実家を片付け始めると、最後まで残りやすいのが大型家具です。
タンス、食器棚、本棚、ベッド、ソファ、ダイニングテーブルなどは、日用品のように袋へ入れて処分できません。
まだ使える家具なら売ったり譲ったりできる可能性がありますが、古く大きな家具は買い手が見つからず、家から運び出すこと自体が難しい場合もあります。
実家の家具を処分するときは、すぐに回収業者を探すのではなく、まず「残す・譲る・売る・自治体で処分する・民間サービスへ依頼する」に分けると進めやすくなります。
親が住んでいる実家なら本人の意思も確認し、亡くなった後の家なら引き出しや棚の中に重要書類・現金・貴重品などが残っていないか確認してから搬出します。
実家の家具を処分する方法は主に6つ
| 方法 | 向いている家具・状況 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 家族で残す | 思い出がある、今後使う家具 | 保管場所・運搬費も考える |
| 家族・知人へ譲る | 状態がよく、欲しい人がいる | 運搬を誰が行うか決める |
| 買取・リユース | ブランド家具、比較的新しい家具、需要がある家具 | すべての家具が売れるわけではない |
| 自治体の粗大ごみ | 少量、自分で搬出できる家具 | サイズ・料金・収集方法は自治体ごとに違う |
| 処理施設へ自己搬入 | 車と人手があり、自治体が持込みを受け付けている | 受付条件・車両・本人確認等を事前確認 |
| 民間サービス | 大量、大型、自力搬出困難、短納期、遠方 | 家庭ごみの収集運搬体制・見積もりを確認 |
どれか一つに統一する必要はありません。
例えば、状態のよい家具は買取、家族が欲しい家具は譲渡、自分で出せる物は自治体、自力では動かせない大型家具だけ民間サービスへ依頼する方法があります。
家具を動かす前に確認したい5つのこと
1.親本人が残したい家具ではないか
親が存命で、自分で判断できる状態なら、子どもだけで処分を決めないようにします。
子どもから見ると古い家具でも、本人にとっては、
- 長年使っている家具
- 親族から受け継いだ家具
- 思い出のある家具
- 今後も使うつもりの家具
かもしれません。
施設入居や実家じまいを急いでいる場合でも、「必要・不要」だけで話すより、どこへ移るか、今後どの家具を使うかから確認した方が話しやすくなります。
2.引き出し・棚の中を全部確認したか
大型家具は、中身を確認せずに運び出さないようにします。
タンス、食器棚、本棚、机、サイドボードなどには、
- 現金
- 通帳
- 印鑑
- 保険証券
- 不動産関係書類
- 写真
- 手紙
- 貴金属
- 鍵
などが入っていることがあります。
特に親が亡くなった後の実家では、家具そのものを処分する前に、中身を空にして確認します。
3.家具のサイズを測ったか
家具本体だけでなく、搬出経路も測ります。
- 家具の幅・高さ・奥行き
- 玄関
- 廊下
- 階段
- 曲がり角
- エレベーター
を確認します。
家へ入れたときに組み立てた家具は、そのままでは玄関から出せないことがあります。
4.家具を解体できるか
ベッド、棚、テーブルなどは、分解すると搬出しやすくなる場合があります。
ただし、解体すれば必ず普通ごみとして出せるわけではありません。
例えば新宿区では、粗大ごみに該当する家具は「解体しても粗大ごみ」と案内しています。
自治体によって扱いが異なるため、「細かく切れば可燃ごみになる」と自己判断せず、実家所在地のルールを確認してください。
5.実家をこの後どうするか決まっているか
家具の処分範囲は、実家の今後によっても変わります。
- 親が住み続ける
- 家族が住む
- 賃貸する
- 売却する
- 空き家として保有する
- 解体する
のどれを予定しているかを確認します。
特に売却予定なら、高額な家財処分を契約する前に、不動産会社へ「どこまで撤去しておく必要があるか」を聞いておくと無駄な処分を避けられる場合があります。
方法1|家族で使う家具を残す
まだ使用する家具は、処分対象から先に外します。
ただし、「もったいないから」という理由だけで別の家へ移すと、今度は移した先で処分に困ることがあります。
残す場合は、
- 誰が使うのか
- どこへ置くのか
- 新しい家へ入るサイズか
- 運搬費はいくらか
まで考えます。
特に婚礼家具、大型タンス、食器棚などは、家具そのものに価値があっても、新居のサイズに合わない場合があります。
方法2|家族・知人へ譲る
状態がよく、欲しい人がいる家具なら譲渡できます。
処分費をかけずに家具を減らせる一方、問題になりやすいのが運搬です。
「無料であげる」と決めても、
- 実家から誰が搬出するか
- 車両を用意できるか
- 譲渡先まで運ぶか
- 階段作業があるか
によって費用が発生します。
大型家具では、家具本体の価格より運搬費の方が高くなることもあるため、先に搬出条件を確認します。
方法3|買取・リユースを検討する
家具がまだ使えるなら、粗大ごみに出す前に査定を検討できます。
特に、
- ブランド家具
- デザイナーズ家具
- 比較的新しい家具
- 状態のよい無垢材家具
- アンティーク・ヴィンテージ家具
などは、一般的な古い量産家具とは査定が変わる場合があります。
古い家具なら何でも売れるわけではない
「昔、高かった家具だから今も高く売れる」とは限りません。
大型家具は、
- 保管場所を取る
- 運搬コストが高い
- 現在の住宅にサイズが合いにくい
などの理由で、状態がよくても買取対象にならない場合があります。
そのため、買取を前提に片付け日程を組まず、売れなかった場合の処分方法も同時に考えます。
ブランド名やメーカーを確認する
査定へ出す場合は、家具の裏・引き出し・ラベル等に、
- ブランド名
- メーカー
- シリーズ名
- 素材
- 購入時期
などの表示がないか確認します。
写真を撮るときは、家具全体だけでなく、傷、ラベル、刻印なども撮っておくと相談しやすくなります。
自治体独自の家具リユース制度がある場合もある
自治体によっては、まだ使用できる家具を再利用する制度があります。
例えば渋谷区では、木製家具を回収して再生販売するリユース事業を行っています。
ただし、対象となる家具、階数、状態などには条件があり、すべての家具を引き取る制度ではありません。
全国共通の制度ではないため、
「市区町村名+家具 リユース」
などで確認してみる価値があります。
方法4|自治体の粗大ごみに出す
売却・譲渡しない家具は、自治体の粗大ごみで処分できる場合があります。
タンス、食器棚、ベッド、ソファ、本棚、机など、多くの家具が対象になります。
ただし、粗大ごみの基準は自治体ごとに異なります。
サイズ、料金、申込方法、収集日、搬出場所を実家所在地の公式サイトで確認してください。
家具の料金はサイズによって変わる場合がある
例えば渋谷区では、タンス・食器棚・本棚などの箱物家具について、幅と高さの合計によって複数の料金区分を設けています。
つまり、「タンスだから一律○円」と全国共通で決まっているわけではありません。
同じ種類の家具でもサイズによって料金が変わることがあります。
収集場所まで出せるかが大きな問題
自治体の粗大ごみは費用を抑えやすい一方、通常は決められた場所まで自分で家具を出す必要があります。
例えば集合住宅なら1階まで下ろす、戸建てなら玄関先等へ出すなど、自治体によってルールがあります。
家具が重く、家族だけでは安全に出せない場合は、料金だけで自治体を選ばないようにします。
高齢者等を対象とした運び出し支援がある自治体もある
親が高齢で家具を外まで運べない場合でも、すぐ民間業者を頼む必要がない場合があります。
自治体によっては、高齢者や障がいのある人など、一定の条件を満たす世帯を対象に粗大ごみの持ち出し支援を行っています。
ただし、
- 対象となる世帯
- 家具の大きさ
- 作業内容
- 家具の移動・解体が必要か
によって利用できない場合があります。
例えば横浜市では、工具での分解や他の家具を動かさなければ搬出できない粗大ごみなどは持ち出し収集の対象外としています。
実家所在地の制度を確認してください。
方法5|自治体の処理施設へ自分で持ち込む
自治体によっては、家庭から出た大型家具を処理施設へ自分で持ち込める場合があります。
例えば札幌市では、タンス、ベッド、ソファ、テーブルなどの家具を大型ごみ等として処理施設へ自己搬入できる仕組みがあります。
一方、すべての自治体に同じ制度があるわけではありません。
持込みを検討するときは、
- 家庭ごみの持込みを受け付けているか
- 予約が必要か
- 処理手数料
- 車両条件
- 本人確認
- 搬入できる曜日・時間
- 家具のサイズ制限
を確認します。
自己搬入は「車に載せられるか」が問題になる
処理施設まで自分で運べても、大型タンスやベッドを車へ載せられなければ利用できません。
また、無理に家具を積むと、搬出時のけがや車両事故につながります。
大型家具では、処分料金だけでなく、家から車まで安全に動かせるかを先に考えます。
方法6|民間の片付け・回収サービスへ依頼する
次のような場合は、民間サービスを検討しやすくなります。
- 家具が大量にある
- 大型家具を家の外へ出せない
- 階段からの搬出が必要
- 家具を分解しなければ出せない
- 遠方で何度も実家へ行けない
- 退去・売却期限が近い
- 家一軒をまとめて片付けたい
民間サービスなら、家の中からの搬出、家具解体、複数人での作業などを依頼できる場合があります。
民間サービスならどの業者でも家庭の家具を処分できるわけではない
家具が不要になり、廃棄物として処分する場合は、家庭から出る一般廃棄物として地域の処理ルールに従う必要があります。
東京都環境局も、家具など家庭から出る不用品について、まず各区市町村へ処分方法を確認するよう案内しています。
民間サービスへ依頼する場合は、
- 家庭ごみを実際にどの会社が収集・運搬するか
- 実家所在地で必要な許可・委託等があるか
- 片付け会社と収集運搬業者が別の場合、その役割分担
を確認します。
片付け会社自身に一般廃棄物許可がなくても一律に違法ではない
家の中の仕分けや家具の搬出準備を片付け会社が行い、廃棄物の収集・運搬を地域の許可業者が担当する場合があります。
そのため、「片付け会社自身が一般廃棄物収集運搬業許可を持っていない」という一点だけで判断しません。
実際に誰が家庭ごみを収集・運搬するかを確認します。
大型家具を自分で処分できるかの判断基準
| 状況 | 検討しやすい方法 |
|---|---|
| 家具1〜3点、自分で搬出できる | 自治体粗大ごみ |
| 車へ積めて自治体が持込み対応 | 処理施設への自己搬入 |
| 状態がよく需要がありそう | 買取・リユース査定 |
| 家族・知人が使う | 譲渡・運搬 |
| 階段から動かせない | 搬出対応の民間サービス |
| 家具が一軒分ある | 自治体+買取+民間サービスの併用 |
| 遠方で帰省回数を減らしたい | 現地見積もり・立会い方法を相談 |
| 売却予定 | 不動産会社へ撤去範囲確認後に処分 |
家具処分の費用を抑える方法
売れる物と捨てる物を先に分ける
査定可能な家具まで、まとめて処分品として出さないようにします。
ただし、買取査定に時間をかけすぎて退去・売却期限に間に合わなくなることもあります。
査定期限を決め、「売れなければ粗大ごみへ」という次の方法も決めておきます。
自分で出せる家具だけ自治体を使う
家一軒分の家具があっても、全部を民間サービスへ頼む必要はありません。
軽い棚や椅子など自分で運べる物を自治体へ出し、大型タンスやベッドだけ民間へ依頼すれば、依頼量を減らせる場合があります。
処分業者に頼む前に家族で中身を空にする
タンスや食器棚の中身まで片付け業者へ仕分け依頼すると、作業量が増えます。
家族で判断できる範囲は先に整理し、家具だけの状態にしておけば見積もり条件を伝えやすくなります。
同じ条件で複数の見積もりを取る
大量家具を民間サービスへ依頼する場合は、
- 家具の種類と数量
- 階数
- 階段・エレベーター
- 家具解体の必要性
- 駐車場所
- 希望日
を同じ条件で伝えて比較します。
料金だけでなく、家具解体・人員追加・階段作業等が含まれているかも確認します。
家具の写真は処分前に撮っておく
遠方の家族へ確認したり、買取査定や業者見積もりを依頼したりする場合、家具の写真が役立ちます。
撮っておきたいのは、
- 家具全体
- 正面・側面
- 傷や汚れ
- メーカー・ブランド表示
- 家具が置かれている部屋全体
- 玄関までの搬出経路
- 階段
です。
家具の状態だけでなく、搬出条件まで分かる写真があると、見積もりの精度を上げやすくなります。
遠方の実家では家具1点ごとに帰省しない
遠方の実家では、粗大ごみの料金だけを見ると自治体が安くても、収集日ごとに帰省すると交通費と時間がかかります。
先に家全体を確認し、家具を、
- 残す
- 売却査定
- 自治体
- 民間依頼
へまとめて分類します。
一回の帰省で写真撮影・サイズ測定・中身確認まで終わらせ、その後の申込みや見積もりを遠隔で進めると、往復回数を減らしやすくなります。
親が施設へ入る場合は「新居で使う家具」を先に決める
施設入居や住み替えの場合、先に実家の家具を捨て始めるのではなく、新しい生活場所へ何を持っていくかを決めます。
施設や新居によって、
- 持ち込める家具
- 収納スペース
- ベッドの有無
- 家具サイズ
が異なります。
新居へ移す家具が確定してから、残った家具を処分対象にすると間違いが減ります。
親が亡くなった後なら、価値のある家具の処分を急がない
相続放棄を検討する可能性があるなど、相続関係がまだ整理できていない場合は、価値のある家具の売却・処分を急がない方がよいケースがあります。
個別の事情によって扱いが異なるため、「家具を一つ処分したら必ず相続放棄できない」と単純に判断するものではありません。
相続放棄の可能性がある場合は、財産的価値のある物を動かす前に相続関係を確認してください。
売却予定なら家具を全部先に捨てるべき?
実家を売る予定でも、家具処分だけを先行させる必要があるとは限りません。
まず不動産会社へ、
- 査定時点で家具を撤去する必要があるか
- 売却活動までにどこまで片付けるべきか
- 残置物の処分を売主側で行う必要があるか
を確認します。
家具一軒分を処分すると費用が大きくなることがあるため、売却方法を確認してから処分範囲を決めた方がよいでしょう。
解体予定でも家具をそのまま残してよいとは限らない
「どうせ家を壊すから家具も全部そのままでよい」と自己判断しないようにします。
解体会社によって、家財撤去を含められる場合と、先に家財を出す必要がある場合があります。
また、建物解体で発生する廃棄物と、家庭で使用していた家具等では処理の扱いが異なります。
解体予定なら、契約前に家財をどこまで残せるか確認します。
実家の家具を処分する手順
- 実家を今後どうするか確認する
- 親が存命なら本人の希望を確認する
- 家具の引き出し・棚の中を空にする
- 残す家具を決める
- 家族・知人へ譲る家具を決める
- 売れそうな家具を査定する
- 家具のサイズと搬出経路を測る
- 自治体の粗大ごみ制度を確認する
- 自己搬入・リユース制度も確認する
- 自力で搬出できない家具を整理する
- 必要な家具だけ民間サービスの見積もりを取る
- 家庭ごみの収集運搬方法を確認して契約する
よくある質問
実家の古い家具は売れますか?
家具によります。ブランド家具、デザイナーズ家具、状態のよい家具、アンティーク等は査定対象になる可能性がありますが、古い大型家具は運搬コストや需要の問題から買取できない場合もあります。
家具を解体すれば普通ごみに出せますか?
自治体によって異なります。例えば新宿区では、粗大ごみに該当する家具は解体しても粗大ごみとして出すよう案内しています。必ず実家所在地のルールを確認してください。
大型家具を自分で外へ出せません。どうすればよいですか?
まず自治体に高齢者等を対象とした持ち出し支援制度がないか確認します。対象外の場合や、分解・階段作業が必要な場合は、搬出対応のある民間サービスを検討します。
家具は処理施設へ自分で持ち込めますか?
自治体によっては可能です。札幌市のように家具の自己搬入を受け付ける自治体もありますが、全国共通ではありません。予約・料金・車両条件等を確認してください。
家具の処分は粗大ごみと回収業者のどちらが安いですか?
家具数点を自分で指定場所まで出せるなら、自治体の粗大ごみの方が費用を抑えやすい場合があります。一方、搬出・解体・大量処分を含めると民間サービスとの単純な料金比較はできません。
遠方の実家の家具はどう処分すればよいですか?
最初の帰省で家具の写真、サイズ、搬出経路をまとめて確認し、自治体処分できる物と業者へ依頼する物を分けます。家具ごとに帰省するのではなく、処分方法をまとめて決める方が交通費と時間を抑えやすくなります。
実家を売却するなら家具は全部捨てる必要がありますか?
売却方法によって異なります。家具処分を契約する前に、不動産会社へ査定・売却時にどこまで家財撤去が必要なのか確認してください。
不用品回収業者なら家具を何でも処分できますか?
事業者や地域の処理制度によって異なります。家具を家庭廃棄物として収集・運搬する場合は、実家所在地の一般廃棄物処理制度に沿った対応が必要です。
家具は「捨て方」より先に「出口」を分ける
実家の家具処分で手間が増えるのは、すべての家具を同じ方法で処分しようとしたときです。
まず、
- 残す
- 譲る
- 売る
- 自治体で処分する
- 自己搬入する
- 民間サービスへ依頼する
に分けます。
家具が数点で自分で運べるなら自治体を先に確認し、大量・大型・遠方・短納期なら民間サービスも比較します。
また、実家を売る・残す・解体するなど家そのものの出口が決まっていないなら、家具だけを先に全部処分しない方がよい場合があります。
家財だけでなく家の今後まで含めて整理したい場合は、実家じまいの全体像から順番を確認して進めてください。