実家じまい業者はどこに頼む?片付け・売却・解体の選び方

実家じまいを業者へ頼もうとすると、「遺品整理業者」「不用品回収」「不動産会社」「解体業者」など、さまざまな会社が出てきます。

さらに最近は、片付けから不動産売却までまとめて相談できる「実家じまいの一括窓口」もあります。

では、どこへ頼むのがよいのでしょうか。

最初に知っておきたいのは、「実家じまい業者」という一つの公的な業種や許可制度があるわけではないことです。

実家じまいには、家財の仕分け、家庭ごみの収集、買取、不動産売却、解体、相続登記など複数の仕事が含まれ、それぞれ必要な専門性や許可が違います。

そのため、会社名や「実家じまい専門」という看板だけを見るのではなく、自分が頼みたい作業を分けて、その作業を実際に誰が行うのか確認することが業者選びの基本です。

目次

実家じまいは何を頼むかで業者が変わる

頼みたいこと 主な相談先 確認したいこと
家財の仕分け・搬出 遺品整理・片付け業者 作業範囲・実際のごみ運搬先
不要品を廃棄する 自治体・一般廃棄物許可業者等 実際に誰が収集運搬するか
家具・貴金属等を売る 買取業者 古物商許可
実家を売る 不動産会社 宅地建物取引業免許
建物を解体する 解体業者 建設業許可・解体工事業登録等
空き家を管理する 空き家管理業者等 巡回内容・鍵管理・保険・緊急対応
相続登記 司法書士 依頼範囲・報酬
相続税 税理士 相続税対応の範囲
相続争い・相続放棄等 弁護士 法律相談・代理範囲

片付け業者と「ごみを運べる業者」は同じとは限らない

実家じまいで特に注意したいのが、家財の片付けと廃棄物の収集運搬です。

家の中で、

  • 必要な物と不要な物を分ける
  • 家具を移動する
  • 箱詰めする
  • 貴重品を探す

といった作業と、不要になった家財をごみとして家の外へ運搬・処分することは別です。

家庭から出る廃棄物を業として収集運搬するには、原則として実家のある市区町村の一般廃棄物収集運搬業(いっぱんはいきぶつしゅうしゅううんぱんぎょう)の許可を受けるか、市区町村から委託されている必要があります。

「産業廃棄物の許可があります」だけでは家庭ごみを回収できない

家庭の片付けでよくある誤解です。

業者が、

  • 産業廃棄物処理業許可
  • 古物商許可

を持っていても、それだけを理由に一般家庭の不要品をごみとして収集運搬できるわけではありません。

実家から出る不要品を廃棄物として持ち出してもらう場合は、

「不要になった家財は、最終的にどの会社が収集運搬しますか。その会社はこの市区町村で家庭ごみを回収できる許可または委託がありますか」

と確認すると分かりやすくなります。

片付け会社自身が一般廃棄物許可を持っていなくても即NGではない

ここも誤解しないようにします。

遺品整理・片付け会社自身が一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていなくても、許可を持つ事業者と連携して適法に処理する仕組みを取っていることがあります。

そのため、会社名だけを見て判断するのではなく、実際の収集運搬を誰が担当するかを確認します。

買取を頼むなら古物商許可を確認する

家具、骨董品、ブランド品、時計、貴金属などを業者が買い取る場合は、古物商(こぶつしょう)の許可を確認します。

ただし、古物商許可は「中古品を買い取るための許可」です。

家庭ごみを廃棄物として収集運搬する許可とは別です。

つまり、

売れる物を買い取る資格

と

売れない不要品をごみとして運ぶ資格

は分けて考えます。

不動産売却を任せるなら宅建業免許を確認する

実家を仲介で売却する、不動産会社自身が売買を事業として行う、といった業務には宅地建物取引業(たくちたてものとりひきぎょう)の免許が必要です。

不動産会社のWebサイトや会社概要には、通常、

「国土交通大臣(○)第○号」

または

「○○県知事(○)第○号」

といった免許番号が記載されています。

国土交通省の事業者検索でも確認できます。

解体を頼む場合は建設業許可・登録を確認する

実家そのものを取り壊す場合は、片付け業者とは別に解体工事の資格・登録を確認します。

建設工事を営業として請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。

一方、一定の軽微な工事には建設業許可の例外があります。

解体工事では、請負金額500万円未満の解体工事のみを行う事業者について、建設リサイクル法に基づく「解体工事業登録」で営業する制度もあります。

そのため、

  • 建設業許可の解体工事業等を持つか
  • 解体工事業登録で行う事業者か
  • 今回の工事規模で必要な許可・登録を満たしているか

を確認します。

「遺品整理士」などの資格と法律上の許可は別

業者のWebサイトには、

  • 遺品整理士
  • 生前整理に関する資格
  • 実家じまいに関する民間資格

などが掲載されていることがあります。

知識や研修の判断材料にはなりますが、家庭ごみを収集運搬する許可、不動産を仲介する免許、解体工事に必要な許可・登録の代わりにはなりません。

資格の数ではなく、今回依頼する作業に必要な法的要件を満たしているかを確認します。

一括窓口・ワンストップサービスとは?

実家じまいでは、

  • 片付け会社
  • 不動産会社
  • 解体会社
  • 司法書士
  • 税理士

をそれぞれ探すのが負担になることがあります。

そこで、最初の相談窓口を一つにして、必要な専門業者へつないでもらうワンストップ型のサービスがあります。

実際に、一つの会社が片付け・不動産買取まで自社で行うタイプと、複数の不動産会社・士業・解体会社等を提携ネットワークでつなぐタイプの両方があります。

一括窓口のメリット

  • 同じ説明を何社にも繰り返しにくい
  • 片付けから売却までの日程を調整しやすい
  • 遠方からでも全体を相談しやすい
  • どの専門家へ相談すべきか分からない場合に入口を一本化できる
  • 複数工程の進捗を把握しやすい

特に、実家が遠方にあり何度も現地へ行けない家庭では、窓口をまとめるメリットがあります。

一括窓口で確認したいこと

「全部お任せできます」と言われても、実際の作業をすべてその会社自身が行うとは限りません。

契約前に、

  • 誰と契約するのか
  • 片付けを実際にする会社
  • 家庭ごみを実際に運ぶ会社
  • 不動産を担当する会社
  • 解体を担当する会社
  • 司法書士等は提携先か
  • 再委託・下請けがあるか
  • 各作業の費用内訳
  • 紹介料・手配料等が含まれるか

を確認します。

一括窓口=高いとは限らない

複数業者が関わるため、「中間マージンが乗って必ず高い」と考える必要はありません。

自社施工・自社買取を行う会社もありますし、提携業者をまとめることで調整負担を減らしているサービスもあります。

一方、手配費や紹介に関する費用が料金へ含まれる場合も考えられます。

比較するときは、

一括サービスの総額

と

片付け・解体・売却等を個別に依頼した場合の総額

を見ます。

専門業者を個別に選ぶメリット

  • 片付け・解体・不動産ごとに比較できる
  • 各分野で得意な会社を選びやすい
  • 費用の内訳が分かりやすい
  • 不要なサービスを外しやすい

実家の近くに住んでいて、自分で複数業者を管理できる家庭では、個別発注が向くことがあります。

個別発注のデメリット

  • 複数社へ同じ説明をする
  • 日程調整を自分で行う
  • 業者間の作業範囲に隙間ができることがある
  • 誰が何を担当するのか自分で管理する必要がある

価格だけではなく、自分たちが管理に使える時間も含めて選びます。

実家じまい業者の選び方は8項目

1.何を頼むか先に決める

「実家じまいを全部お願いします」だけでは見積もりの条件がそろいません。

例えば、

  • 家財整理だけ
  • 家財整理+不要品処分
  • 買取も含める
  • 売却まで
  • 解体まで

のどこまで依頼したいか整理します。

2.実際に作業する会社を確認する

窓口の会社名だけでなく、実作業会社を確認します。

特に家庭ごみの収集運搬、解体、不動産仲介は重要です。

3.必要な許可・免許を確認する

作業 主に確認するもの
家庭ごみの収集運搬 市区町村の一般廃棄物処理業許可・委託
中古品の買取 古物商許可
不動産仲介 宅地建物取引業免許
解体 建設業許可・解体工事業登録等

4.同じ条件で複数社の見積もりを取る

比較するなら、各社に同じ情報を伝えます。

  • 間取り
  • 各部屋の物量
  • 押し入れ・納戸
  • 物置
  • 庭
  • 大型家具
  • 家電
  • 設置階
  • エレベーター
  • 駐車スペース
  • 買取希望品
  • 清掃の有無

条件が違えば、見積額だけを比較しても意味がありません。

5.見積書の「一式」だけで決めない

「実家片付け一式 30万円」だけでは、何が含まれているか分かりません。

できれば、

  • 仕分け
  • 搬出
  • 作業員
  • 車両
  • 不要品処理
  • 家電リサイクル
  • 清掃
  • 庭・物置
  • 買取額
  • 追加作業

を確認します。

6.追加料金が発生する条件を確認する

安い見積もりでも、当日に追加されれば比較した意味がありません。

特に、

  • 荷物が想定より多かった
  • トラックが追加になった
  • 階段搬出だった
  • 家電リサイクル品があった
  • 庭・物置を追加した
  • 特殊な重量物があった

場合の扱いを確認します。

「どの条件なら総額が変わりますか」と聞いておくと分かりやすくなります。

7.キャンセル条件を確認する

作業日の何日前からキャンセル料が発生するのか確認します。

不動産売却や解体までまとめて依頼する場合は、それぞれの契約が別になっていることもあります。

8.訪問見積もりでその場即決を急がない

見積もりのために家へ来てもらったからといって、その場で契約する必要はありません。

一度持ち帰り、作業範囲と総額を比較してから決めます。

「定額パック」「トラック積み放題」は総額を確認する

広告で、

  • 軽トラック○円
  • 2トントラック詰め放題○円
  • 定額パック○円

などと表示されていても、それが最終的な支払額とは限りません。

人件費、階段料金、家電処理、車両追加などが別料金になるケースがあります。

広告価格ではなく、現地条件を反映した見積書の総額で比較します。

国民生活センターも複数見積もりと追加料金確認を案内している

不用品回収をめぐっては、安い広告表示で呼んだ業者から、作業時にさまざまな追加費用を請求されるトラブルが報告されています。

契約前に、

  • 作業内容
  • 料金
  • 追加料金
  • キャンセル料

を明確にします。

見積もり後に作業内容が変わったら、作業前に総額を確認する

現場で、

「この家具も追加ですね」

「もう1台トラックが必要です」

などの変更が出ることはあります。

その場合は、作業を続ける前に、

変更後の総額はいくらになるのか

を確認します。

「あとで計算します」の状態で作業を続けない方が料金トラブルを防ぎやすくなります。

見積もりと大きく違う高額契約をしてしまった場合

見積もりのために業者を自宅へ呼び、その場で契約した場合や、広告の表示額と実際の請求額が大きく違う場合などには、特定商取引法上の訪問販売としてクーリング・オフできる可能性があります。

個別の契約状況によって適用の有無は異なります。

不安がある場合は、消費者ホットライン「188」で消費生活センター等へ相談できます。

遠方の実家なら何を確認する?

自宅から実家が遠い場合は、価格だけでなく立ち会い回数も重要です。

確認したいのは、

  • 写真・動画で概算見積もりできるか
  • 最終見積もりに現地立ち会いが必要か
  • 鍵を預けられるか
  • 立ち会いなしで作業できるか
  • 作業前後の写真をもらえるか
  • 貴重品発見時の連絡ルール
  • 郵送・オンラインで契約できるか

です。

写真だけの見積もりの場合は、概算なのか確定額なのかも確認します。

実家じまい業者を比較するチェックリスト

確認 項目
□ 今回頼みたい作業範囲を決めた
□ 実際に作業する会社名を確認した
□ 家庭ごみを誰が運ぶか確認した
□ 必要な許可・免許を確認した
□ 買取と廃棄を分けて確認した
□ 一括窓口なら提携・下請け先を確認した
□ 同じ条件で複数社へ見積もりを依頼した
□ 見積書の作業範囲を確認した
□ 追加料金の条件を確認した
□ キャンセル料金を確認した
□ 当日の契約を急かされていない
□ 売却・解体も含む場合は個別発注した場合とも比較した

こんな業者は契約前に再確認する

  • 何を聞いても「全部できます」としか答えない
  • 家庭ごみを誰が運ぶのか答えられない
  • 許可・免許について質問しても説明できない
  • 見積書が「一式」だけで内訳が分からない
  • 追加料金条件を説明しない
  • 極端に安い広告価格だけを強調する
  • 現場を確認した直後に契約を急かす
  • 売却・解体まで同時に契約するよう急かす
  • キャンセル条件を書面で示さない

一つ該当しただけで悪質業者と断定する必要はありません。

ただし、分からない点を契約前に確認できない会社へ、大きな金額の実家じまいを一括で任せる必要もありません。

一括窓口が向いている人

  • 実家が遠方にある
  • 兄弟姉妹が忙しく調整する人がいない
  • 片付け・売却・解体をまとめて相談したい
  • 何から専門家へ相談すべきか分からない
  • 業者間の日程調整を減らしたい

専門業者を個別に選ぶ方が向いている人

  • 自分で業者を比較する時間がある
  • 片付けだけなど依頼範囲が明確
  • 実家の近くに住んでいる
  • 工程ごとの費用を細かく比較したい
  • 不動産・解体など既に信頼できる業者がいる

よくある質問

実家じまいは何の業者へ頼めばよいですか?

依頼内容によります。家財整理なら遺品整理・片付け業者、不動産売却なら宅建業者、解体なら必要な許可・登録を持つ解体業者などに分かれます。一括相談窓口を利用する方法もあります。

遺品整理業者へ全部頼めますか?

会社によります。片付け会社が不動産会社・解体会社・士業等と連携している場合があります。実際に誰が各作業を担当するか確認してください。

一般廃棄物の許可がない遺品整理業者は違法ですか?

それだけでは判断できません。仕分け等を行い、実際の家庭ごみの収集運搬は許可業者へ委託する仕組みもあります。誰が廃棄物を収集運搬するのか、その事業者が実家所在地で必要な許可・委託を受けているか確認します。

古物商許可があれば不用品を全部回収できますか?

できません。古物商許可は中古品の買取等に関する許可で、家庭ごみを廃棄物として収集運搬する許可とは別です。

実家じまいを一社へ全部任せる方が安いですか?

一律には言えません。自社施工・自社買取で効率化できる会社もあれば、提携先へ手配するサービスもあります。一括依頼の総額と個別発注した場合を比較してください。

見積もりは何社取りますか?

少なくとも複数社を同じ条件で比較すると判断しやすくなります。実務上は2〜3社程度なら比較と手間のバランスを取りやすいでしょう。

見積もりで確認することは?

作業範囲、処分費、車両、人員、家電リサイクル、庭・物置、買取、追加料金条件、キャンセル料を確認します。

見積もりのために来た業者とその場で契約してしまいました

契約状況によっては訪問販売としてクーリング・オフできる可能性があります。広告価格と実際の請求額が大きく違う場合なども含め、不安があれば消費者ホットライン188へ相談してください。

実家じまい業者は「会社名」より「誰が何をするか」で選ぶ

実家じまいでは、一つの会社がすべてを行っているように見えても、実際には複数の専門業者が関わっていることがあります。

それ自体は問題ではありません。

大切なのは、

誰が家財を仕分けるのか。

誰が家庭ごみを運ぶのか。

誰が不動産を売るのか。

誰が建物を解体するのか。

誰と契約し、いくら支払うのか。

を契約前に確認できることです。

一括窓口なら手間を減らせます。

個別発注なら工程ごとに比較しやすくなります。

どちらかが必ず正解というわけではありません。

「実家じまい専門」という言葉だけで選ばず、自分に必要な作業を分け、実作業者・許可・費用・追加条件まで確認してから依頼先を決めることが重要です。

実家じまい全体については実家じまいのガイドも参照してください。

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