マンションの遺品整理はどう進める?費用・管理会社・搬出の注意点

マンションで遺品整理を行う場合、室内の家財だけを見て作業計画を立てると、当日に困ることがあります。

マンションには、エントランス、共用廊下、エレベーター、駐車スペースなど、他の住民も利用する共用部分があるためです。

物件によっては、

  • 管理会社への事前連絡
  • 作業届の提出
  • 搬出可能な曜日・時間帯
  • エレベーターの使用方法
  • 共用部の養生
  • 台車の使用
  • トラックの駐車位置

などについて独自のルールが定められていることがあります。

そのため、マンションの遺品整理では、家財を仕分ける前に「建物側のルール」を確認しておくことが重要です。

この記事では、マンションの遺品整理を何から始めるか、管理会社への確認事項、費用を左右する条件、賃貸・分譲の違い、業者へ依頼するときのチェックポイントまで整理します。

遺品整理全体について確認したい場合は、実家・家財整理の案内もあわせて確認してください。

目次

マンションの遺品整理は戸建てと何が違う?

遺品の仕分け自体は戸建てでもマンションでも基本的に同じです。

違いが出やすいのは、家の外へ搬出するときです。

確認項目 マンション 一軒家
管理規約 確認が必要になる場合がある 通常はなし
共用部 廊下・エントランス等を使用 基本的に敷地内
エレベーター 利用条件・予約等がある場合 通常なし
養生 共用部分への配慮が重要 主に室内・玄関周辺
搬出時間 制限される場合がある 比較的自由
駐車 来客・作業車両スペース確認 敷地条件による
近隣影響 同じ建物内への配慮が重要 周辺住宅への配慮

そのため、マンションでは業者を決める前に管理側の条件を確認しておくと、より正確な見積もりを取りやすくなります。

最初に管理規約・使用細則を確認する

マンションには管理規約があり、さらに具体的な生活・共用部分の利用ルールを「使用細則」などで定めている場合があります。

遺品整理という名称そのものが規約に書かれていなくても、引っ越しや大型荷物搬出についてルールが定められていることがあります。

まず、

  • 管理規約
  • 使用細則
  • 引っ越し・搬出作業に関する案内

がないか確認します。

管理会社・管理組合へ確認したいこと

書類だけで判断できない場合は、管理会社や管理組合へ連絡します。

確認したい内容は次のとおりです。

  • 遺品整理・家財搬出の事前連絡が必要か
  • 作業届等の提出が必要か
  • 作業できる曜日・時間帯
  • エレベーターを使用できるか
  • エレベーターの予約が必要か
  • 共用部の養生方法
  • 台車を使用できるか
  • 搬出経路の指定があるか
  • 作業車両を停められる場所
  • 防災センター等への連絡が必要か

これらはマンションごとに違います。

「マンションなら必ず作業届が必要」「必ず1週間前までに申請」といった全国共通のルールではありません。

業者へ依頼する前に管理会社へ確認するメリット

管理側のルールが分かると、業者へ正確な条件を伝えられます。

たとえば、

  • 作業は平日9時〜16時のみ
  • 搬出用エレベーターを予約する
  • エントランスから部屋まで養生が必要
  • トラックは敷地内へ入れない

という条件があれば、必要なスタッフ人数や作業時間が変わります。

見積もり後にこれらが判明すると、追加料金や日程変更につながる可能性があります。

マンションの遺品整理を進める8つの手順

1.相続・重要書類を先に確認する

大量処分を始める前に、遺言書、相続関係、相続放棄を検討する可能性などを確認します。

少なくとも、

  • 遺言書
  • 現金
  • 通帳
  • 印鑑
  • 保険関係書類
  • 不動産関係書類
  • 借金・ローン関係書類
  • 貴金属・高価品

は先に確認します。

2.管理規約・使用細則を確認する

共用部分の利用や家財搬出についてルールがないか確認します。

3.管理会社等へ連絡する

作業日、エレベーター、養生、駐車等の条件を確認します。

4.室内全体の物量を把握する

各部屋だけではなく、

  • 押し入れ
  • クローゼット
  • 納戸
  • 玄関収納
  • ベランダ
  • トランクルーム

も確認します。

5.残す物・売る物・処分する物を分ける

重要物を確保した後、

  • 残す
  • 家族へ渡す
  • 売る
  • 処分する
  • 保留する

に分けます。

6.必要なら複数社へ見積もりを取る

マンション名・階数・エレベーター・駐車・養生等も全社へ同じように伝えます。

7.管理ルールに沿って搬出する

当日は指定時間、搬出経路、共用部養生などを守って作業します。

8.室内と共用部分を確認する

室内だけでなく、搬出経路やエレベーター等に傷がないかも確認して完了します。

マンションの遺品整理費用はいくら?

マンションだけを対象とした全国公的統計があるわけではありません。

現在公開されている複数の遺品整理料金情報では、一般的な目安として次のような幅が見られます。

間取り 公開情報で見られる目安
1R・1K 約3〜8万円前後から
1DK・1LDK 約5〜20万円前後
2DK・2LDK 約9〜30万円前後
3DK・3LDK 約15〜50万円前後

ただし、これは見積額を保証する相場ではありません。

同じ2LDKでも、家財量が少ない部屋と、収納まで大量の荷物で埋まった部屋では費用が大きく異なります。

マンションの費用を左右する7つの条件

1.実際の家財量

もっとも大きいのは間取りより物量です。

2.階数

高層階になるほど搬出距離が長くなることがあります。

3.エレベーターの有無

エレベーターがない、または作業に使えない場合は階段搬出が増えます。

4.エレベーターの大きさ

大型家具が入らなければ分解や別の搬出方法が必要になる場合があります。

5.共用部の養生

養生する範囲が広ければ、作業時間や資材が増える場合があります。

6.トラックまでの距離

建物前へ駐車できず、離れた場所まで台車で運ぶ必要があると作業量が増えます。

7.作業可能時間

短い時間帯しか搬出できなければ、複数日に分かれる場合があります。

エレベーターは自由に使ってよいとは限らない

マンションでは、大量の家具を搬出するために長時間エレベーターを使用することがあります。

物件によっては、

  • 事前予約
  • 使用できる時間帯
  • 搬出用エレベーターの指定
  • 養生
  • 防災センターへの連絡

などが必要なことがあります。

業者へ依頼する場合も、事前に管理会社へ確認します。

エレベーターがないマンションは費用が上がる?

階段だけで家具・家電を搬出する場合、作業員の負担や必要時間が増えるため、料金へ影響する可能性があります。

特に、

  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • タンス
  • 大型食器棚
  • ベッド

などがある場合は、見積もり時に伝えてください。

「3階・エレベーターなし」のように階数だけでなく、大型家具の種類も伝えると見積もりが正確になります。

共用部の養生とは?

養生とは、搬出時に床や壁などを傷つけないよう保護することです。

マンションでは、

  • 玄関から共用廊下
  • エレベーター内部
  • エレベーターホール
  • エントランス

などを養生する場合があります。

ただし、養生範囲や方法は物件ごとに違います。

管理会社から資材やテープの種類を指定される場合もあるため、業者側の通常方法だけで判断しない方がよいでしょう。

養生費は見積もりに含まれているか確認する

業者へ依頼するときは、

  • 養生が必要か
  • どこまで養生するか
  • 基本料金に含まれるか
  • 追加料金になるか

を確認します。

「搬出料金は安かったが、当日になって大規模な養生が必要になった」ということを避けるためです。

トラックの駐車場所も見積もりに影響する

マンション前に作業車両を停められるとは限りません。

確認したいのは、

  • 来客用駐車場を使えるか
  • 作業車両スペースがあるか
  • 時間制限があるか
  • 道路上の停車が可能か
  • 近隣のコインパーキングを使う必要があるか

です。

トラックを建物から遠い場所へ停める場合は、搬出距離が長くなります。

ベランダも忘れずに確認する

マンションでは室内だけ見積もりを依頼し、ベランダの物を忘れることがあります。

ベランダには、

  • 植木鉢
  • プランター
  • 物干し用品
  • 収納ボックス
  • アウトドア用品
  • 古い家具

などが残っている場合があります。

処分方法が自治体によって異なる物もあるため、見積もり時に写真を撮って伝えます。

トランクルーム・専用収納も確認する

マンションによっては、住戸とは別にトランクルーム等が付いていることがあります。

そこに季節用品、工具、タイヤ、アウトドア用品などが残っているケースがあります。

退去・売却後に見つからないよう、住戸以外の専用部分も確認します。

賃貸マンションの場合

故人が賃貸マンションに住んでいた場合は、遺品整理だけでなく退去手続きがあります。

まず、

  • 賃貸借契約
  • 管理会社・貸主への連絡
  • 解約日
  • 明渡し日
  • 鍵の返却
  • 残置物の扱い

を確認します。

遺品整理そのものに全国一律の完了期限があるわけではありませんが、賃貸では退去・明渡し日が実質的な期限になります。

賃貸では「どこまで撤去するか」を管理会社へ確認する

故人が設置した棚、エアコン、照明などについて、残してよいのか撤去するのか判断に迷うことがあります。

自己判断で撤去する前に、賃貸借契約と管理会社・貸主の指示を確認してください。

元から備え付けられていた設備まで処分しないよう注意します。

分譲マンションの場合

分譲マンションでは、遺品整理を終えても不動産自体が残ります。

親が所有していた住戸であれば、

  • 相続登記
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税
  • 売却するか保有するか

なども別に確認します。

遺品整理が終わったからといって、マンションに関する負担や手続きが自動的に終了するわけではありません。

売却予定なら全部片付ける前に不動産会社へ相談してもよい

相続した分譲マンションを売却する場合、必ず遺品整理を完全に終えてから査定を受けなければならないわけではありません。

家財が残った状態でも査定を相談できる場合があります。

先に売却方針を確認することで、

  • どの程度片付けるか
  • 家具を残すか
  • いつまでに空にするか

を決めやすくなります。

タワーマンションではさらに事前確認を増やす

タワーマンションや大規模マンションでは、

  • 防災センター
  • サービス用エレベーター
  • 搬入・搬出予約
  • 作業車両の進入
  • 共用部養生
  • 作業員の入館

について詳細なルールが定められている場合があります。

通常のマンションと同じ感覚で当日に業者を呼ぶのではなく、管理側の手続きを先に確認します。

近隣への挨拶は必要?

全国一律で遺品整理前の近隣挨拶が義務付けられているわけではありません。

ただし、

  • 大量の家具を搬出する
  • エレベーターを長時間利用する
  • 作業員が多い
  • 共用廊下を頻繁に往来する

場合には、同じ階や周辺住民への配慮が必要になることがあります。

管理会社側で掲示・案内するケースもあるため、事前に確認してください。

家庭ごみを業者なら誰でも運べるわけではない

マンションでも、家庭から出る不要品は一般廃棄物です。

家庭の廃棄物を業として収集運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や自治体からの委託など、適法な処理ルートが必要です。

産業廃棄物処理業許可や古物商許可だけで家庭ごみを自由に回収できるわけではありません。

ただし、遺品整理会社自身が一般廃棄物の許可を持たず、地域の許可業者と適法に連携している場合があります。

見積もり時に、

  • 家庭ごみを実際に運ぶ会社
  • その地域で必要な許可・委託があるか

を確認します。

マンション遺品整理の見積もりで伝える情報

複数社へ見積もりを依頼する場合は、全社へ同じ条件を伝えます。

  • 住所
  • 間取り
  • 階数
  • エレベーターの有無
  • エレベーターの大きさ
  • 搬出時間の制限
  • 養生ルール
  • 搬出経路
  • 駐車場所
  • 管理会社からの指示
  • ベランダ・トランクルーム
  • 大型家具
  • 大型家電
  • 残す物
  • 買取希望品

管理会社から作業案内等をもらっている場合は、業者へ共有すると話が早くなります。

業者見積もりで確認する項目

項目 確認内容
基本作業 仕分け・搬出の範囲
人員 スタッフ人数
搬出 階段・長距離搬出費
養生 範囲と追加料金
エレベーター 予約・使用条件への対応
駐車 駐車料金等の扱い
廃棄物 実際の収集運搬主体
買取 作業費と分けて表示されるか
追加料金 発生条件
キャンセル キャンセル料と時期

管理会社への手続きは業者へ全部任せてよい?

業者側が管理会社への連絡や作業届提出をサポートしてくれる場合があります。

ただし、誰が何をするかは契約前に確認してください。

特に、

  • 依頼者本人しか申請できない
  • 所有者情報が必要
  • 管理会社指定の書式がある

場合には、家族側の対応が必要になることがあります。

「業者が全部やってくれるはず」と思い込まず、申請者を明確にします。

マンションでも自分で遺品整理できる?

できます。

衣類・書類・食器など少量の物を自治体ルールに沿って少しずつ整理するのであれば、家族だけでも進められます。

ただし、

  • 大型家具
  • 大型家電
  • 大量の家財
  • 高層階
  • エレベーターなし
  • 搬出時間が短い

場合には、自力搬出の負担が大きくなります。

家族が重要物と形見だけ仕分けし、大型物の搬出を業者へ任せる方法もあります。

立ち会いなしでも遺品整理できる?

立ち会いなしに対応する事業者もあります。

遠方に住んでいる場合は、

  • 鍵の受け渡し
  • 残す物の指定
  • 貴重品発見時の連絡
  • 作業中の写真確認
  • 作業後の写真報告

などを事前に決めます。

ただし、マンションでは業者との取り決めだけでなく、管理会社側の入館・作業条件も確認する必要があります。

マンション遺品整理でよくある失敗

管理会社へ連絡せず業者を呼ぶ

当日になってエレベーターを使えない、作業時間に制限があるなどの問題が発生することがあります。

部屋の中だけで見積もりを取る

養生、階数、搬出経路、駐車条件を伝えないと、実際の作業条件との差が生まれます。

ベランダ・トランクルームを忘れる

後から追加作業になることがあります。

最安値だけで選ぶ

養生や搬出条件への対応が見積もりに含まれているか確認します。

共用部に家具を一時放置する

共用廊下等は他の住民も使用します。

家具・ごみを一時的に置けるかも含め、管理ルールを確認してください。

マンション遺品整理のチェックリスト

管理側

  • □ 管理規約を確認した
  • □ 使用細則を確認した
  • □ 管理会社へ連絡した
  • □ 作業届の要否を確認した
  • □ 作業可能時間を確認した
  • □ エレベーター条件を確認した
  • □ 養生ルールを確認した
  • □ 駐車場所を確認した

室内

  • □ 遺言書を確認した
  • □ 現金・通帳・印鑑を確保した
  • □ 相続関係書類を確認した
  • □ 残す物を家族で共有した
  • □ ベランダを確認した
  • □ トランクルームを確認した

業者見積もり

  • □ 全社へ同じ条件を伝えた
  • □ 階数・EVを伝えた
  • □ 養生範囲を伝えた
  • □ 搬出時間を伝えた
  • □ 駐車条件を伝えた
  • □ 追加料金を確認した
  • □ 家庭ごみの運搬主体を確認した
  • □ キャンセル条件を確認した

よくある質問

マンションの遺品整理では管理会社へ連絡が必要ですか?

物件によります。

大型家具を大量搬出する場合などに事前連絡や作業届を求めるマンションがあります。

管理規約・使用細則を確認し、不明なら管理会社へ問い合わせてください。

作業届は必ず必要ですか?

全国一律のルールではありません。

マンションごとに異なります。

エレベーターは自由に使えますか?

物件によって予約・利用時間・養生等の条件がある場合があります。

大量搬出前に確認してください。

養生は法律上必ず必要ですか?

マンションの遺品整理について全国一律に「必ずこの範囲を養生する」というルールではありません。

実際の管理規約、使用細則、管理会社の指示に従います。

マンションの遺品整理はいくらかかりますか?

間取りだけでは決まりません。

公開されている一般的な料金情報では1R・1Kで数万円台から、3LDKで十数万円〜数十万円程度まで幅があります。

物量、階数、エレベーター、養生、搬出距離等によって大きく変わるため、実際の条件で見積もりを取ってください。

エレベーターなしだと高くなりますか?

階段搬出によって作業人数・時間が増えれば、料金に影響する可能性があります。

賃貸マンションと分譲マンションでは違いますか?

違います。

賃貸では退去・明渡し条件が重要です。

分譲では、遺品整理とは別に相続登記、管理費・修繕積立金、売却・保有などを確認します。

タワーマンションでも遺品整理できますか?

対応する事業者があります。

ただし、防災センター、搬出用エレベーター、作業予約、入館方法、養生などのルールが細かい場合があるため、事前確認が特に重要です。

近所への挨拶は必要ですか?

一律の義務ではありません。

長時間の搬出などで他の住民への影響が大きい場合は、管理会社と相談して対応を決めます。

マンションの遺品整理は「部屋を片付ける前に建物のルールを確認する」

マンションの遺品整理で戸建てと大きく違うのは、共用部分を使って搬出することです。

そのため、最初に、

  • 管理規約・使用細則
  • 管理会社への事前連絡
  • 作業届
  • エレベーター
  • 養生
  • 搬出時間
  • 駐車場所

を確認します。

そのうえで室内の物量を把握し、家族が残す物を決め、必要なら複数の業者へ同じ条件で見積もりを依頼します。

マンションの遺品整理費用は、間取りだけではなく、階数・エレベーター・養生・搬出距離など建物側の条件でも変わります。

特にタワーマンションや大規模マンションでは、当日になって搬出できないことを避けるため、管理側への確認を先に済ませてください。

親が亡くなった後の相続・手続きも並行して進めている場合は、親が亡くなった後の手続きも確認してください。

実家全体の整理については、実家・家財整理の案内から現在の状況に合う項目を確認してください。

この記事を共有する
  • URLをコピーしました!
目次