実家の売却や引っ越し、親が亡くなった後の片付けなどで仏壇を手放すことになったとき、「普通の家具と同じように捨ててよいのか」と迷う人は少なくありません。
仏壇本体は、自治体によっては粗大ごみとして処分できます。仏具店へ引き取ってもらったり、寺院へ相談したり、搬出を含めて専門業者へ依頼したりする方法もあります。
ただし、仏壇を処分するときは、いきなり本体を運び出すのではなく、本尊(ほんぞん)・位牌(いはい)・過去帳(かこちょう)・遺影・仏具・貴重品を先に分けることが大切です。
また、閉眼供養(へいがんくよう)や「魂抜き」などの考え方は宗派によって異なります。
このページでは、仏壇本体を処分する方法と、それぞれの違いを整理します。
仏壇を処分する前にやること
処分先を決める前に、仏壇の中をすべて確認します。
少なくとも次のものは本体から分けてください。
- 本尊
- 位牌
- 過去帳
- 遺影
- 仏具
- 数珠
- お守り・御札など
- 現金
- 通帳
- 印鑑
- 権利書・契約書
- 法要や家系に関する記録
仏壇には引き出しや下台があり、故人が重要書類や現金を保管していることがあります。
扉や引き出しを一つずつ開け、何も残っていないことを確認してから本体の処分へ進みます。
本尊・位牌・過去帳は仏壇本体と別に考える
仏壇を処分するからといって、本尊や位牌まで一緒に処分する必要はありません。
たとえば、
- 新しい小型仏壇へ移す
- 家族の家へ移す
- 寺院へ相談する
- 宗派に応じた方法で扱う
といった選択肢があります。
過去帳には先祖や故人の法名・氏名・命日などが記録されているため、ほかの紙類と一緒に捨てないよう注意してください。
仏壇を処分する主な4つの方法
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 自治体の粗大ごみ | 費用を抑えやすい | 自治体が収集対象としており、搬出条件を満たせる |
| 仏具店 | 搬出・引取り・合同供養等をまとめて頼める場合がある | 自分で運び出せない、買替えも検討している |
| 寺院 | 本尊・位牌・宗教上の扱いを相談しやすい | 菩提寺がある、宗派上の扱いを重視する |
| 専門業者・遺品整理業者等 | 大型仏壇や他の家財と一緒に対応できる場合がある | 実家じまい・遺品整理と同時に進める |
一つの方法ですべてを済ませる必要はありません。
たとえば、宗教上の相談は寺院へ行い、仏壇本体は自治体で処分するという分け方もできます。
方法1|自治体の粗大ごみとして処分する
自治体によっては、仏壇本体を粗大ごみとして収集しています。
「仏壇はごみとして出してはいけない」と一律に決まっているわけではありません。
新宿区では仏壇を箱物家具として収集
東京都新宿区では、仏壇を「箱物家具」に含めて粗大ごみとして扱っています。
2026年9月時点の処理手数料は、最長辺と2番目に長い辺の合計によって400円から3,200円です。
| 最長辺+2番目に長い辺 | 新宿区の処理手数料 |
|---|---|
| 135cm以下 | 400円 |
| 180cm以下 | 900円 |
| 270cm以下 | 1,300円 |
| 360cm以下 | 2,300円 |
| 360cm超 | 3,200円 |
これは新宿区の例です。
大阪市では仏壇1基1,000円
大阪市では、2026年9月時点で仏壇を粗大ごみとして分類し、処理手数料を1基1,000円としています。
このように、同じ仏壇でも自治体によって料金体系が異なります。
実際に処分する住所の自治体で、
- 仏壇が収集対象か
- 料金
- サイズ制限
- 搬出場所
- 申込方法
を確認してください。
自治体処分のメリット
最大のメリットは、処分費を抑えやすいことです。
仏具店や民間サービスへ依頼すると数万円かかる場合がありますが、自治体では数百円〜数千円程度で収集できる例があります。
すでに宗教上の整理が済んでいて、自分たちで自治体の条件に沿って搬出できるなら選択肢になります。
自治体処分の注意点
料金が安い一方、仏壇内部の整理や搬出準備などは自分たちで行う必要があります。
特に大型仏壇では、
- 玄関から出ない
- 階段を通らない
- 一人では持てない
- 分解しないと運べない
ことがあります。
無理に運ぶと、けがや住宅の破損につながります。
大型の場合は、搬出サービスを利用した方がよいこともあります。
方法2|仏具店に引き取ってもらう
仏壇・仏具店では、古い仏壇の引取りサービスを用意していることがあります。
仏壇の搬出から運搬、引取り後の合同供養などをまとめて依頼できるサービスもあります。
自分で大型仏壇を運べない場合には利用しやすい方法です。
仏具店の引取り料金例
たとえば「お仏壇のはせがわ」では、2026年9月時点で、供養引取りのみの場合、仏壇の三辺合計に応じて19,800円から77,000円の料金が設定されています。
料金には、引取り、運送、作業、合同供養が含まれると案内されています。
また、仏具は段ボール1箱5,500円、仏壇置台は11,000円の公式料金例があります。
これは一事業者の例であり、全国共通料金ではありません。
買替えなら引取り条件も確認する
新しい仏壇へ買い替える場合、購入店で古い仏壇の引取り料金が安くなることがあります。
そのため、
- 古い仏壇の処分だけを頼む
- 小型仏壇へ買い替える
のどちらにするかを先に決めておくと比較しやすくなります。
仏壇じまいの費用については、仏壇じまいの費用・供養・搬出の内訳で詳しく整理しています。
「供養引取り」と閉眼供養は同じとは限らない
仏具店のサービス名に「供養」と付いていても、自宅の仏壇に対して宗派に応じて行う閉眼供養等と同じとは限りません。
たとえば、はせがわは引き取った仏壇に僧侶による合同供養を行っていますが、その供養式は「閉眼供養(魂抜き)」ではないと公式に明記しています。
閉眼供養等が必要な場合は、引取り前に寺院へ依頼するよう案内されています。
「引取りサービスに供養が含まれているから、寺院への確認は不要」と決めつけないことが大切です。
方法3|寺院へ相談する
菩提寺(ぼだいじ)がある場合は、仏壇を手放すことを先に相談できます。
特に、
- 本尊をどうするか
- 位牌をどうするか
- 過去帳をどうするか
- 閉眼供養等を行うか
については、寺院へ相談するのが分かりやすい方法です。
ただし、寺院が大型の仏壇本体まで回収・運搬してくれるとは限りません。
寺院では宗教上の整理だけを行い、本体は別の方法で処分するケースもあります。
宗派によって「魂抜き」の考え方が違う
仏壇の処分について「先に魂抜きをする」と説明されることがあります。
ただし、この呼び方や考え方は全宗派共通ではありません。
たとえば浄土真宗本願寺派では、新たに本尊を迎える法要を「入仏法要」とし、「魂入れ」や「お性根入れ」とは言わないと公式に案内しています。
仏壇を移動する場合には「遷仏法要(せんぶつほうよう)」という法要が案内されています。
また、同派では位牌を用いず過去帳を用いるとしています。
そのため、仏壇を処分するときの宗教上の対応は、所属宗派や菩提寺へ確認してください。
方法4|専門業者・遺品整理業者等へ依頼する
大型仏壇を自分で搬出できない場合や、実家の家財をまとめて整理したい場合は、専門業者や遺品整理業者などへ依頼する方法があります。
依頼できる作業には、
- 仏壇の搬出
- 解体
- 運搬
- 供養先の手配
- ほかの家財の片付け
などがあります。
ただし、業者選びでは「仏壇を運び出せるか」だけでなく、その後どのように処理するかを確認する必要があります。
家庭の仏壇を廃棄物として回収するには許可が必要
家庭から出る仏壇を廃棄物として収集・運搬する場合は、一般家庭の廃棄物に関するルールが適用されます。
環境省は、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可、または市区町村からの委託が必要と案内しています。
「産業廃棄物処理業許可」や「古物商許可」があるだけでは、家庭から出る廃棄物を回収できるという意味ではありません。
処分を依頼する場合は、
- 誰が仏壇を収集するのか
- 一般廃棄物の許可・委託はどうなっているか
- 最終的にどこで処理するのか
- 見積書に処分費が明記されているか
を確認してください。
「無料回収」の広告だけで決めない
仏壇や家財について「無料回収」「何でも回収」といった広告が見つかることがあります。
国民生活センターは、不用品回収を市区町村以外へ依頼する場合、市区町村のホームページ等で一般廃棄物処理業の許可業者を確認し、複数社から見積もりを取り、追加料金の有無などを確認するよう案内しています。
料金の安さだけではなく、適切な処理体制があるかを確認します。
仏壇は売れることもある?
仏壇は中古需要が限られるため、一般的な家具と同じように高値で売れるとは限りません。
一方、
- 金仏壇
- 唐木仏壇
- 伝統工芸品
- 高級木材を使ったもの
- 価値のある仏具
などでは、状態や素材によって査定対象になることがあります。
処分前に査定したい場合は、
- 買取できなかった場合の費用
- 出張査定料
- 搬出料
まで確認してください。
遺品整理中の仏壇は最後にまとめて捨てない
実家の遺品整理で仏壇が残っている場合、ほかの家具と一緒に一括処分する前に中身を確認します。
特に、
- 過去帳
- 重要書類
- 印鑑
- 現金
- 通帳
が残っていないか確認してください。
本尊・位牌等の扱いを決めた後で、本体だけを家財処分へ回すと整理しやすくなります。
仏壇を解体して普通ごみに出してよい?
自治体によってごみの大きさ・素材・分別基準が異なります。
自分で細かく解体すれば必ず普通ごみとして出せるとは限りません。
大型木製品の扱いや一度に出せる量などのルールもあるため、自分で解体する前に自治体へ確認してください。
また、重量のある仏壇を無理に解体すると、けがにつながる可能性があります。
仏壇を処分する順番
迷った場合は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 家族で仏壇を本当に手放すか確認する
- 宗派・菩提寺を確認する
- 仏壇の中身をすべて確認する
- 本尊・位牌・過去帳の行き先を決める
- 必要な宗教上の法要を確認する
- 仏壇のサイズと搬出経路を測る
- 自治体・仏具店・業者等から処分方法を選ぶ
- 見積もりと処理方法を確認する
- 仏壇を空にして搬出する
自治体・仏具店・業者はどう選ぶ?
費用を抑えたい
自治体が仏壇を粗大ごみとして収集しており、自分たちで搬出条件を満たせるなら自治体が候補です。
自分で搬出できない
仏具店や搬出対応のあるサービスを比較します。
宗教上の扱いが分からない
まず菩提寺や所属宗派へ相談します。
実家全体を片付けたい
遺品整理・家財整理と一緒に進められるサービスが便利な場合があります。
ただし、廃棄物の回収体制を必ず確認します。
処分前のチェックリスト
- □ 家族で仏壇を手放すことを確認した
- □ 宗派を確認した
- □ 菩提寺を確認した
- □ 本尊を取り出した
- □ 位牌を取り出した
- □ 過去帳を確認した
- □ 遺影を確認した
- □ 現金・印鑑・書類を確認した
- □ 宗派に応じた法要の要否を確認した
- □ 仏壇のサイズを測った
- □ 搬出経路を確認した
- □ 自治体の収集対象か確認した
- □ 仏具店等の見積もりを確認した
- □ 民間業者なら一般廃棄物の処理体制を確認した
- □ 追加料金がないか確認した
よくある質問
仏壇は粗大ごみに出してもいいですか?
自治体によります。新宿区や大阪市のように、仏壇を粗大ごみとして収集している自治体があります。一方、収集条件や料金は地域によって異なるため、住所地の自治体へ確認してください。
仏壇を捨てる前に魂抜きは必ず必要ですか?
全宗派共通の法律上の義務ではありません。宗派によって考え方や法要の名称が異なるため、菩提寺や所属宗派へ確認してください。
位牌も仏壇と一緒に処分できますか?
最初から本体と一緒に処分するのではなく、位牌の今後の扱いを先に決めてください。宗派によって位牌に対する考え方も異なります。
仏具店なら供養も全部やってくれますか?
サービスによります。引取り後の合同供養が含まれることはありますが、宗派に応じた閉眼供養等とは別の場合があります。
不用品回収業者に仏壇を頼んでもいいですか?
家庭の仏壇を廃棄物として回収する場合は、一般廃棄物処理業の許可または自治体からの委託が必要です。産業廃棄物処理業許可や古物商許可だけを理由に依頼しないよう注意してください。
仏壇は買取してもらえますか?
中古需要が限られるため必ず売れるわけではありませんが、素材・工芸性・状態によっては査定対象になる場合があります。
親が亡くなったら仏壇はすぐ処分すべきですか?
すぐ処分しなければならない全国一律の期限はありません。家族で今後の供養方法を確認してから判断できます。
仏壇の処分は「宗教上の整理」と「本体の廃棄」を分けて考える
仏壇の処分方法は一つではありません。
自治体の粗大ごみ、仏具店、寺院、民間サービスなどから、自分の状況に合う方法を選べます。
ただし、最初に行うのは処分先探しではありません。
本尊・位牌・過去帳などを本体から分け、家族と宗派に応じて何を残すかを決めることが先です。
その後、仏壇本体について費用、搬出のしやすさ、供養の希望を比較します。
仏壇じまい全体の流れから確認したい場合は、仏壇じまいとは?本尊・位牌・閉眼供養から処分までの進め方もあわせて確認してください。