実家じまいの必要書類は?相続・売却・解体で使う書類を状況別に整理

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実家じまいでは、家の中に残っている古い書類をまとめて捨てる前に、一度内容を確認した方がよいものがあります。

登記識別情報や権利証、固定資産税の書類だけでなく、親が実家を購入したときの売買契約書、建築費の領収書、測量図、境界確認書などが、後の相続・売却・税金の確認に役立つことがあるためです。

一方、戸籍謄本や印鑑証明書のように、必要な段階で市区町村等から取得する書類もあります。

つまり、実家じまいの必要書類は、

  • 実家で捨てずに探す書類
  • 相続手続きで取得する書類
  • 不動産売却で使う書類
  • 解体するときに使う書類

に分けると整理しやすくなります。

この記事では、すべての人に同じ書類が必要だとは考えず、状況別に「残すもの」「後から取得できるもの」を整理します。

実家じまい全体の流れから確認したい場合は、実家・家財整理の案内もあわせて確認してください。

目次

実家じまいの必要書類は全員同じではない

実家じまいに「この10枚を用意すれば必ず完了する」という全国共通の書類セットがあるわけではありません。

必要になる書類は、

  • 親が存命か、死亡後か
  • 相続が発生しているか
  • 実家を誰が相続するか
  • 売却するか
  • 建物を解体するか
  • 遺言書があるか
  • 遺産分割協議をするか

などで変わります。

そこで、まず実家に残っている書類を保全し、その後、実際に行う手続きに必要な証明書だけ取得します。

片付けを始める前に「重要書類箱」を一つ作る

紙類を整理するときは、最初から「捨てる・残す」を細かく判断する必要はありません。

少しでも不動産、税金、相続、保険、借金に関係しそうな書類は、一度「重要書類箱」に移します。

特に次のような場所を確認します。

  • 金庫
  • 書斎
  • 机の引き出し
  • 仏壇周辺
  • 銀行関係のファイル
  • 確定申告書類の保管場所
  • 住宅ローン関係のファイル
  • 固定資産税の封筒

書類の意味が分からなくても、実家じまいの方向が決まるまでは捨てずにまとめておく方が安全です。

実家で最初に探したい書類一覧

遺言書

親が亡くなった後であれば、遺産分割を進める前に遺言書の有無を確認します。

自宅の金庫や書類棚だけでなく、公正証書遺言や法務局で保管されている自筆証書遺言がないかも確認します。

登記識別情報・権利証

不動産に関する重要書類です。

古い不動産では「登記済権利証」、比較的新しい登記では「登記識別情報通知」などの名称になっています。

見つかった場合は、他の一般書類とは分けて原本を保管します。

ただし、親名義の古い権利証が見つからないからといって、それだけで相続登記ができなくなるわけではありません。

固定資産税納税通知書・課税明細書

毎年自治体から送られてくる固定資産税関係書類です。

所有している土地・建物を確認したり、相続登記の登録免許税を計算する際の資料として使ったりします。

最新年度のものは残しておきます。

親が実家を買ったときの売買契約書

古くても安易に処分しない方がよい書類です。

相続した土地・建物を後に売却する場合、原則として、親がその不動産を取得したときの購入代金等をもとに取得費を計算します。

そのため、

  • 不動産売買契約書
  • 購入代金の領収書
  • 仲介手数料等の資料

などが見つかった場合は保管してください。

建築請負契約書・建築代金の領収書

親が土地を購入して家を建てた場合は、建物の建築費に関する資料も保管します。

実家売却時の譲渡所得計算で取得費を確認する材料になる可能性があります。

測量図・境界確認書

土地の境界や面積に関する書類です。

不動産売却時に土地の状況を確認するために役立つ場合があります。

見つからないから直ちに売却できないという意味ではありませんが、再取得・再測量には時間や費用がかかる場合があるため、見つかった原本は保管します。

建築確認済証・検査済証・建物図面

建物の建築時に作成された資料が残っていることがあります。

中古住宅として売却する場合や、建物状態・増改築履歴等を確認する際に役立つことがあります。

リフォーム・修繕関係書類

屋根、外壁、耐震、増改築、水回りなどの工事資料も残します。

いつ、どこを、どの程度工事したかを買主や不動産会社へ説明しやすくなります。

住宅ローン・抵当権関係書類

住宅ローンを完済していても、登記上の抵当権が残っていないか確認する必要があるケースがあります。

金融機関から届いた完済・抵当権抹消関係の書類があればまとめて保管します。

火災保険・地震保険等

空き家として保有する期間がある場合、現在どの保険に加入しているかを確認するために使います。

賃貸借・借地関係の契約書

土地が借地である、他人へ貸している部分があるなどの場合は重要です。

所有不動産だと思って処分や売却を進める前に、権利関係を確認します。

特に捨てない方がよいのは「親が家を取得したときの書類」

実家じまいでは、現在の固定資産税資料や権利証だけに目が向きがちです。

しかし、後で実家を売る可能性があるなら、古い購入資料も重要です。

相続によって取得した土地・建物を売却した場合、取得費は原則として親など被相続人が取得したときの購入代金や購入手数料等を引き継いで計算します。

取得費が分からない場合には、売却金額の5%相当額を概算取得費として使える制度がありますが、実際の取得費がそれより高ければ税額に差が出る可能性があります。

そのため、

  • 売買契約書
  • 建築請負契約書
  • 購入時の領収書
  • 仲介手数料等の資料

が見つかったら、古いからという理由だけで捨てないようにします。

親が亡くなった後に役所等から取得する書類

次に、実家に保管されている書類ではなく、相続手続きのために新たに取得する書類です。

相続登記の必要書類は、遺言による相続、遺産分割、法定相続分での登記などで異なります。

ここでは、相続人全員で遺産分割協議を行い、一人が実家を取得する代表的なケースを例にします。

被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍等

誰が相続人になるのか確認するために使用します。

転籍や戸籍制度の変更等により、複数の戸籍が必要になることがあります。

被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

亡くなった人と登記簿上の所有者が同一人物であることを確認するために必要になる書類です。

登記上の住所とのつながりによって必要書類が変わることがあります。

相続人の戸籍

相続人であることを確認するための戸籍です。

不動産を相続する人の住民票

新しい所有者として登記する住所を証明するために使用します。

遺産分割協議書

相続人全員で遺産分割を行った場合に、その合意内容を書面にしたものです。

誰がどの不動産を取得するかを明確にします。

相続人の印鑑証明書

遺産分割協議書に押した実印を確認するために必要になります。

固定資産課税明細書または固定資産評価証明書

相続登記で登録免許税を計算する際などに使用します。

登記申請書

相続登記を法務局へ申請するための書類です。

相続の内容によって記載方法や添付書類が変わります。

相続登記の書類は相続方法によって変わる

上記は遺産分割協議による相続登記の代表例です。

実際には、

  • 遺言書によって相続する
  • 法定相続分どおりに登記する
  • 複数回の相続が発生している
  • 相続人の中に亡くなった人がいる
  • 住所変更が繰り返されている

などによって必要書類が増減します。

そのため、「ネットに書かれている8種類を集めれば全員同じように登記できる」とは考えない方がよいでしょう。

古い権利証が見つからなくても相続登記できないとは限らない

実家を探しても、親の権利証が見つからないことがあります。

通常の遺産分割による相続登記では、親の権利証そのものが常に必須の添付書類というわけではありません。

ただし、亡くなった人の登記上の住所と戸籍・住民票等の記録がつながらない場合など、本人確認のために登記済証が必要になるケースがあります。

「権利証がないから売れない」「相続登記できない」と自己判断せず、法務局や司法書士へ確認してください。

戸籍は以前より集めやすくなっている

2024年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付が始まりました。

一定の範囲では、本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村窓口で他の市区町村の戸籍・除籍証明書をまとめて請求できます。

ただし、請求できる人や証明書の種類には条件があります。

すべての戸籍関係書類を誰でもどこでも取得できる制度ではないため、窓口で確認してください。

法定相続情報一覧図は必要?

法定相続情報証明制度を利用すると、戸籍の内容をもとに作成した法定相続情報一覧図について法務局の確認を受け、その写しを交付してもらえます。

この一覧図の写しは、金融機関や登記など複数の相続手続きで、大量の戸籍一式に代えて利用できる場合があります。

ただし、すべての実家じまいで必ず作成しなければならない書類ではありません。

複数の金融機関や相続手続きを並行する場合などに便利な制度として考えます。

実家を売却するときに準備する書類

実家を売却する場合の必要書類は、不動産の種類、登記状態、抵当権、売却方法などによって変わります。

一般に確認されやすいものとして、次があります。

本人確認書類

運転免許証、マイナンバーカードなど、売主本人を確認する書類です。

実印・印鑑証明書

所有権移転登記等の手続きで必要になる場合があります。

登記識別情報・権利証

相続登記を行って新しい所有者になった場合は、その登記によって発行された登記識別情報を厳重に管理します。

固定資産税関係書類

固定資産税額や物件情報の確認などで使われます。

土地・建物に関する資料

次の資料が残っていれば、不動産会社へ見せられるようまとめておきます。

  • 測量図
  • 境界確認書
  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 設計図面
  • リフォーム履歴
  • 耐震診断等の資料

これらはすべての売買で一律に必須というわけではありません。

「必須書類」と「物件情報としてあると有用な資料」を分けて管理します。

取得時の契約書は売却後の税金確認にも使う

親が購入した実家を相続して売却する場合、売却時の譲渡所得は、売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算します。

親が購入した当時の売買契約書・建築代金等の資料は、この取得費を確認するために役立つ可能性があります。

売却契約が終わった後も、税務上の確認が終わるまでは関連書類をまとめて保管しておく方がよいでしょう。

実家を解体する場合に残しておきたい書類

建物を解体する場合には、不動産売却とは別に解体工事関係の書類が増えます。

少なくとも、

  • 解体工事の見積書
  • 工事請負契約書
  • 領収書
  • 石綿事前調査に関する資料
  • 解体業者から交付された取壊しに関する証明資料

などを保管します。

土地を売るために建物を取り壊した場合、その取壊し費用が譲渡費用として扱われる場合もあるため、領収書等を捨てないようにします。

解体後は建物滅失登記も確認する

登記されている建物を取り壊した場合は、建物滅失登記を行います。

申請では建物滅失登記申請書や、建物を取り壊したことを確認するための情報等を準備します。

具体的な添付書類は申請方法や状況によって確認してください。

解体業者から受け取った書類は、滅失登記が完了するまでまとめて保管しておく方がよいでしょう。

「原本を残す書類」「スキャンする書類」「再取得できる書類」に分ける

実家の書類を全部紙のまま永久保存する必要はありません。

次の3種類に分けると整理しやすくなります。

分類 例 扱い
原本を残す 遺言書、登記識別情報、契約書、境界確認書等 原本を安全な場所で保管
原本+データ化 売買契約書、建築資料、工事資料等 原本を残し、検索用にスキャン
再取得可能 戸籍、住民票、印鑑証明書等 必要な時期に取得

ただし、手続きによっては一定時点で発行された証明書が必要になる場合があります。

再取得できるからといって、現在進行中の手続きで使用する証明書を途中で処分しないようにします。

個人情報を含む書類は普通ごみにそのまま捨てない

実家じまいでは、

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 口座番号
  • 保険情報
  • マイナンバー関係情報

などが記載された書類が大量に出ることがあります。

不要と判断した後も、そのまま外から読める状態で処分せず、シュレッダー等を使うなど個人情報に配慮します。

業者へ重要書類をまとめて預けない

片付け業者へ実家整理を依頼する場合でも、

  • 登記識別情報
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 通帳
  • 本人確認書類
  • マイナンバー関係書類

などは、家族側で先に確保します。

業者へ必要以上の個人情報や財産関係書類を預ける必要はありません。

書類が見つからないときは「捨てた」と決めつけない

実家では、重要書類が意外な場所から見つかることがあります。

  • 古いバッグ
  • 仏壇の引き出し
  • タンス
  • 本の間
  • 封筒
  • 銀行の貸金庫

などです。

すぐに再発行手続きを始める前に、本人が存命なら保管場所を確認し、死亡後なら家族間でも情報を共有します。

実家じまいの必要書類チェックリスト

実家で探す

  • □ 遺言書
  • □ 登記識別情報・権利証
  • □ 固定資産税納税通知書・課税明細書
  • □ 親が実家を購入したときの売買契約書
  • □ 建築請負契約書・建築代金の資料
  • □ 測量図・境界確認書
  • □ 建築確認済証・検査済証・図面
  • □ リフォーム・修繕資料
  • □ 住宅ローン・抵当権関係書類
  • □ 保険関係書類
  • □ 借地・賃貸等の契約書

相続時に取得・作成する

  • □ 被相続人の戸籍・除籍等
  • □ 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • □ 相続人の戸籍
  • □ 不動産を取得する人の住民票
  • □ 遺産分割協議書(該当する場合)
  • □ 印鑑証明書(該当する場合)
  • □ 固定資産課税明細書または評価証明書
  • □ 相続登記申請書

売却をするなら確認する

  • □ 本人確認書類
  • □ 実印・印鑑証明書等
  • □ 相続登記後の登記識別情報
  • □ 固定資産税関係資料
  • □ 境界・測量資料
  • □ 建物・設備資料
  • □ 親の取得時の契約書・領収書

解体するなら保管する

  • □ 解体見積書
  • □ 解体工事契約書
  • □ 解体費の領収書
  • □ 石綿事前調査関係資料
  • □ 取壊しを証する資料
  • □ 建物滅失登記関係書類

よくある質問

実家じまいで一番捨ててはいけない書類は何ですか?

一つだけではありませんが、不動産の取得・権利・境界・税金に関係する原本は特に注意します。

登記識別情報、売買契約書、建築請負契約書、境界確認書等が見つかったら、意味が分かるまで保管してください。

親の権利証が見つかりません。相続登記できませんか?

通常の相続登記で、亡くなった親の権利証が常に必須というわけではありません。

ただし、登記上の住所と戸籍・住民票等で本人のつながりを確認できない場合など、追加資料として必要になる場合があります。

親が家を買ったときの売買契約書は残した方がよいですか?

残した方がよいでしょう。

相続した実家を将来売却した場合、親が取得したときの購入代金等をもとに取得費を計算するための資料になる可能性があります。

固定資産税納税通知書は必要ですか?

所有不動産の確認や固定資産評価額の確認に役立ちます。

少なくとも最新年度の通知書・課税明細書は、実家じまいの方向が決まるまで保管しておくとよいでしょう。

戸籍は全部本籍地まで行かないと取れませんか?

2024年3月から戸籍証明書等の広域交付制度が始まり、一定の条件では本籍地以外の市区町村窓口でも取得できるようになっています。

ただし対象者や証明書に制限があるため、利用前に確認してください。

法定相続情報一覧図は必ず作らなければいけませんか?

必須ではありません。

ただし、銀行、不動産登記など複数の相続手続きを行う場合には、戸籍一式を何度も提出する負担を減らせることがあります。

境界確認書が見つからないと実家は売れませんか?

見つからないだけで必ず売却できないわけではありません。

ただし、土地の境界確認や測量が必要になる場合があるため、不動産会社へ早めに相談した方がよいでしょう。

書類は全部スキャンして原本を捨ててもよいですか?

おすすめできません。

登記識別情報、遺言書、契約書、境界関係書類などは原本自体が重要になることがあります。

原本を保管したうえで、検索・家族共有用にスキャンする方法が安全です。

実家じまいでは「書類を捨ててから集める」のではなく「先に保全する」

実家じまいの書類整理では、最初から必要・不要を完璧に判断する必要はありません。

まず、不動産、相続、税金、借金、保険に関係しそうな書類を一か所へ集めます。

特に、

  • 権利証・登記識別情報
  • 固定資産税関係資料
  • 親が実家を取得したときの契約書
  • 建築費の資料
  • 測量・境界資料
  • 建物関係資料

は、再取得が難しかったり、後の売却・税務で役立ったりする可能性があります。

一方、戸籍、住民票、印鑑証明書等は、実際の相続手続きに合わせて取得します。

「実家にある書類」と「後から取得する書類」を分けるだけでも、紙類を大幅に整理しやすくなります。

親が亡くなった後の相続と実家じまいの順番を確認したい場合は、親が亡くなった後の手続きも確認してください。

実家じまい全体の現在地を整理したい場合は、実家・家財整理の案内から確認してください。

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