墓じまいを菩提寺へ相談したところ、離檀料として100万円など想定していなかった金額を提示されることがあります。
このような場合、その場で支払いを約束する必要はありません。
まず確認したいのは、提示された金額が本当にすべて「離檀料」なのか、何を根拠に算出された金額なのかという点です。
離檀料について全国共通の公的料金表や「○万円を超えたら違法」という一律の基準があるわけではありません。
一方、国民生活センターには、高額な離檀料を請求されて改葬が円滑に進まない、規約などの定めもなく請求根拠が分からない、といった相談例が実際に掲載されています。
高額な金額を提示されたら、払う・払わないをその場で決めるのではなく、「金額」「名目」「根拠」「改葬手続き」を分けて確認することが重要です。
高額な離檀料を請求されたら、まず即答しない
「今日決めてください」「払わなければ墓じまいできません」などと言われても、金額に疑問があるなら、その場で支払いを約束せず内容を確認します。
まず次の情報を整理してください。
- 請求された総額
- 「離檀料」と明確に言われた金額
- 閉眼供養などのお布施を含むか
- 未納の墓地管理料を含むか
- 墓石撤去費を含むか
- その他の費用を含むか
- 金額についてどのような説明を受けたか
たとえば「100万円必要」と言われても、その100万円が離檀料だけなのか、複数の費用を合わせた総額なのかで話は変わります。
「100万円だから違法」と金額だけでは判断しない
インターネット上では、離檀料について数万円から20万円程度を目安として紹介する民間情報が多く見られます。
そのため100万円などを提示されれば、一般的に紹介されている目安よりかなり高いと感じるのは自然です。
ただし、「20万円を超えれば違法」「100万円なら自動的に無効」とする全国共通の公的基準があるわけではありません。
金額だけで判断するのではなく、何の費用なのか、どのような根拠があるのかを確認します。
離檀料と他の費用を分ける
墓じまいで寺院へ支払う可能性のある金銭は、離檀料だけではありません。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 離檀料 | 檀家関係を終えることに伴う金銭として提示されているか |
| 閉眼供養等のお布施 | 宗教儀礼へのお布施として別に提示されているか |
| 墓地管理料 | 未納分が残っていないか |
| 墓石撤去費 | 寺院指定の石材店による工事費か |
| その他 | 何に対する金銭なのか説明を確認 |
「離檀料が100万円」と聞いていたものが、実際には墓石撤去や未納管理料を含む総額だった、という可能性もあります。
反対に、純粋な離檀料として高額な金額だけを提示され、根拠が説明されない場合も考えられます。
まず費目を分けることが重要です。
墓地使用規則や契約内容を確認する
寺院墓地を利用している場合は、墓地使用許可証、使用規則、過去に交付された契約関係の書類などを確認します。
確認したいのは、
- 墓地区画返還時の条件
- 墓石撤去・原状回復の条件
- 未納管理料
- 指定石材店制度
- 離檀時の費用に関する記載
です。
国民生活センターが紹介している最近の相談例にも、「規約などの定めもなく請求根拠が不明」という高額離檀料の相談があります。
規則や契約に記載があるかどうかは、確認しておきたいポイントです。
口頭だけでなく請求内容を記録する
高額な金銭をめぐって話し合う場合は、後から認識が食い違わないように記録を残します。
少なくとも、
- 話をした日
- 寺院側の対応者
- 提示された金額
- 費用の名目
- 金額の説明
- 支払わない場合について説明された内容
- 改葬書類について言われたこと
をメモしておきます。
書面で請求内容を確認できる場合は保管してください。
「払わないと改葬書類を出さない」と言われた場合
離檀料の金額だけでなく、改葬に必要な書類が問題になることがあります。
現在のお墓から遺骨を別の墓地・納骨堂へ移す改葬には、市区町村長の許可が必要です。
改葬許可申請では、現在遺骨が埋蔵・収蔵されていることについて墓地管理者の証明が必要になります。
そのため、寺院墓地では寺院との関係がこじれることで、実務上の手続きが進みにくくなる場合があります。
もし「高額な離檀料を払わなければ証明しない」といった状況になったら、自己判断で書類を作成するのではなく、まず改葬許可を担当する市区町村へ事情を説明してください。
通常の証明を得られない場合の取り扱いや必要書類は、自治体によって異なる可能性があります。
寺院と話すときは「払わない」から始めない
金額に納得できない場合でも、最初から「法的義務がないから1円も払いません」と対立する必要はありません。
まず、
- この金額は何に対するものか
- 離檀料だけの金額か
- 算定根拠は何か
- 墓地使用規則等に定めがあるか
- 閉眼供養や管理料は別か
を確認します。
長年お世話になった寺院との関係であれば、墓じまいを必要とする事情を改めて説明し、支払える範囲について話し合える場合もあります。
高額だからといって改葬を強行しない
寺院から高額な金銭を求められたことに腹を立て、寺院へ知らせず墓石撤去を進めるのも避けた方が安全です。
寺院墓地では、
- 墓地使用規則
- 工事申請
- 指定石材店
- 墓地区画返還
- 遺骨の取り出し
などについて確認が必要になることがあります。
金銭トラブルと墓石工事を分けて整理してください。
高額な離檀料について相談できる場所
寺院
まずは請求内容について寺院へ説明を求めます。
離檀料だけだと思っていた金額に、別の費用が含まれている可能性もあります。
改葬許可を担当する市区町村
自治体が離檀料の価格交渉をしてくれるわけではありません。
ただし、墓地管理者による証明が得られず改葬許可申請が進まない場合は、申請先自治体へ状況を相談します。
「寺院と揉めています」だけではなく、どの書類が得られないのか具体的に伝えてください。
消費生活センター
料金や契約について困っている場合は、消費生活センターへ相談する方法があります。
国民生活センターでも、高額な離檀料に関する相談事例を現在掲載しています。
消費者ホットライン「188」から、最寄りの消費生活相談窓口につながります。
弁護士
高額な請求の支払いをめぐって法的な争いになっている、墓地使用契約をめぐって対立しているなどの場合は、弁護士への相談を検討します。
特に金額が大きい場合は、一般的なインターネット上の「離檀料相場」だけで支払い義務を判断しない方が安全です。
墓じまい業者へ相談すれば解決できる?
墓じまい業者へ、墓石撤去費の見積もりや墓じまい全体の流れを相談することはできます。
一方、高額な離檀料をめぐる法的な交渉まで一般の墓じまい業者が行えるとは限りません。
業者へ相談するときは、
- 墓石撤去について相談したいのか
- 寺院への伝え方について助言が欲しいのか
- 改葬許可手続きを依頼したいのか
- 金銭請求をめぐる法的な交渉が必要なのか
を分けます。
問題に応じた依頼先を選んでください。
高額な離檀料を提示されたときの順番
- その場で即答・即払いしない
- 総額と費用の内訳を確認する
- 離檀料と別費用を分ける
- 墓地使用規則・契約書類を確認する
- 寺院から説明された内容を記録する
- 墓じまいが必要な事情を改めて説明する
- 金額について話し合う
- 改葬書類が進まないなら自治体へ相談する
- 料金・契約問題なら消費生活センターへ相談する
- 法的紛争になっている場合は弁護士等へ相談する
高額請求を受けたからといって、すぐ支払う必要も、すぐ寺院と対立する必要もありません。
「離檀料を払わないと墓じまいできない」は本当?
離檀料という全国一律の行政手数料を支払わなければ、市区町村が改葬許可を出さないという制度ではありません。
ただし、寺院墓地から改葬する場合、墓地管理者による証明や墓地区画返還などの実務があります。
そのため「離檀料に全国一律の法定額がない」ことと、「寺院との関係を一切無視して墓じまいできる」ことを同じ意味にしないことが重要です。
高額な離檀料についてよくある質問
離檀料100万円を請求されました。払う必要がありますか?
100万円という金額だけで、支払い義務の有無を一律に判断することはできません。
まず離檀料だけの金額なのか、閉眼供養、未納管理料、墓石撤去などを含むのか、請求根拠は何かを確認してください。
想定外に高額で根拠が分からない場合は、その場で支払いを約束せず第三者への相談を検討します。
何万円以上なら高額請求ですか?
「○万円以上なら違法」とする全国一律の公的基準はありません。
民間情報で紹介される一般的な目安と比較することはできますが、最終的には請求内容・根拠を確認します。
離檀料を払わなければ違法になりますか?
離檀料という名称の全国一律の法定料金が設定されているわけではありません。
ただし、墓地使用規則、契約、未納管理料など別の問題が存在する可能性があるため、「離檀料に法定額がない=すべての請求を無視してよい」とは考えないようにしてください。
離檀料を払わないと埋蔵証明を出さないと言われました
何の書類について、どのような理由で出せないと言われたのかを記録し、改葬許可を担当する市区町村へ相談してください。
通常の墓地管理者証明が得られない場合の対応は自治体によって異なる可能性があります。
高額な離檀料は消費生活センターへ相談できますか?
墓・葬儀サービスについて国民生活センターには実際に相談が寄せられており、高額な離檀料の事例も公開されています。
料金・契約面で困っている場合は、消費者ホットライン188などから相談先を確認できます。
弁護士へ相談するのは大げさですか?
必ず弁護士が必要というわけではありません。
ただし、請求額が大きい、寺院との契約・墓地使用権をめぐって争いになっている、金銭の支払いについて法的判断が必要といった場合は、個別事情を法律の専門家へ確認する意味があります。
高額な離檀料は「払う・払わない」の二択から始めない
墓じまいで高額な離檀料を提示された場合、最初にすることは支払いを拒否することでも、そのまま支払うことでもありません。
まず、その金額が何に対するものなのかを確認します。
離檀料、閉眼供養等のお布施、墓地管理料、墓石撤去費などが混在していれば分け、規則や契約上の根拠も確認します。
それでも金額の説明に納得できず、改葬手続きまで止まっているなら、一人で寺院とのやり取りを続ける必要はありません。
行政手続きは申請先自治体、料金・契約問題は消費生活センター、法的な争いは弁護士等というように、問題に応じて第三者へ相談することができます。
高額な請求を受けたときほど、墓じまいを急いで強行せず、何が問題なのかを一つずつ分けて進めてください。
参考にした公的情報
- 国民生活センター「墓・葬儀サービス」
- 墓地、埋葬等に関する法律
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則
- 申請先自治体の改葬許可案内