生前整理は、必ず業者へ依頼しなければできない作業ではありません。
家財の量がそれほど多くなく、時間に余裕があれば、自分や家族で少しずつ進めることができます。
ただし、家全体を見て、いきなり「不要な物を全部捨てよう」と始めると、
- 何から手を付ければよいか分からなくなる
- 大切な書類まで捨てる
- 思い出の品で作業が止まる
- 親子で「捨てる・捨てない」が衝突する
- 大型家具の搬出で無理をする
といった問題が起こりやすくなります。
自分で生前整理をするときは、家一軒を一度に終わらせるのではなく、
- 目的と期限を決める
- 先に残す物・重要品を確保する
- 小さい範囲から始める
- 5つに仕分ける
- 種類ごとに整理する
- 正しい方法で処分する
- 自力で難しい部分だけ業者へ任せる
という順番で進めると整理しやすくなります。
実家全体の整理については、実家・家財整理の案内もあわせて確認してください。
生前整理は自分でできる?
できます。
特に、
- 本人が自分で判断できる
- 片付ける期限に余裕がある
- 家財量が極端に多くない
- 大型家具の搬出が少ない
- 自治体のごみ出しを利用できる
場合は、自分たちで進めやすくなります。
反対に、家一軒分の家財を短期間で空にする必要がある場合や、大型家具が大量にある場合まで、すべて自分でやる必要はありません。
判断は自分たち、重い作業だけ業者という分け方もできます。
親の生前整理なら、最初に本人の意思を確認する
子どもが親の生前整理を手伝う場合に、特に気を付けたい点です。
親の家にある物は、基本的には親本人の所有物です。
子どもから見ると不要に見えても、本人にとっては、
- 今も使っている物
- 大切な思い出がある物
- 今後使う予定がある物
- 人へ譲りたい物
かもしれません。
そのため、
「使っていなさそうだから捨てた」
という進め方にはしません。
まず、何のために整理するのかを本人と共有します。
STEP1|生前整理の目的と期限を決める
最初に決めるのは「何を捨てるか」ではありません。
なぜ整理するのかを決めます。
たとえば、
- 暮らしやすくしたい
- 転倒しにくい家にしたい
- 施設入居の準備をしたい
- 小さい家へ住み替えたい
- 実家を将来売却できる状態にしたい
- 子どもへ残す負担を減らしたい
などです。
目的によって、整理すべき範囲が変わります。
期限がない場合
急いで家全体を片付ける必要はありません。
毎週1か所、毎月1種類など、小さく進めます。
施設入居・売却など期限がある場合
退去日・引渡し日から逆算します。
期限までに自力で終わらない可能性が高いなら、途中で業者を利用する前提で予定を組みます。
STEP2|「捨ててはいけない物」を先に避ける
片付けを始める前に、処分対象から外す物を決めます。
代表的なのは、
- 通帳
- 印鑑
- 保険関係書類
- 不動産関係書類
- 年金・税金関係資料
- 契約書
- 現金
- 貴金属
- 時計
- 鍵
- 写真・アルバム
- スマートフォン・パソコン
などです。
家の中に専用の箱や場所を作り、
「処分禁止」
と分かるようにしておきます。
重要書類は「必要か分からない」段階で捨てない
紙類は大量にあるため、一気に古紙として出したくなります。
ただし、金融機関・保険会社・不動産会社などから届いた古い郵便物が、現在の契約や財産を把握する手掛かりになることがあります。
分からない書類は、
「要確認」
として別箱に入れ、後からまとめて確認します。
その場ですべて判断しなくても構いません。
STEP3|引き出し1段など小さい範囲から始める
最初から「今日は家を片付ける」とすると範囲が広すぎます。
たとえば、
- 机の引き出し1段
- 洗面台の収納1か所
- 本棚1段
- 玄関収納1か所
- クローゼットの一角
など、終わりが見える範囲から始めます。
小さな範囲で仕分け方法を決めてから、次の場所へ広げます。
部屋別と種類別はどちらがいい?
どちらでも構いません。
部屋別が向く場合
施設入居や住み替えなど、「この部屋を空にしたい」という明確な目的がある場合です。
種類別が向く場合
期限に余裕があり、
- 今日は書類
- 次は衣類
- 次は本
という形で判断基準を揃えたい場合です。
自分が続けやすい方法を選びます。
STEP4|5つに仕分ける
自分で生前整理をするときは、「残す・捨てる」の二択にしない方が進めやすくなります。
次の5つに分けます。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| 残す | 今後も自分で使う物 |
| 譲る | 家族・知人等へ渡す物 |
| 売る | 買取査定へ出す物 |
| 処分 | 不要と判断できた物 |
| 保留 | 今は決められない物 |
迷う物は「保留」でよい
生前整理が止まる原因の一つは、すべての物についてその場で最終決定しようとすることです。
迷った物は保留箱へ入れます。
ただし、保留だけが増え続けると整理にならないため、
- 1か月後
- 次の季節
- 引越し前
など、もう一度確認する時期を決めます。
捨てる基準は本人が決める
「○年間使っていなければ全部捨てる」のような基準が必ず正しいわけではありません。
物によって使用頻度や意味は違います。
判断するときは、
- 今使っているか
- 今後使う具体的な予定があるか
- 同じ用途の物が複数ないか
- 管理できる量か
- 保管する場所があるか
- 本人が本当に残したいか
を確認します。
STEP5|物の種類ごとに整理する
衣類
衣類は、
- 現在着ている
- 季節が来れば着る
- 思い出として残す
- 譲る・売る
- 処分する
に分けます。
サイズが合わない、傷んでいるという理由だけで家族が勝手に処分せず、本人に確認します。
本・雑誌
大量の本は重量があるため、一度に箱詰めし過ぎないようにします。
残す本、売却候補、処分する本に分けます。
全集や専門書など、価値が分からない物は処分前に査定を検討してもよいでしょう。
写真・アルバム
写真は判断に時間がかかります。
生前整理の進行を止めないため、写真だけ専用箱へ集め、後日まとめて整理する方法があります。
大量にある場合は、
- 残す
- 家族へ渡す
- データ化する
- 処分する
に分けます。
貴金属・時計・ブランド品
価値が分からない物を先に捨てないようにします。
買取査定を受けたからといって、必ず売る必要はありません。
まず価格を確認してから、残すか売るか決められます。
食器・日用品
数が多い場合は、今の生活で実際に使う量を基準にします。
来客用だからという理由だけで大量に残す必要があるか、本人が判断します。
家電
現在使っている物、予備、不要品に分けます。
比較的新しい家電は買取対象になることがあります。
一方、家電によっては通常の粗大ごみと同じ方法では処分できません。
大型家具
タンス、ベッド、食器棚等は、自分たちで無理に階段から降ろさないようにします。
家具を処分するために怪我をしては意味がありません。
解体・搬出が難しい部分だけ業者へ頼むこともできます。
スマートフォン・パソコン
端末を売却・初期化する前に、
- 写真
- 連絡先
- メール
- ネット銀行・証券
- クラウド
- 有料サービス
などの情報を確認します。
「古い端末だから不要」とすぐ処分しないようにしてください。
STEP6|不要品を正しい方法で処分する
自分で生前整理する大きなメリットの一つは、自治体の通常収集や粗大ごみ制度を使いながら、少しずつ処分できることです。
ただし、ごみの分別・収集方法は自治体によって異なります。
実際に処分するときは、住んでいる市区町村の案内を確認してください。
自治体の通常ごみで処分する
衣類、紙類、小型の日用品などは、自治体の分別に従って通常収集へ出せる場合があります。
素材や大きさによって分類が変わるため、地域の分別表を確認します。
粗大ごみを利用する
家具等は自治体の粗大ごみ制度を利用できる場合があります。
一般的には、
- 自治体へ申し込む
- 処理手数料等を確認する
- 指定日時・指定場所へ出す
といった流れですが、自治体ごとに制度は異なります。
家の中から収集場所まで運ぶ必要がある自治体では、大型家具の搬出が自力整理のボトルネックになります。
家電は品目ごとの処分方法を確認する
家庭用の、
- エアコン
- 対象となるテレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
は、家電リサイクル法に沿った処分方法を確認する必要があります。
「大型だから粗大ごみ」と自己判断せず、購入店・販売店・自治体等が案内する方法を確認してください。
民間の不用品回収を使う場合
自分で自治体収集へ出せない量になった場合、民間業者へ依頼する選択肢があります。
ただし、家庭から出る廃棄物を収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業許可や委託等の適法な体制が必要です。
「産業廃棄物処理業許可がある」
「古物商許可がある」
という説明だけでは、家庭ごみを自由に回収できることにはなりません。
利用するなら、家庭ごみを実際に誰が運ぶのか確認してください。
無料回収の広告だけで決めない
「無料」「格安」「何でも回収」という広告だけで依頼先を決めないようにします。
依頼前に、
- 総額
- 搬出料金
- 車両料金
- 階段料金
- 追加料金
- 処分する品目
を確認します。
生前整理を自分でする費用
自分で生前整理すれば、業者の作業料を抑えやすくなります。
ただし、完全に0円とは限りません。
たとえば、
- ごみ袋
- 粗大ごみの手数料
- 家電リサイクル関連費用
- 車両・ガソリン
- 宅配・発送費
- 収納用品
- 一時保管
などが発生する場合があります。
自治体や品目によって料金が違うため、「自分なら全国一律○円」とは決められません。
費用を抑えるなら処分前に量を減らす
最終的に業者を利用する場合でも、自分たちで、
- 残す物を決める
- 自治体で少量ずつ処分する
- 売れる物を分ける
- 家族へ譲る
ことで、業者へ頼む家財量を減らせる場合があります。
ただし、費用削減のために重い家具を無理に搬出する必要はありません。
自分でするなら作業日を決める
生前整理は「時間があるときにやろう」とすると進まないことがあります。
たとえば、
- 毎週土曜の午前2時間
- 毎月第1日曜日
- 1回につき収納1か所
など、範囲と時間を決めます。
終了時間も決めると、疲れて判断が雑になるのを防ぎやすくなります。
一度に長時間やり過ぎない
生前整理は、単純な掃除より判断の回数が多い作業です。
疲れてくると、
「もう全部捨ててしまおう」
または、
「何も決めたくない」
となりやすくなります。
集中できなくなったら、その日は終了して構いません。
家族で手伝う場合の役割分担
家族が複数いる場合は、全員が同じ物を一緒に判断する必要はありません。
たとえば、
- 本人:残す・手放す判断
- 家族A:ごみ分別
- 家族B:売却候補の写真撮影
- 家族C:粗大ごみ予約
と役割を分けます。
所有者本人の判断が必要な物と、家族が代行できる作業を分けると進みやすくなります。
自分で生前整理するときにやりがちな失敗
最初から家全体を片付ける
範囲が広すぎると終わりが見えず、途中で止まりやすくなります。
子どもが親の物を勝手に捨てる
生前整理では本人の意思確認が重要です。
重要書類を紙ごみと一緒に捨てる
書類は一度別に確保してから確認します。
価値が分からない物を処分する
貴金属、時計、骨董品、コレクション等は査定してから判断できます。
思い出品から始める
写真・手紙などは判断に時間がかかるため、片付けの最初に選ぶと作業が止まりやすくなります。
大型家具を無理に搬出する
階段や狭い通路で無理をせず、難しい作業だけ外注できます。
自分だけでは難しいと判断する目安
次の項目が多い場合は、全部を自分でやるより業者利用を検討してもよいでしょう。
- 家一軒を短期間で空にする必要がある
- 大型家具が大量にある
- 2階から家具を降ろせない
- 家財量が多すぎて全体像が分からない
- 遠方で何度も通えない
- 本人・家族の体力的負担が大きい
- 片付け期限が迫っている
- 物置・庭・倉庫にも大量の物がある
- ごみ屋敷に近い状態になっている
- 処分方法の分からない物が多い
業者へ全部任せなくてもよい
生前整理業者を利用する場合も、「家一軒丸ごと」だけが選択肢ではありません。
たとえば、
- 大型家具だけ搬出
- 2階の家具だけ
- 物置だけ
- 最後に残った家財だけ
- 買取だけ
- 処分手配だけ
という頼み方もできます。
本人・家族にしかできない判断は自分たちで行い、体力や専門性が必要な部分だけ外部へ任せる方法があります。
生前整理を自分でする7ステップ
| ステップ | すること |
|---|---|
| 1 | 目的・期限を決める |
| 2 | 重要書類・貴重品を先に確保する |
| 3 | 小さい範囲から始める |
| 4 | 残す・譲る・売る・処分・保留に分ける |
| 5 | 衣類・書類・写真・家電等を種類別に整理する |
| 6 | 自治体等の正しい方法で処分する |
| 7 | 自力で難しい部分だけ業者へ任せる |
生前整理を自分でするチェックリスト
始める前
- □ 生前整理の目的を決めた
- □ 期限があるか確認した
- □ 本人が残したい物を確認した
- □ 家族と進め方を共有した
処分前
- □ 通帳・印鑑を確保した
- □ 保険・不動産等の書類を分けた
- □ 現金・貴金属を分けた
- □ 写真・手紙を分けた
- □ スマホ・PCを処分対象から外した
仕分け
- □ 残す
- □ 譲る
- □ 売る
- □ 処分
- □ 保留
処分
- □ 自治体の分別を確認した
- □ 粗大ごみの方法を確認した
- □ 家電の処分方法を確認した
- □ 民間回収を使う場合は処理体制を確認した
業者へ切り替える場合
- □ 自分たちで残す物を決めた
- □ 依頼する範囲を決めた
- □ 複数社を同条件で比較した
- □ 追加料金を確認した
- □ 処分禁止品を共有した
よくある質問
生前整理は自分だけでできますか?
家財量・体力・期限によります。
少量ずつ進められるなら自分で行えます。
大型家具や大量家財だけ業者へ任せる方法もあります。
生前整理を自分でするなら何から始めますか?
いきなり捨てるのではなく、目的を決め、重要書類・貴重品・残したい物を先に確保してください。
その後、引き出し1段など小さい場所から始めます。
どこから片付ければよいですか?
判断しやすく短時間で終わる場所から始めます。
写真・手紙など思い出が強い物は後回しでも構いません。
捨てる基準はありますか?
全国共通の正解はありません。
現在使っているか、今後使う予定があるか、管理できる量か、本人が残したいかを基準にします。
自分でやれば無料ですか?
業者の作業料金はかかりませんが、ごみ袋、粗大ごみ、家電リサイクル、運搬等の費用が発生する場合があります。
親が嫌がっていても子どもが整理してよいですか?
親本人の所有物であれば、本人の意思を尊重することが基本です。
まず「捨てる話」ではなく、安全確保や必要書類の場所確認など、小さな範囲から相談してください。
生前整理には何日かかりますか?
物量・家の広さ・作業人数によって大きく異なります。
期限がなければ数日で一気に終わらせる必要はなく、数週間・数か月かけて少しずつ進める方法があります。
途中から業者へ頼んでもよいですか?
問題ありません。
自分たちで仕分けた後、大型家具・大量家財の搬出だけ依頼することもできます。
生前整理業者と不用品回収業者は同じですか?
同じとは限りません。
生前整理では仕分けや本人の意思確認まで対応する会社があります。
家庭ごみの処分を依頼する場合は、実際の収集運搬体制も確認してください。
自分でできるところまで進め、難しい作業だけ外へ出す
生前整理は、自分ですべて完結させることが目的ではありません。
重要なのは、自分が今後どの物を残して暮らしたいのかを自分で決めることです。
進め方は、
- 目的を決める
- 重要品を先に確保する
- 小さい範囲から整理する
- 残す・譲る・売る・処分・保留に分ける
- 自治体のルールで少しずつ処分する
- 自力で難しい物だけ業者へ任せる
という形で十分です。
家一軒を一日で空にする必要はありません。
一方で、期限が迫っている、大型家具が多い、遠方で通えないなど、自分で行うことが負担になってきたら、そこで外部へ切り替えて構いません。
自分で行う範囲と業者へ任せる範囲を分けることで、費用を抑えながら、本人が納得できる生前整理を進めやすくなります。
実家・家財全体の整理については、実家・家財整理の案内から現在の状況に合う進め方を確認してください。