認していない状態のまま、突然判断が必要になることは避けられます。

実家じまい全体の流れを先に確認したい場合は、実家じまいとは?何から始めるか、片付け・相続・売却までの進め方もあわせて確認してください。

親が元気なうちに始めるのは「処分」ではなく「準備」

親が元気に実家で暮らしている段階では、無理に物を捨てたり、家の売却を決めたりする必要はありません。

この時期にできるのは、将来困らないための情報整理です。

  • 親は今後もその家で暮らしたいのか
  • 将来、施設や子どもの家への住み替えを考えているのか
  • 実家の土地・建物は誰の名義なのか
  • 売買契約書や登記関係書類はどこにあるのか
  • 家族に残してほしい物は何か
  • 処分してよい物と判断に迷う物はどれか
  • 家を引き継ぎたい家族がいるのか

こうしたことは、本人に確認できるうちの方が整理しやすいものです。

反対に、「将来困るから全部片付けよう」「この家はもう売ろう」と子ども側から決めてしまうと、親にとっては自分の暮らしや財産を勝手に整理されているように感じることがあります。

元気な段階での実家じまいは、家をなくす作業ではなく、将来どうするかを本人と家族が確認できる時期と考える方が実態に合っています。

実家じまいを考え始める代表的なタイミング

親自身が家の管理を負担に感じ始めた

戸建て住宅では、室内の掃除だけでなく、庭木、草取り、雪かき、外壁や屋根の修繕なども必要になります。

以前なら問題なくできていた作業が負担になってきたときは、家の今後について話し始めるきっかけになります。

すぐに売却する必要はありません。

今後も住み続けるなら、管理を外部へ頼むのか、家の一部だけを使うのか、将来は住み替えるのかといった選択肢を考える時期です。

住み替えや施設入居を考え始めた

高齢者住宅や介護施設への入居を検討し始めたときも、実家について考える時期になります。

ただし、施設へ入ったからといって、その日に実家を処分する必要があるわけではありません。

本人が自宅へ戻る可能性があるのか、施設での生活が長期になるのか、家を維持する費用をどうするのかなどを見ながら判断します。

この段階では、家を売るかどうかを決めるより先に、名義、重要書類、家財の量、維持費などを把握しておくと判断しやすくなります。

誰も住まなくなることが決まった

親が住み替え、今後実家へ戻る予定もなく、ほかの家族も住まないのであれば、実家じまいを具体的に考える時期です。

選択肢は売却だけではありません。

  • 当面維持する
  • 家族が利用する
  • 賃貸やその他の活用を検討する
  • 建物付きで売却する
  • 買取を検討する
  • 必要であれば解体する

ここで注意したいのは、「空き家になる=すぐ解体」ではないことです。

売却方法によっては建物を残したままの方がよい場合もあります。家財処分や解体に大きな費用をかける前に、不動産としてどのような選択肢があるか確認しておく方が無駄を避けやすくなります。

親が亡くなった

親が亡くなったことをきっかけに、初めて実家じまいを考える家庭も少なくありません。

この場合は、家財整理だけを単独で進めるのではなく、相続人、遺言、不動産の名義なども確認しながら進めます。

相続後には期限のある手続きや税制が関係することもあるため、家をどうするか決まらなくても、必要な制度や期限だけは早い段階で確認しておく方が安全です。

まだ売却や処分を急がなくてよいケース

早めに考えることと、早く処分することは同じではありません。

次のような場合は、実家について話し合ったうえで、売却や大量の家財処分を急がない選択もあります。

  • 親本人が今後もその家で暮らしたい
  • 施設入居が一時的で、自宅へ戻る可能性がある
  • 兄弟姉妹など家族の意見がまとまっていない
  • 家を引き継いで住みたい人がいる
  • 売る・貸す・残すの比較がまだできていない

家財や建物は、一度処分してしまえば元には戻せません。

「早く実家じまいをしなければ」と焦るより、必要な確認が終わっているかを基準に判断した方がよいでしょう。

反対に、先延ばししない方がよい状態

一方、何年も判断を止めたままにすると、別の問題が増えていく場合があります。

例えば次のような状態です。

  • すでに誰も住んでいない
  • 定期的に家を確認する人がいない
  • 庭木や雑草を管理できていない
  • 雨漏りや建物の傷みが出ている
  • 郵便物がたまっている
  • 固定資産税、保険、光熱費などの負担だけが続いている
  • 遠方にあり家族が管理できない

このような場合は、売却するかどうかをすぐ決められなくても、少なくとも管理方法は決めておく必要があります。

国土交通省によると、管理が不十分な空き家が「管理不全空家等」や「特定空家等」となり、市区町村から勧告を受けた場合、土地に適用されている住宅用地特例が受けられなくなることがあります。

国土交通省|空き家対策 特設サイト

だからといって、空き家になったら直ちに売却しなければならないわけではありません。

「売るかどうか」と「適切に管理するか」は別の問題として考えます。

親の判断能力が低下してからでは難しくなることがある

親名義の実家について、子どもであるという理由だけで自由に売却や契約ができるわけではありません。

認知症などによって本人の判断能力が不十分になった場合、不動産や預貯金などの財産管理について成年後見制度などが関係することがあります。

法務省も、判断能力が不十分な人について、不動産や預貯金などの財産管理や各種契約を法律的に支援する制度として成年後見制度を案内しています。

法務省|成年後見制度・成年後見登記制度

そのため、親が元気なうちに家を売る必要まではなくても、本人が家をどうしたいのか、重要な書類がどこにあるのかを確認しておく意味はあります。

成年後見や財産管理が実際に必要かどうかは家庭ごとに異なるため、具体的な法律行為については司法書士、弁護士など適切な専門家へ確認してください。

空き家になった後は「何もしない」ことにも費用とリスクがある

実家を残しておく選択そのものが悪いわけではありません。

ただし、誰も住まなくなった家にも一般に次のような負担が残ります。

  • 固定資産税
  • 火災保険など
  • 必要に応じた電気・水道等の基本料金
  • 庭や敷地の管理
  • 建物の点検・修繕
  • 遠方の場合の交通費や管理委託費

つまり、「今は売らない」と決める場合も、誰が管理し、費用を誰が負担するのかまで決めておく必要があります。

何もしないまま残すことと、管理しながら保有することは同じではありません。

親が亡くなった後は期限のある制度も確認する

相続後に実家を売却する可能性がある場合、税制上の期限が関係することがあります。

例えば、一定の要件を満たす相続した空き家については、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」が設けられています。

2026年9月時点の制度では、一定の要件を満たし、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡するなどの条件を満たした場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります。相続人が3人以上の場合など、控除額や適用条件が異なるケースもあります。

制度自体の適用期間や細かな要件もあるため、売却を考える場合は最新情報を確認してください。

国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

親が老人ホーム等へ入居していた場合でも、一定の要件を満たせば対象となる場合があります。

国税庁|被相続人が老人ホーム等に入所していた場合

こうした制度があるため、相続後の実家を何年間も何となく放置してから考え始めるより、使える制度や期限だけでも確認しておく方がよいでしょう。

自分の家庭ではいつ動く?判断の順番

実家じまいを始める時期に迷ったら、次の順番で考えてみてください。

  1. 今後その家に住む人がいるか
  2. 親本人は家を今後どうしたいと考えているか
  3. 本人と今、意思確認や相談ができる状態か
  4. 近いうちに住み替えや施設入居の予定があるか
  5. 誰も住まなくなった場合、管理する人がいるか
  6. 維持費や建物管理が負担になっていないか

親が元気で、今後も実家で暮らしたいのであれば、急いで家を処分する必要はありません。

それでも、本人の希望や名義、重要書類について確認するところまでは始められます。

反対に、すでに誰も住んでおらず、管理する人もいないのであれば、家財整理や売却を含め、具体的な選択肢を比較し始める時期と考えられます。

よくある質問

実家じまいは何歳から始めるものですか?

決まった年齢はありません。親の年齢よりも、本人が今後どこで暮らしたいか、家を管理できているか、住み替えや施設入居の予定があるかなどを基準に考えます。親が元気なうちは、売却ではなく情報整理や話し合いから始める方法があります。

親が元気なのに実家じまいの話をしてもよいですか?

話し合うこと自体はできます。ただし、親が現在暮らしている家について子ども側だけで処分を決めるのではなく、本人がどうしたいかを確認することが前提です。「家を処分しよう」ではなく、「将来この家をどうしたいと思っている?」と確認するところから始める方が自然です。

親が施設に入ったら、すぐに実家を売った方がよいですか?

一律には決められません。自宅へ戻る可能性、本人の希望、施設生活の見通し、家の維持費、管理できる人がいるかなどによって判断は変わります。ただし、誰も住まなくなるなら、家をどう管理するかは早めに決めておく必要があります。

実家が空き家になりました。すぐに片付ける必要がありますか?

すべての家財をすぐ処分する必要があるとは限りません。一方で、空き家の管理は必要です。郵便物、庭木、通風、雨漏り、近隣への影響などを確認し、売却や活用を決めるまで誰が管理するかを決めておきます。

親が亡くなってから実家じまいを考えても遅いですか?

亡くなった後から始める家庭もあります。ただし、相続に伴う手続きや税制には期限があるものがあります。家財を急いで処分することより、相続関係や不動産の名義、利用できる制度の期限を確認することを優先してください。

実家じまいは、家を手放す日より前から始められる

実家じまいには、全家庭共通の「始める年齢」はありません。

親が元気なら、本人の希望や家の情報を整理する。

住み替えや施設入居で誰も住まなくなるなら、管理方法と家の今後を比較する。

相続後なら、期限のある手続きや制度を確認しながら処分方法を考える。

このように、その時点で必要なことだけを進めれば十分です。

「実家じまいを考えること」と「今すぐ家を処分すること」を分ければ、親が元気な段階でも話を始めやすくなります。

実家の片付け、売却、空き家管理など次に確認すべきテーマは、実家・家財整理のガイドから状況に合わせて確認できます。

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