墓じまいを考え始めても、「まだ元気なのに早すぎないか」「親が亡くなってから考えればよいのでは」と迷うことがあります。
墓じまいには、全国一律の「○歳になったら始める」「○年以内にしなければならない」という開始時期はありません。
ただし、承継する人がいない、墓地が遠くて管理が難しい、現在の墓守をしている人が高齢になっているなど、将来の維持が難しいことが分かっているなら、問題が起きてからではなく、元気なうちに検討を始める意味があります。
墓じまいには家族との相談、新しい納骨先選び、改葬許可、墓石撤去など複数の工程があります。「墓じまいを考え始める時期」と「実際に墓石を撤去する時期」は分けて考えて構いません。
墓じまい・改葬・供養先変更の全体像は、お墓のしまい方・墓じまいの全体ガイドでも整理しています。
墓じまいはいつから始めてもよい
墓じまいそのものについて、開始できる年齢や時期が法律で一律に決められているわけではありません。
お墓を今後維持することが難しいと分かった段階から、家族で検討を始められます。
たとえば、次のような状況です。
- お墓を継ぐ人がいない
- 子どもに墓守を負担させたくない
- 実家もお墓も遠方にある
- 現在管理している親が高齢になった
- お墓参りへ行くことが難しくなった
- 墓地の管理料を払い続けることが負担になった
- 家族が同じ地域に住まなくなった
- 将来は永代供養などへ移したいと考えている
この段階で、すぐ墓石を撤去すると決める必要はありません。
現在のお墓をあと何年維持するのか、将来誰が管理するのか、新しい供養先はどのような形がよいのかを話し始めること自体が墓じまいの準備になります。
墓じまいを考え始めたい7つのタイミング
1.お墓を継ぐ人がいないと分かったとき
将来お墓を管理する人がいないことが明確なら、早めに検討を始める理由になります。
現在の墓守が元気な間は問題がなくても、その人が亡くなった後に、遠い親族が突然対応を求められる可能性があります。
承継者がいない場合は、現在のお墓を維持できる期間と、その後の遺骨の行き先をセットで考えます。
2.子どもへ墓守を引き継がせたくないと考えたとき
子どもがいても、お墓を必ず承継させる必要があると考える家庭ばかりではありません。
子どもが遠方や海外で生活している、今後地元へ戻る予定がないなどの事情から、自分の代で整理したいと考えるケースがあります。
この場合は、親自身が元気なうちに子どもへ考えを伝えておくと、後から「残してほしかった」「先に相談してほしかった」という行き違いを減らせます。
3.お墓が遠く、管理が難しくなったとき
転居や相続によって、お墓と現在の生活圏が大きく離れることがあります。
年に数回のお墓参りでも、交通費、宿泊費、移動時間が継続的な負担になることがあります。
さらに年齢を重ねると、今は移動できても数年後には難しくなる可能性があります。
遠方管理の負担を感じ始めた段階は、現在の生活圏に近い供養先へ移すかを検討する一つのタイミングです。
4.現在の墓守が高齢になったとき
墓じまいでは、役所の手続きだけでなく、寺院・霊園・石材店・親族など複数の相手との調整が必要です。
現在の墓守が元気なうちなら、次の情報を本人から確認できます。
- 墓地の契約状況
- 誰の遺骨が納められているか
- 菩提寺との関係
- 親族の連絡先
- 過去の法要や供養について
- 本人が希望する将来の供養方法
墓守をしている本人にしか分からない情報がある場合は、墓じまいを実施するかどうかとは別に、情報整理だけでも早めに行う価値があります。
5.墓地の管理費や維持負担が重くなったとき
年間管理料だけでなく、お墓参りの交通費、清掃、墓石修繕なども含めて維持負担が大きくなる場合があります。
費用負担を理由に墓じまいを考える場合は、現在の年間負担だけでなく、墓じまいそのものの費用と新しい納骨先の費用も比較します。
「墓じまいすれば必ず安くなる」とは限らないため、長期的な総額で判断します。
6.実家じまい・相続など家族の整理を始めたとき
親の施設入居、死亡、実家売却などをきっかけに、お墓についても「今後誰が管理するのか」が問題になることがあります。
実家だけ処分してお墓が地元に残ると、家族がその地域へ行く理由がお墓だけになるケースもあります。
実家じまいと墓じまいを同時に実施する必要はありませんが、家族の生活拠点が変わるタイミングで今後の墓守について話しておくと整理しやすくなります。
7.「○月までに終わらせたい」と希望時期が決まったとき
一周忌、お盆、彼岸、年末など、墓じまいを終えたい時期が決まっている場合は、その日から逆算して開始します。
墓じまいには、家族調整、新しい納骨先、改葬許可、墓石工事などがあるため、直前から始めて必ず間に合うとは限りません。
希望時期が決まった時点で、現在の墓地管理者へ相談しておくとよいでしょう。
墓じまいは生前にしてもいい?
生前に墓じまいを検討・実施することはできます。
むしろ、自分が現在のお墓を管理しており、将来子どもへ引き継がせない意思が明確なら、自分で説明・判断できるうちに整理する方法があります。
生前に進めるメリットは、本人が次の事項を決められることです。
- 現在のお墓をどうするか
- 自分や家族の遺骨を今後どこへ納めるか
- どのような供養方法を希望するか
- 墓じまい費用をどこから支払うか
- 親族へどのように説明するか
一方、生前に墓じまいする場合は、現在納められている先祖の遺骨だけでなく、将来自分自身をどこへ納めるのかも考えておく必要があります。
何歳から墓じまいを考えるべき?
「60歳から」「70歳になったら」といった全国共通の適齢期はありません。
年齢そのものより、次の状態を基準に考える方が実用的です。
| 状況 | 検討の考え方 |
|---|---|
| 承継者がいる・管理も問題ない | 急いで墓じまいする必要性は低い |
| 承継者がいない | 元気なうちから将来の供養先を検討 |
| 墓地が遠方 | 移動負担が大きくなる前に検討 |
| 墓守が高齢 | 情報・書類・親族関係を早めに整理 |
| 子どもが承継を希望していない | 家族で将来方針を相談 |
70歳でも問題なく管理できる人もいれば、50代でも海外在住などの事情から管理が難しい人もいます。
「何歳か」ではなく「今後誰が維持するか」で判断します。
親が元気なうちに聞いておきたいこと
親が墓守をしている場合、墓じまいをするかどうかを子どもだけで決める前に、親本人の考えを確認します。
聞いておきたいのは次のような内容です。
- 今のお墓を将来どうしてほしいか
- 誰に継いでほしいと考えているか
- 墓じまいに抵抗があるか
- 永代供養や納骨堂をどう考えているか
- 誰の遺骨が納められているか
- 墓地の契約書類をどこに保管しているか
- 菩提寺や親族との関係
「親が亡くなったら墓じまいすればいい」と先送りすると、必要な情報を知っている人がいなくなってしまう場合があります。
墓じまいを急がない方がよいケース
早めに考えることと、急いで撤去することは同じではありません。
次のような場合は、すぐ工事へ進まず、まず話し合いや確認を優先します。
- 親族の意見が大きく分かれている
- 現在の墓地使用者が墓じまいを希望していない
- 新しい納骨先が決まっていない
- 誰の遺骨が入っているか確認できていない
- 寺院・墓地との手続きが分からない
- 費用の見積もりを取っていない
特に、墓石を撤去してから「遺骨をどこへ納めるか」を考える順番は避けた方がよいでしょう。
先に新しい供養先を含めた全体像を決めます。
お盆前・彼岸前に墓じまいしてもいい?
墓じまいを特定の季節に行ってはいけないという全国共通の行政上のルールがあるわけではありません。
ただし、お盆や彼岸は墓参りや法要が増える時期です。
寺院・霊園・石材店の予定や、親族がお墓参りを予定している可能性を確認します。
「お盆前だから墓じまいしてはいけない」という問題ではなく、関係者との日程調整をどうするかが重要です。
一周忌や三回忌をきっかけにしてもいい?
法要を家族が集まる機会として、今後のお墓について相談する方法があります。
ただし、法要当日までに必ず墓じまいを終わらせる必要はありません。
むしろ親族が集まったときに、
- 今後誰が管理するか
- 墓じまいに賛成か
- 新しい納骨先をどうするか
- 費用を誰が負担するか
などを話し合い、その後具体的な手続きを始めても構いません。
「いつから」より「いつまでに終えたいか」を決める
墓じまいの開始時期に迷う場合は、反対に「いつまでに終えたいか」から考える方法があります。
たとえば、
- 今年中
- 次のお盆まで
- 一周忌まで
- 親が元気なうち
- 自分が退職して時間を確保できる間
- 実家を処分するタイミング
などです。
墓じまいは数日だけで完結する手続きではありません。
希望する終了時期を決めたら、納骨、墓石撤去、改葬許可、書類準備、新しい納骨先選び、親族との相談という順番で逆算します。
すぐ墓じまいしなくても、今からできる準備
まだ実施時期を決めていなくても、次の準備はできます。
- 墓地の名義・使用者を確認する
- 墓地使用許可証などの書類を探す
- 誰の遺骨が納められているか確認する
- 親・兄弟姉妹などへ将来の意向を聞く
- 現在の年間管理費を確認する
- 新しい供養先の候補を調べる
- 墓石撤去費用の相場を確認する
ここまで確認しても、墓石をすぐ撤去する必要はありません。
「いつか考えなければならない」状態から、「必要になれば動ける」状態へ変えておくことが重要です。
墓じまいを始める時期についてよくある質問
墓じまいは何歳から始めるものですか?
全国共通の開始年齢はありません。
年齢よりも、承継者がいるか、現在のお墓を管理できるか、家族がどこに住んでいるかなどから判断します。
墓じまいは生前にできますか?
できます。
現在の墓守本人が元気なうちに、家族と相談して将来の供養先まで決めておく方法もあります。
親が亡くなってから考えても遅くありませんか?
死亡後に墓じまいを検討することもできます。
ただし、墓地の契約状況、納められている遺骨、親族関係などを親本人しか把握していない場合があります。
実際の撤去は後でも、情報整理や意向確認は元気なうちに行っておくと進めやすくなります。
墓じまいに期限はありますか?
一般的な墓じまいについて、全国一律で「○年以内にしなければならない」という開始・完了期限があるわけではありません。
ただし、墓地の契約や返還手続きなどには個別の期限が設定されることがあります。
お盆の前に墓じまいしてはいけませんか?
お盆前の墓じまいを全国一律に禁止する行政上の制度があるわけではありません。
ただし、寺院、墓地、石材店、親族の予定を確認して進めます。
墓じまいを考え始めてから実際に撤去するまで待ってもいいですか?
構いません。
検討を始めることと墓石を撤去することは別です。まず家族の意向、墓地の手続き、新しい供養先、費用などを確認し、実施時期を後から決めることもできます。
「まだ早い」と感じる時期から話し始めてもよい
墓じまいには、何歳になったら始めるという正解はありません。
一方、現在のお墓を将来誰が守るのか分からない状態なら、まだ墓石を撤去する予定がなくても話し始めることはできます。
特に、現在の墓守が高齢、承継者がいない、家族全員が遠方に住んでいるといった場合は、本人が元気なうちに情報と意向を整理しておくと後の負担を減らせます。
墓じまいを考え始める時期と、実際に墓石を撤去する時期は同じでなくて構いません。
まず「誰が管理するのか」「今後も維持するのか」「別の供養先へ移すのか」を家族で確認し、必要になったときに動ける状態を作ることから始めます。
参考にした公的情報
- 墓地、埋葬等に関する法律
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則
- 自治体の改葬許可申請案内