遺品整理のデジタル遺品はどうする?スマホ・PC・ネット口座・SNSの確認手順

親や家族が亡くなった後の遺品整理では、家具・衣類・書類だけでなく、スマートフォンやパソコンの中に残った情報も確認する必要があります。

たとえば、

  • ネット銀行
  • ネット証券
  • 暗号資産
  • クレジットカード
  • サブスクリプション
  • クラウドストレージ
  • 写真・動画
  • メール
  • SNS
  • オンラインサービスのアカウント

などです。

このようなデータ・オンライン契約・ネット上の資産などは、一般に「デジタル遺品」と呼ばれています。

デジタル遺品で最も避けたいのは、内容を確認する前にスマートフォンやパソコンを初期化・売却・廃棄してしまうことです。

まず端末を保全し、

  1. 何の端末・記録媒体があるか確認する
  2. 金融資産・有料契約の手掛かりを確認する
  3. 写真など残したいデータを確認する
  4. SNS・メール・クラウド等の手続きを確認する
  5. 必要な手続きが終わってから端末を初期化・売却・処分する

という順番で考えます。

実家全体の遺品整理については、実家・家財整理の案内もあわせて確認してください。

目次

デジタル遺品とは?

「デジタル遺品」という言葉には、法律上の統一された定義があるわけではありません。

国民生活センターでは、デジタル機器を通して確認できるデータや、インターネットで契約したサービスなどをデジタル遺品として説明しています。

たとえば、

  • ネット銀行の口座
  • ネット証券
  • 暗号資産
  • クラウド上の写真・動画
  • SNSアカウント
  • メール
  • 有料サブスク
  • オンラインサービスのアカウント

などです。

スマートフォンやパソコンそのものは物理的な遺品ですが、デジタル遺品を確認する入口になるため、実際の遺品整理では端末も一緒に保全します。

デジタル遺品整理で最初にしてはいけないこと

故人のスマートフォンやパソコンが見つかっても、すぐに、

  • 初期化する
  • 売る
  • 廃棄する
  • SIMカードや記録媒体を捨てる

ことは避けます。

端末の中に写真しかないように見えても、実際にはオンライン資産や契約の手掛かりが残っている可能性があります。

データや契約を確認できる可能性を失わないよう、まず現状のまま保管します。

STEP1|スマホ・PC・記録媒体を全部集める

最初に、家の中からデジタル機器・記録媒体をまとめます。

  • スマートフォン
  • 携帯電話
  • タブレット
  • ノートPC
  • デスクトップPC
  • 外付けHDD・SSD
  • USBメモリ
  • SDカード
  • デジタルカメラ
  • 充電器

などです。

複数台ある場合は、端末ごとに番号を付け、どこから見つかったか記録しておくと整理しやすくなります。

故人の所有物か確認する

家にあった端末だからといって、必ず故人の所有物とは限りません。

特に、

  • 会社支給のPC
  • 会社支給スマートフォン
  • レンタル機器
  • 家族共用端末

などがあります。

会社のシールや管理番号が付いている場合は、初期化・売却せず、勤務先等へ確認してください。

STEP2|財産に関係するデジタル遺品を優先する

端末の中に何があるかを整理するときは、まず金銭・相続に関係するものを優先します。

代表的なのは、

  • ネット銀行
  • ネット証券
  • FX口座
  • 暗号資産
  • 電子マネー
  • ポイント
  • オンライン上の金融サービス

などです。

紙の通帳がないため、家族が存在自体に気付いていないことがあります。

メール・郵便物も手掛かりになる

紙の郵便物として、

  • 口座開設通知
  • 年間取引報告書
  • 税務関係書類
  • カード会社からの通知

などが残っている場合があります。

スマートフォンの中だけを探すのではなく、紙の重要書類と合わせて確認してください。

ネット銀行・ネット証券は正式な相続手続きを行う

ネット銀行やネット証券の資産も、紙の通帳がないだけで、相続財産であることに変わりはありません。

故人のログイン情報が分かった場合でも、家族が故人本人として自由に取引・送金するのではなく、金融機関へ死亡を伝え、相続手続きを確認してください。

特に相続放棄を検討している場合は、故人の資産を売却・移動する行為を先行させないよう注意します。

親が亡くなった後の相続手続きについては、親が亡くなった後の手続きも確認してください。

暗号資産も確認する

暗号資産を利用していた場合、

  • 暗号資産交換業者からのメール
  • アプリ
  • 税務書類
  • 取引履歴に関する資料

などが手掛かりになることがあります。

暗号資産は、取引所で管理しているものと、自分でウォレットを管理しているものがあります。

アクセス方法・秘密情報の扱いはサービスによって大きく異なるため、自己流で送金・移動せず、利用していた事業者の相続手続きを確認してください。

STEP3|継続課金・サブスクを確認する

次に、有料契約を確認します。

たとえば、

  • 動画配信サービス
  • 音楽配信
  • 電子書籍
  • クラウドストレージ
  • オンライン新聞
  • アプリの有料プラン
  • 有料会員サービス
  • ソフトウェア

などです。

死亡しただけで自動的にすべての契約が即座に終了するとは限りません。

クレジットカードや口座の明細から継続課金がないか確認します。

先にカードだけ解約すると契約先が分からなくなることもある

カード・銀行口座・通信契約をすぐ止めればよいとは限りません。

明細や請求情報が、故人が利用していたサービスを把握する手掛かりになることがあります。

まず契約一覧を作り、必要な確認が終わってから順番に解約手続きを進めると整理しやすくなります。

STEP4|残したい写真・動画・データを確認する

スマートフォンやパソコンには、

  • 家族写真
  • 動画
  • 連絡先
  • 文書
  • メール
  • 仕事関係データ

などが残っていることがあります。

端末を処分する前に、家族が保存したいデータがないか確認します。

紙焼き写真や物理アルバムの整理とは分けて考え、デジタル写真は端末・クラウド・アカウントの保存状態を確認します。

クラウド上にしかない写真もある

写真が端末本体ではなく、クラウドサービスに保存されている場合があります。

その場合、スマートフォン本体を確認しただけではすべての写真を把握できないことがあります。

ただし、クラウドサービスへのアクセス方法や、故人死亡後のデータ提供の可否は事業者ごとに異なります。

パスワードを無理に推測するのではなく、各サービスの故人向け手続きを確認します。

パスコード・パスワードが分からない場合は?

パスコードやパスワードが分からない場合、何度も推測して入力するのは避けます。

端末やサービスによっては、入力失敗を繰り返すことで一定時間利用できなくなったり、データへのアクセスがさらに難しくなったりする場合があります。

また、故人本人のアカウントだからといって、家族がどのサービスでも自由に本人としてログインできるとは限りません。

サービスごとの規約・故人向け手続き・相続手続きを確認してください。

Apple製品の場合

Appleには、本人が生前に「故人アカウント管理連絡先」を指定しておく制度があります。

故人アカウント管理連絡先に指定されていて、アクセスキーなど必要な情報がある場合は、Appleの正式な手続きから故人のApple Accountに保存された一定のデータへのアクセスを申請できます。

また、故人アカウント管理連絡先が設定されていない場合でも、必要な法的書類を提出して故人のApple Accountへのアクセスや削除を申請できる仕組みがあります。

日本では戸籍謄本等を求められる場合がある

Appleは、日本ではアカウント所有者の死亡記載がある戸籍謄本などが必要になる場合があると案内しています。

必要書類は状況によって異なるため、申請時点のApple公式案内を確認してください。

iPhoneのパスコードそのものをAppleに解除してもらえるとは限らない

Appleは、パスコードでロックされた端末について、データを保持したままパスコードロックを解除する支援はできないと案内しています。

端末を再利用するために消去することと、端末内のデータを取得することは別問題です。

写真等を残したい場合は、端末を初期化する前に、iCloud等に残っているデータへ正式な方法でアクセスできるか確認します。

Googleアカウントの場合

Googleには、本人が生前に設定できる「アカウント無効化管理ツール」があります。

一定期間アカウントが利用されなかった場合に、指定した人へ通知したり、選択したデータを共有したりする設定ができます。

故人がこの設定をしていなかった場合でも、Googleには故人のアカウントについて、

  • アカウント閉鎖
  • 故人のアカウントからのデータ取得
  • 一定の資金に関する申請

を行うための正式なリクエスト窓口があります。

Googleは、審査のうえ対応する場合がある一方、故人のパスワードやログイン情報そのものを家族へ提供することはないと案内しています。

Facebookの場合

Facebookでは、故人のプロフィールを追悼アカウントに変更する仕組みがあります。

追悼アカウントでは、故人が投稿したコンテンツは元の公開範囲に応じて残ります。

本人が生前にレガシーコンタクトを設定していた場合、その人がプロフィール写真変更など一定の管理を行えることがあります。

ただし、レガシーコンタクトが故人のアカウントへ本人としてログインしたり、個人メッセージを読んだりできるわけではありません。

SNSはサービスごとに対応が違う

Instagram、X、LINEなども含め、SNS・コミュニケーションサービスの死亡後対応は同じではありません。

たとえば、

  • 削除申請
  • 追悼化
  • アカウント閉鎖
  • データ提供

の可否や必要書類が異なります。

また、サービス仕様は変更されることがあります。

「SNSなら家族がパスワードを使ってログインして削除すればよい」と一括して考えず、利用していたサービスの最新の公式ヘルプを確認してください。

メールアカウントはすぐ削除しない

メールは、オンライン契約を探すための重要な手掛かりになる場合があります。

たとえば、

  • 口座開設通知
  • 証券会社
  • サブスク
  • クラウド契約
  • ショッピングサイト
  • 有料会員

などの通知が残っている可能性があります。

正式な方法で確認できる状態なら、必要な契約を洗い出す前にアカウント削除を急がない方がよいでしょう。

スマホの通信契約も順番を考える

故人の携帯電話契約も最終的には解約・承継等の手続きが必要になります。

ただし、電話番号・請求明細・契約情報が、故人が利用していたサービスを把握する手掛かりになる場合があります。

必要な確認を終える前に、端末処分と回線解約を一度に進めるのではなく、通信会社の死亡時手続きと他サービスの手続きを整理してから順番を決めます。

会社のデータと個人データを混ぜない

故人が仕事で使っていたPC・スマートフォンでは、家族が自由に内容を閲覧・コピーしてよいとは限りません。

会社の機密情報、顧客情報、個人情報などが含まれている可能性があります。

会社貸与端末なら、まず勤務先へ返却方法を確認してください。

個人所有端末でも仕事用データが入っている場合は、勤務先等への確認が必要になることがあります。

デジタル遺品整理業者へ頼む場合の注意点

スマートフォンやPCのデータ確認、データ復旧、アカウント整理などを掲げる事業者もあります。

利用する場合は、

  • 何を依頼するのか
  • どこまでデータへアクセスするのか
  • データをコピーするか
  • 個人情報の取扱い
  • 作業後にデータを削除するか
  • 料金
  • 成功しなかった場合の費用
  • 金融サービス・SNS等は公式手続きを使うか

を確認してください。

「パスワードを必ず解除できる」「どんなアカウントでも入れる」といった説明だけで依頼先を決めるのは避けます。

端末のデータ復旧とアカウント相続は別

故障したスマートフォンの写真を復旧する作業と、ネット銀行やSNSの故人アカウント手続きを行うことは同じではありません。

データ復旧会社が端末データを復旧できても、オンラインサービス上のアカウントを家族へ移転できるとは限りません。

金融機関・Apple・Google・SNS等については、それぞれの正式手続きを確認します。

端末を売却・処分してよいタイミング

スマートフォンやPCの処分は、少なくとも次の確認が終わった後にします。

  • □ 必要な写真・動画を確認した
  • □ ネット銀行・証券等の有無を確認した
  • □ サブスク・有料契約を確認した
  • □ クラウドデータを確認した
  • □ SNS・メールの対応を決めた
  • □ 会社所有・レンタル品ではないことを確認した
  • □ 相続上必要な情報を保存した

その後、メーカー等の案内に従ってデータを適切に消去し、売却・リサイクル・処分へ進みます。

ストレージだけ抜いて本体を処分すればよい?

パソコンではストレージを取り外せる機種もありますが、端末によって構造は異なります。

スマートフォンのように内蔵ストレージを簡単に取り外せない機器もあります。

また、クラウド上のデータは端末のストレージを処分しても残ります。

「本体」と「オンライン上のアカウント・データ」を別々に整理してください。

紙の写真とデジタル写真を分けて考える

故人の写真が、

  • 紙のアルバム
  • スマートフォン
  • PC
  • クラウド
  • SDカード

に分散していることがあります。

紙のアルバムは、「どの写真を残すか・データ化するか」という物理的な写真整理が中心です。

一方、クラウド写真では、アカウントへ誰がどの方法でアクセスできるかという問題もあります。

この2つを同じ作業として扱わない方が整理しやすくなります。

相続放棄を検討している場合

相続放棄を検討している場合、ネット銀行・ネット証券・暗号資産などを発見しても、家族が故人本人として売買・送金等を行わないようにします。

財産を調査することと、財産を処分・消費することは別です。

相続放棄は、相続財産の処分との関係で問題が生じることがあります。

相続方針が決まっていない段階では、資産を移動させるのではなく、存在を確認し、必要に応じて金融機関や専門家へ相談してください。

デジタル遺品を整理する順番

STEP1|端末を保全する

スマホ・PC・記録媒体を初期化せずまとめます。

STEP2|所有関係を確認する

故人所有、会社所有、レンタル、家族共有を分けます。

STEP3|資産を確認する

ネット銀行、証券、暗号資産などの手掛かりを確認します。

STEP4|継続課金を確認する

カード明細・口座明細・契約資料からサブスク等を洗い出します。

STEP5|必要データを保全する

写真・動画・連絡先・文書など、残す必要がある物を確認します。

STEP6|サービス別の正式手続きを行う

Apple、Google、SNS、金融機関等の故人向け手続きを確認します。

STEP7|不要サービスを解約・削除する

必要な資産・データ確認が終わってから行います。

STEP8|端末を初期化・売却・処分する

最後に物理端末を処分します。

デジタル遺品チェックリスト

端末・記録媒体

  • □ スマートフォン
  • □ タブレット
  • □ パソコン
  • □ USBメモリ
  • □ 外付けHDD・SSD
  • □ SDカード
  • □ デジタルカメラ

資産

  • □ ネット銀行
  • □ ネット証券
  • □ FX
  • □ 暗号資産
  • □ 電子マネー・ポイント等

契約

  • □ 携帯電話
  • □ インターネット
  • □ クラウドストレージ
  • □ 動画・音楽サブスク
  • □ 有料アプリ
  • □ オンライン会員

データ・アカウント

  • □ 写真・動画
  • □ メール
  • □ SNS
  • □ クラウド
  • □ 連絡先
  • □ 文書

処分前

  • □ 必要データを確認した
  • □ 金融資産を確認した
  • □ 継続課金を確認した
  • □ 公式の故人手続きを確認した
  • □ 会社・レンタル品ではないことを確認した
  • □ 初期化前に家族で最終確認した

よくある質問

故人のスマホはすぐ開いてもよいですか?

端末・アカウントの状況によって異なります。

パスコードを何度も推測したり、ロック解除を無理に試したりすることは避け、必要なデータや契約について各サービスの正式な手続きを確認してください。

パスコードが分からないiPhoneはAppleで解除できますか?

Appleは、パスコードでロックされた端末について、データを保持したままパスコードロックを解除する支援はできないと案内しています。

Apple Account内の一定のデータについては、故人アカウント管理連絡先や故人向けアクセス申請等の制度があります。

故人のGoogleアカウントを家族が取得できますか?

Googleには故人アカウントに関する正式なリクエスト制度があります。

状況によってアカウント閉鎖やデータ提供等が検討されますが、Googleは故人のパスワードやログイン情報自体を家族へ提供しないとしています。

Facebookは削除した方がよいですか?

削除以外に追悼アカウントへ変更する方法があります。

家族の希望や故人の生前設定を確認してください。

SNSは全部同じ手続きですか?

いいえ。

追悼化、削除、データ提供等の制度はサービスごとに異なります。

最新の公式ヘルプを確認してください。

故人のスマホを先に解約してもよいですか?

最終的には通信会社の死亡時手続きが必要ですが、電話番号や請求明細が契約確認の手掛かりになることがあります。

関連サービスを確認し、必要な手続きの順番を整理してから進めるとよいでしょう。

ネット銀行があるかどうか分かりません

紙の郵便物、税務資料、カード・銀行明細、端末上の情報などから手掛かりを探します。

存在が確認できた場合は、その金融機関の相続手続きを行ってください。

サブスクは死亡すれば自動的に止まりますか?

すべてが自動終了するとは限りません。

カード・口座の明細等から継続課金を確認し、契約先ごとに解約手続きを確認します。

スマホやPCは遺品整理業者にそのまま渡してよいですか?

端末内やオンライン上に必要なデータ・契約・資産情報がないか確認する前に、初期化・売却・廃棄へ回さない方がよいでしょう。

業者へ渡す場合も「データ確認前なので処分禁止」と明確に指定してください。

デジタル遺品整理を専門業者へ頼めますか?

対応する事業者はあります。

ただし、端末データの復旧と、金融機関・Apple・Google・SNS等の故人アカウント手続きは別です。

依頼範囲、個人情報の取扱い、費用、正式な手続きとの関係を確認してください。

デジタル遺品は「端末を処分する前」が最も重要

デジタル遺品整理では、スマートフォンやパソコンをきれいに片付けること自体が最初の目的ではありません。

重要なのは、

  1. 端末を保全する
  2. ネット上の資産を確認する
  3. 継続課金を確認する
  4. 残したいデータを確認する
  5. サービスごとの正式な故人手続きを行う
  6. 最後に端末を初期化・売却・処分する

という順番です。

パスワードが分からない場合も、自己流で解除を繰り返すのではなく、AppleやGoogleなどが用意している正式な故人向け手続きを確認してください。

また、ネット銀行・ネット証券・暗号資産など財産的価値のあるものは、単なる「データ整理」ではなく相続手続きの問題です。

紙の通帳がない時代ほど、端末・メール・クラウド・契約情報を確認することが、相続財産や継続課金の見落とし防止につながります。

親が亡くなった後の相続・各種手続きについては、親が亡くなった後の手続きを確認してください。

実家・家財全体の整理については、実家・家財整理の案内から現在の状況に合う項目を確認してください。

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